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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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ファンタジー惑星

AIさんには感想だけもらって、文章は全て自前の新作です。

よろしくお願いします。

 俺はのんびりとビールを呷っていた。

 東京から北海道に向かう機中である。

 出張に向かう、やさぐれた40代。身長175センチ、体重70キロ弱。ちょっと無精ひげ。手にはスポーツ新聞。緩められたネクタイ。それが俺、虎須(とらす)大吉(だいきち)だ。

 

 今回の出張も、いつもと同じ予定だった。

 適当に仕事をこなし、夜は楽しいお店でおねえさんたちと仲良くする。

 なのに───。

 窓の外が不意に明るくなった。

 いや、昼間である。元々明るかったのだ。それが、まばゆい程の光に変わった。


「なんだ!?」

 叫んだのが自分だったのかどうかも分からない。

 轟音とともに大きな衝撃が飛行機を襲い、俺は何も分からなくなった。

 ただ、混濁する意識の中、「このまま死ぬか、他の惑星で生きるか」の二者択一を迫られた記憶だけが残っている。

 俺は、他の惑星で生きる事を選んだ。





 目が覚めると、本当に他の惑星にいた。

 天に浮かぶ太陽に、土星の様な輪っかが付いているのだから、間違いないだろう。そんな太陽、俺の知っている太陽じゃない。

 見回すと、そこは森の中の湖畔だった。

 俺以外にも数十人の人間が倒れたままでいる。

 そして、俺たちを囲む様にグランピングのテントみたいな物がいくつも建っていた。


「ホントにグランピング施設なら、嬉しいんだけどな」

 俺は腰を上げると、テントの一つをのぞき込んだ。

「外から見るより、中が数倍も広いじゃねぇか。さすがファンタジーだな」

 とりあえず、テントの入り口に腰を下ろす。このテントは俺のだという無言の主張。

 そして、混濁した記憶を整理する。


 俺たちに課せられた任務は、魔石の収集。魔石は、魔獣から採れる。その為に俺たちには、肉体と感覚の微強化、火と水の日常生活レベルの魔法、現地語、そして各人が望んだ特殊能力が与えられた……筈だ。

 俺は人差し指を立てると、指先にライターの様に火を灯してみた。

 便利だ。タバコを吸うのに、特に。

 しかし俺は、高校時代にタバコは止めている。


 そうこうするうちに、皆が目覚め始めた。

 修学旅行だったのか、高校生が多い。トラブルの予感しかしない。

「うおっ、異世界だ!俺は異世界にやって来た〜!!」

 案の定、騒ぎ始めたお調子者がいる。止めようとしている者もいるが、簡単に鎮まりはしないだろう。なんせ、本当に異世界に来てるんだから。


 そうこうするうちに、一部の高校生たちが魔法を使い始めた。

 特殊能力として、魔法を選んだ者たちだろう。炎の塊や水の塊を飛ばしまくっている。楽しいのは分かるが、騒々し過ぎる。

 ついにCAさんたちが彼らを宥め出した。もう、CAの立場に縛られる必要はないだろうに、真面目な人たちだ。

 俺が感心しながら眺めていると、ひときわ美人なCAさんに、ひどく睨みつけられた。


 そこに進み出たのが、身長2メートル近い大男だ。

 うおっ、アヅマ・リュウキじゃん!現役バリバリのプロレスラーだ。まさか、同じ飛行機に乗っていたとは。

 アヅマ・リュウキが大声で何か言うと、さしもの高校生たちも一瞬で静かになった。

 委員長だか生徒会長だかが、アヅマにペコペコしている。高校生も、暴走したヤツばかりではないらしい。

 美人CAさんは、まだ睨んでる。





 さて、と。俺も仕事をするか。

 周囲の様子ぐらいは、おじさんが探って来た方が良いだろう。この森の危険度が分からないまま、夜を迎えるのは怖すぎる。

 俺は近くにいた人の好さそうな男に声をかけた。

「なあ、このテント、俺たちで使わないか。で、他の奴らに取られない様に見てて欲しいんだけど」

「おお。でも良いのか、そんな勝手な事をして」

「後から何か言われたら、その時さ。他に好さそうなヤツがいたら、仲間にしていいからさ、頼むよ」


「ああ、分かった。で、あんたは?」

「ちょっと森を見てくる」

「なるほど。実は俺、料理人なんだ。食えそうな物があったら、持って帰って来てくれるか?」

「お、良いね。イノシシでも捕れるかな」

「いきなりイノシシか?ウサギ程度からで良いぞ。俺は榊原だ、頼む」

「虎須大吉だ」


 俺は手を振りながら、森の奥を目指す。

 スーツ姿で革靴だから違和感ありまくりだが、仕方ない。

 と、後ろから足音が付いて来る事に気が付いた。振り向けば、アヅマ・リュウキの巨体が目に入った。

「どうしたの?」

「いや、一人で森に入るのが見えたからな」


「護衛でもしてくれるのか?」

「どっちかと言うと、興味本位かな」

「なるほど。ちょっと偵察に来ただけだよ」

「付き合うよ」

 ニヤリと笑うアヅマ。身長2メートル近いバランスの取れた体型に、金の長髪。端正な顔立ち。野性的な笑い方が、イヤになるぐらい似合っている。


「好きにしなよ」

 やさぐれた40代は、強がるしかないのである。

「俺はアヅマ・リュウキだ」

「知ってるよ。Tシャツも持ってる。俺は虎須大吉だ」

「お、買ってくれたのか。嬉しいねぇ」

「デザインが良かったからな。ネットで買ったんだ」


 てな話をしてると、前方の開けた場所に、小さな影がいくつも集まっているのが見えた。

 ゴブリンだ。

 ただし、10体以上いる上、みんな槍やらこん棒を持っている。

「デビュー戦には、ハードルが高いかな?」

「あの程度、大した事ないだろ」

「さすが、プロレスラー」

 

 今にも飛び出そうとするアヅマを、そっと押し留める。

「俺、中級魔法が使えるからさ、先に撃ち込ませろよ」

「分かった。それを合図に飛び込む」

 もう、アヅマは飛び込みたくて仕方がないらしい。

 俺は火の中級魔法、ファイヤージャベリンを唱えると、一番偉そうにしているヤツの土手っ腹にぶち込んでやった。


 身体をくの字にねじ曲げ、吹っ飛ぶゴブリン。

 それを確かめる間もなく、突っ込むアヅマ。そのアヅマの全身が薄く光を放っている。防御魔法なのか攻撃魔法なのか……。

 俺ももう一発ジャベリンを撃ち込んでから、アヅマの後に続いた。

 俺の選んだ特殊能力は、元々のデフォルト能力の強化である。日常生活レベルの火と水魔法は中級に。肉体と感覚の微強化は常時7倍強化に。現地語は主要7か国語に。何が主要なのかは知らんが。


 だから、アヅマ程ではないにしろ、けっこうヤれる筈だ。

 ただ、ケンカは高校時代からだいぶブランクがあるが。

 アヅマに気を取られた槍持ちに、横からケンカキック。ぶっ倒れたところを上から踏みつけ、鎖骨を折り砕く。槍を奪い取ると、躊躇なくその首に穂先をねじ込む。

 振り回され気味だが、7倍の肉体強化が良い仕事をしてくれる。もっと力の制御に慣れる事が必要そうだが。

 

 よっしゃ、次!と振り向いたが、もう立っているゴブリンはいなかった。

 アヅマ・リュウキが満足そうに見栄を切っているだけだ。

 俺がジャベリンで2体、槍で1体倒す間に、この男は7体以上のゴブリンを、素手で叩きのめしてしまったらしい。どんな能力を使うのか、見ておくべきだったか。

「すごいな、さすが、アヅマ・リュウキ」

「へへへ……」


 しばらく周囲を警戒していたが、それ以上ゴブリンが現れる様子はなく、倒れた連中が立ち上がる気配もなかった。

 殺しをしたというのに、気分が悪くなる様子もなかった。さすがに、高校時代に殺しまでは体験していない。

「で、こいつらからも魔石は採れるのかな?」

「採れても、ショボいのだろ?」

「まあ、そうだろうな」


 でも、ものは試しと、俺はゴブリンの持っていた短剣で奴らの胸を切り裂いていった。心臓の辺りに、黒色のビー玉程度の石があった。これが魔石らしい。

 ゴブリンの胸を切り開くのにも、何の躊躇いも感じなかった。

 もしかすると、必要ない忌避感は取り除かれているのかもしれない。この後、森の中で過ごす人たちがどんな様子か見ておこう。虫や闇を怖がる人間がいなければ、俺の仮説が当たっている可能性が強い。


「ビー玉ぐらいとは、確かにショボいな」

「だろ?」

 アヅマがいらないと言うので、俺は10個以上のゴブリンの魔石をスーツのポケットに入れておいた。

「武器も手に入ったし、肉になる獲物が欲しいな」

「まずは、食料狙いかい?」

「この森で生活出来るかどうか、早めに結論出したいからな」


 俺の言葉に、ふむふむと頷くアヅマ。

「分かった。俺は考えるのは苦手だからな。大吉さんの言う様にやってやるよ。まずは、食い物ね」

 そう言うと、のっしのっしと森の奥へ向けて歩き始める。

 俺も、初っ端から良いヤツに当たったと思いながら、その後に続いた。

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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