第1章45話 「世界の終わり(エピローグ)」
第0章、最終話です。
思ったよりも早くに迎えました。
一方で紗々に呼ばれるような形で登場した
黒いコートのような服をまとった慶は
アナスタシオスに向けて落下しながら
真っ二つに斬り殺す。
血が吹き出ながらもアナスタシオスは
余裕の笑みで笑いながらそのまま崩れ落ちていく。
身体のほとんどは慶の持っていた《鬼の蹄》で吸収した。
だがその吸収した中に精神干渉でアナスタシオスとみられる
妖怪?を探そうとするも見つからず
意識だけをなくした総大将の身体だけあるのがわかる。
…一件落着とはいかない状況に紗々は疲れた様子で
慶を見る。
「…いる?」
「…いいえ。いません」
その様子を頭を抱えまた足を抑える紗々に対して
座り込むように倒れるディオミスが口を開いた。
「…ここにいるのでしょうか?」
「わからないわ…いないのであればどちらにせよ
作戦は失敗、ツキネに報告とかしなくちゃいけないかしら」
「あの…」
口を開いたのは慶だった。
それに対して顔ではやっちまったという表情の紗々が
それに応えようとするも先に答えたのはディオミスだった。
「何でしょう?」
「結局アナスタシオスは殺せなかった。
だけどそのあんたらの言う"ツキネ"ってのはどうして
そこまでアナスタシオスを追い求めて殺そうと思ってるんだ?」
「…難しい質問ですね。
ですがここにいても多くの者によって殺されるだけ。
どうしますか?」
「どうするって…?」
ディオミスはやけに静かになった空を見る。
満月はいつしか灰色の雲に隠れていた。
周りは夜戦をするために松明の明かりしかない。
そんな薄明りのついた場所の奥からよく耳にする
音を微かにだが慶は耳にした。
何か長く鋭い軽いものを振り回したり
突いたりするような金属製のものが風を切る、
そのような音が集中してその奥で聞こえた。
「…どうして私たちが急いでいたか。
理由は分かりますか?」
「…理由…?」
「元々妖怪は何と戦う予定でしたか?」
はっと我にまた芯を突かれたように
慶はそれを思い出す。
何と戦うか?
アナスタシオス?いいや変装していたし、
またもう既にこの場にはいない。
反百鬼夜行?黒鳥の今は知らないが戦う前に
同盟を反逆罪で百鬼夜行側のほとんどが一掃した。
ならば、残りは。
思い当たる節は一つしかない。
「…陰陽師?」
「ええ。陰陽師が今まさに乗り込んでいる、
今先ほどからこちらに近づくようにして聞こえてくる
音の正体こそ陰陽師道の者たち。
元々この戦争は妖怪と陰陽師との間に亀裂が入って
起こった戦争だったのです。
まあアナスタシオス(かれ)がほとんどを殺してから
滅茶苦茶にするのでしたら計画は阻止できましたが
肝心の戦争は止められていない。
―妖怪すべてが死ぬまで戦争の火種は消えないでしょう。」
「そんな…!」
慶は思わず身を引きながら驚く。
もう肩で息をするくらい弱った紗々を見て
ディオミスは少し焦りながら早口にしゃべる
「時間はありません。
山城慶さん、あなたはどうしたいですか?
ここに残るか、それともここから離れて…
私たちと一緒についてくるか。」
慶は不安がられていた。
それはわからない。
だがここに残れば確実に…というのは頭によぎった。
そのとき何かの怒号のような轟音が聞こえた。
その音に、慶は銀次郎を心配した。
行くべきか、行かないべきか。
紗々さんの肩を持つディオミスは真剣なまなざしで
また時間がないということを再確認させるような目つきで
睨んでいる。
まさにそのときあたり一帯の火が消える。
そして周囲に目線と気配を感じるともう
時間は残されていないことが分かった。
ディオミスは手を差し伸べた。
慶は迷いながらだが確かにその手を取ったのだった。
・
怪村に避難した美世、さとり、孕子
並びに緊那羅に届けられたのは悲報だった。
坂崎銀次郎ならびに香山由理が陰陽師によって
殺害されているところを偵察隊が目撃。
その後電報で伝えられるも偵察隊も帰らぬ者となり
妖怪と陰陽師との争いは陰陽師の一方的勝利に終わる。
妖怪は何の利益も生み出さないと
陰陽師は次々と近辺の妖怪を殺害、処刑することとなる。
怪村だけは秘密裏にある
場所であるためにそれを免れる。
唯一、山城慶と峰崎紗々の行方と死体が発見されておらず
また未来永劫その世界線では見つかることはなかった。
個人個人のその後の状況は……ここでは伏せておくこととする。
『Bad End』
最後までご覧いただきありがとうございます。
あくまでも第1章の最終話なので第2章への伏線がかなり膨大に書かれています。
なので謎回…だった?かと思います。
さて第2章は来月の投稿になる(※投稿済みです)のですが
毎月10話載せるということなので
次の話は人によっては蛇足な番外編となります。
見ても見なくてもストーリー上に関係はあまりありませんが
主に容姿について濃く書いた内容となっています。
こちらは暇があったらご覧ください。
では次章お楽しみに。




