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剣士無双

勝手に新作連載始めてごめんなさいごめんなさい。

「くっそ、これじゃキリがない」


 俺、イガさん、アランの三人で範囲攻撃を仕掛け、かなりの数の魔物は殲滅したとは思うが、それでもまだまだ俺達の方へ魔物の群れが向かって来る。


 無限に沸いて出てるんじゃないかと思うくらいだ。正直言ってここで時間を潰している暇もない。


「ったくめんどくせえ、ボウズ、出来るだけ多く一ヶ所にまとめられるか?」

「イガさん、何か手でもあるのか?」


 イガさんが提案してくる。さっきの技を見る限りではまだまだ手札はありそうだが。


「ああ、あんまり広い範囲には使えねえが、オレの考えが正しけりゃまとめて吹っ飛ばせるだろうよ」

「分かった。やってみる」


 とは言ってもあれだけの数を一ヶ所にまとめる、か。何かいい魔法はあるかな……


 ああ、上空からあれを撃てばいけるか。


 ベレッタを抜き、ブースターで一気に上空に駆け上がる。上から見下ろしてみればげんなりするような魔物の数が見てとれた。


「こりゃあいくらなんでも多すぎだろ……」


 とは言ってもこれが一気に減らせるのなら是非もない。ここはイガさんを信じてやってみよう。


「ツイスター・ダブル」


 デザート・イーグルも抜き、ベレッタあわせて左右から竜巻を巻き起こす。


 外側から内側へ、左右の竜巻が魔物の群れを飲み込み、二つの竜巻を一ヶ所に導く。


 合わさった竜巻は更に規模を増して周囲の魔物を文字通り一ヶ所にまとめることに成功した。


「イガさん! いいよ!!」

「上出来だ。行くぜ」


 イガさんが腰だめに小狐丸を構える。この構えは暴風?


「コン、四尾だ」

『コオオオオオオオオン!!』


 イガさんの声に反応してコンが鳴き声を上げる。見れば小狐丸が赤く輝いているのが見えた。


「食らいやがれ!! 暴風爆!!」


 ゴッ、という音とともに竜巻に向かって小狐丸が振るわれる。


 そして刀から竜巻に向かって一直線に何かが飛んでいき、竜巻に到達する。


 ドゴオッ! という大きな音が鳴り響き、大気を震わせる。見れば竜巻を飲み込むほどの爆発……ってマジか!!


 ……これは流石にひとたまりもないだろうな。


 予想通りと言えば予想通りだが、魔物の死骸が四方八方に飛び散り、地面に落ちていく。


 皮、肉、臓物、ある意味素材の宝庫だが、見ている側としてはスプラッタで正直あまりいい気分にはなれない。


 だがよくよく見ればその中でも僅かに蠢く魔物がいた。恐らく外側にいた魔物がクッションになって威力が落ちたのかもしれない。


「後は俺がやろう。ファルコ、行ってくれ」

『承知した、奴等の肉片も残らぬほど切り刻んでこよう』


 アランの剣、ファルコンから精霊ファルコが顕現する。俺達の可愛い系精霊とは違って勇ましいハヤブサの姿だ。


 --ちょっとうらやましい。


 そんなことを思いながらファルコを見ていると、これまたとんでもない速度で飛んでいく。


 何をするのかと見ていると、ファルコは翼を大きく広げて魔物の周りをグルグルと周り始めた。


「お、おぉ……これはまた……」


 最初は俺のように竜巻でも起こすのかと思ってみていたが、よく見れば生き残った魔物に無数の切り傷が刻まれている。


 まさかかまいたちを起こしてるのか? いや、原理がわからないから他に例えようがないだけなんだけども。


 ファルコはどんどん速度を上げて回り続ける。速度を上げる度に魔物は切り刻まれ、いつしか細切れの肉片と化し、更に細かく切り刻まれて目には見えないレベルになってしまう。


 こわい、ファルコマジこわい。


 今度からファルコが俺の周りを回り始めたら逃げることにしよう。


 冗談はさておき、先の攻撃にしても今の攻撃にしても、二人ともレベルアップしすぎだと思う。


 正直俺の魔法なんてなくてもいいような……しかも近接戦闘は確実に二人の方が実力が上だし、精霊を味方につけるだけでこうも違うものか。


『拗ねない拗ねない。あの二人とコウとじゃ役割が違うんだから』


 と、俺の心中を見透かすかのようにビゼンが声をかけてくる。いや、別に拗ねちゃいないさ。多分。


「ほっほっほ、派手じゃのう」

「先生の魔法もスゴいけど、あの二人のは何あれ? 魔法なの?」


 皆のところに戻ってきたら早速レイン爺さんとサニーが話していた。


 サニーは俺が魔法を教えたたこともあってか、ある程度大規模な魔法を見ても驚きはしない。


 だけどあの二人のはもはや魔法じゃないしな。精霊術とでも呼ぶべきだろうか。


「さあ、道が開けた今がチャンスだ。一気に駆け抜けよう」


 アランが呼び掛けてくる。こういうところが勇者っぽい。


「あ、でもレイン爺さんとサニーが……」

「心配はいらんぞい。まだまだ若いもんには負けるつもりもないでのう。サニーちゃんはワシが担いで行くわい」


 うんまぁこの爺さんなら大丈夫そうだ。


「よし、なら一気に行こう。全速力だ!」

「ハッ、そう言ってドンケツになるんじゃねえぞ!」


 ブースターを発動し、全速力で前へ飛ぶ。最初の頃は身体にかかるGのおかげで気持ち悪くなったりもしたもんだが、人間なんでも慣れるもんだな。


 流石にこの魔法があって速度で負けるわけにはいかない。


 --そう思っていた時期が私にもありました。


「じゃあなボウズ、先に行くぜ」

「コウ、悪いが先に行くぞ」


 二人の身体が輝いている。ライトニングを使用したようだが、いくらなんでも身体能力上がりすぎじゃね?


 そこまで一気に追い抜かれたわけではないが、それでも徐々に差を空けられていく。マジかよ……


「若いというのはいいもんじゃのう」

「げっ、爺さんまで」


 追い抜かれてはいないが、同じくらいの速度でレイン爺さんがついてくる。これはいい加減拗ねていいレベルだと思う。


 再び前方を見てみれば、イガさんとアランが競うように並んで走っている。いや、少しアランの方が早いか?


 と、思っていたら前方に黒い壁のようなものが立ち塞がっているのが見えた。


 --いや、壁じゃない、あれは……


 どこかで見たことがある。あれは確か魔物だ。


 そうだ、あれは!


「イガさん! アラン! あれはベヒモスだ! 気を付けて!!」


 そうだ、王都を襲ったあの巨大な魔物だったはずだ。しかも今見えているのは王都の時のそれよりも大きい。


 だがイガさんもアランも見えていないわけがないのに、全く速度を落とす様子がない。


 まさか……


「邪魔だ!!」

「どけえっ!!」


 二人が獲物を抜き放つ。うんやっぱりそのまま突っ込むつもりだね二人とも。


「コン、二尾だ。アイツを骨まで溶かすぞ」

「ファルコ、ウィンドブレード」


『りょうかいしました!!』

『承知した。存分に振るうがいい』


 小狐丸の刀身が赤く輝き、ファルコンの刀身の周りを風が渦巻いている。


「軛落とし」

「ウィンドピアース」


 イガさんがベヒモスの首に斬りかかり、アランは心臓を指し貫こうとする。いや、ちょっとそれはいくらなんでも……


 慌てて加勢に向かおうとした俺だったが、結局その心配は杞憂に終わる。


 ベヒモスの首は綺麗に切断され。


 胴体には向こう側が見えるほどの空洞が出来ていた。


「ちょ、え?」


 以前に戦った時は外皮があまりに堅く、俺の魔法で外皮を溶かしてやっと首を跳ねたはずだったのに。


 今はこうも容易く、両者の一撃でその巨体が地に落ちた。


「おお、二人ともすごいのう」

「なんなのあの二人、化け物じゃないの……」


 サニーの言葉に思わず頷いてしまう。いくらなんでもあれは無茶苦茶だ。


「ボウズ、ぼさっとしてねえでとっとと行くぞ!!」


 挙げ句の果てにイガさんに叱咤される。え? 俺が悪いの?


 マジで俺の出番ないんじゃないのかこれ……?


新作兼第二部です(宣伝)


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