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刀鍛冶と試行錯誤

もうすぐユニーク1,000PV!! 読者の皆さんありがとうございます!!

さてさて、この展開は読まれてそうですが、そう言わずにお読みください。

 --カーンッ、カーンッ。


 物が雑多に置かれているせいか、狭く感じる部屋で槌を振るう。とは言っても実際には親父の指示に従い、相槌(向こう槌)を打つ作業中である。


 まさかの高校受験不合格により、留年して高校に入るか、就職するかの選択を迫られた俺は、無理を承知で親父に刀工としての技術を教えてもらえないか頼み込んだ。


 当然その職の厳しさを知っている親父は直ぐには首を縦に振らず、再度高校受験を勧められたのだが、俺自身刀の魅力に惹かれていたし、何より自分で自分の刀を打ってみたいと強く感じたからだ。


 三日三晩話し合った結果、内弟子として雇うが、給料はなし。作業中は親子の扱いをしない。才能はなくてもいいが、根気が見られないようならすぐに破門する。ということで決着がついた。


 それから4年、中学生の頃の友人達は大学に、社会にとそれぞれの進路を決めて、時々連絡を取るときには遊びに、仕事に忙しそうにしているが、当の俺は親父の仕事に同行し、作業を見ながらの説明を受けて理解に費やすこと半年、日本刀を作る手順を覚えること半年、水挫みずへし(砂鉄と炭素で作られた玉鋼を熱して打ち伸ばし、急速に冷やすことで板状にすること)を失敗し続け、小割りを失敗し続けて叱られること一年。


 それでも諦めず、失敗するごとに力の強弱を変え、ひたすらに作業を繰り返してきた。


 結果、丸二年が経つ頃、親父が昔使っていたという槌を渡され、折り返し鍛錬、下鍛えの相槌を打つことを命じられ、また失敗を繰り返して叱られながら、ようやく様になってきたところだ。


 また、空いた時間は刃先の欠けた日本刀から包丁まで、ひたすら刃物を研ぐことを命じられる。包丁は最初だけで、実際に刀を研ぐことを命じられた後は、その後刀だけを研ぐこととなった。どうやたら研ぐという行為を覚えさせるためだけに近所から切れ味の悪くなった包丁を無償で引き受け、練習がてらご近所様に貢献する。という目的があったらしい。


 正直ここまで下積みが必要なものだとは思っておらず、前世では特に手入れもせずに剣を振るっていたことを申し訳なくも思う。値段の高低に関わらず、それだけの手間が必要なものだのだから。


 閑話休題。


 親父が言うにはあと二年も必死で頑張れば刀を一本打つことを許すと言われた。身内びいきかもしれないが、実際に俺の頑張りが評価されたようで、その時は思わず「マジっすか!?」と言って親父を苦笑させてしまったが。


 その他の近況だが、18歳になった俺は色々と出来ることが増えてきた。


 剣術では二刀流のスタイルは捨てず、日々修練を重ねている。イガさんとの立会いがメインなのは今でも変わらない。二刀流を継続している理由だが……結局のところはイガさんに勝つためである。だってあの人もう30過ぎなのに相変わらずの馬鹿力なんだもの。憧れはするが、勝つことを目標にする以上、及ばない分野で勝負する必要性を感じなかったことも理由の一つである。


 ちなみに最近では魔法無しで勝率は3割近くになっているが、イガさんも腕を上げているため、いつもギリギリの勝負である。よく大怪我せずに今まで続いたものだと我ながら感心する。


 魔法の修行に関しても、相変わらずベレッタを愛用し、あーでもないこーでもないと上手い活用法がないか試行錯誤している。

 今のところ銃に魔力を送る際、同時に二属性を送り込むことまでは成功したが、三属性以上の同時発動には成功していない。

 二属性同時とは言っても、片方の属性は射出するイメージに風属性が必要になるため、風属性プラス火属性などだ。つまり今まではほとんどただの空気鉄砲だったわけだが。

 ちなみに組み合わせた結果はこんな感じだ。


 ・火属性と風属性

 レーザーをイメージして見たが、結果としてはバーナーのような火がビューンと伸びていった。これはこれで成功なんだろうが、何故だろう。釈然としない。


 ・水属性と風属性

 銃口サイズの水がピューッと(略)


 ・地属性と風属性

 岩を研磨し、弾丸状の石を射出することに成功した。今のところこれが実用性のある魔法だろうが、いかんせん威力が足りず、いいとこエアガンくらいの威力である。


 という状況だ。若干悲しくはなったが、何度か繰り返し試しているが、今のところ得られる結果は変わっていない。


 また、二属性の同時発動に成功した際に、刀にも属性魔力を送ってみたところ、左手と右手で別属性を送り込むことが出来た。これは元々複数属性を使うことが出来た経験があるためか、それほど苦にすることはなかったが、違う属性を同時に送り続けるという思考リソースの不足故か、取り込んだ魔素のロスが大きいので余り長時間は使えないし、威力もそこそこでしかない。使うなら斬り込む一瞬の発動が好ましいと思われる。


 またまたちなみに竹刀に属性を付与した結果はこんな感じである。


 ・火属性

 燃えた。


 ・水属性

 へたった。


 ・地属性

 重くなった。


 ・風属性

 内側から裂けた。


 とてもじゃないが付与とは呼べない。竹刀なのが原因だとは思うのだが……これも時間をかけて要検証である。


 最近になって剣術に、魔法に、刀鍛冶にと勤しむあまり、アクリスのことを思い出す機会が減ったように思える。手段が目的にすり替わってるんじゃないかと不安になってしまったこともあるが、不安に思えるということはまだ元の世界に戻りたいという気持ちが残っている証拠だろう。


 そして気になることが一つあり、魔法の発現が比較的容易になって来た頃から、魔素を属性魔力に変換する際に違和感を覚えることがある。


 火や水の属性魔力に変換する際には特に気にならないが、風や地、特に地属性の魔力に変換する際に、何か別の属性魔力に変換出来そうな、出来なさそうな、そんなむずがゆい感覚に陥ることがあった。


 ただそれが何の属性かがハッキリせず、イメージが固まらないために、結局地属性にも変換失敗し、取り込んだ魔素は砂に変わり、魔力は霧散してしまうという結果になってしまうため、一時を境に気にすることを止めている。


 もしかしたらアクリスに戻った際に何か掴めるかもしれないが、そもそもが独学で修行を重ねている以上、分からないことを延々と考えていても答えは出ないだろう。そう割り切ることにした。


 --そしてそれから二年。成人とともに転機は突然訪れる。

職人さんってカッコいいですよね……しがないサラリーマンからすれば憧れる職業です。

さて、ようやく、と言っていい頃合でしょうか。次回は彼の幕間を挟み、次の展開が訪れます。どうぞお付き合いください。

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