22話
「結構並んでますね」
「そうね」
俺と美和先輩は今、ショッピングモールの中にある、たこ焼き屋の専門店に来ていた。
行列ができるほどではないが、まぁまぁ並んでいるので、少し待たなければならい。
その間に俺は、少し気になっていた事を聞いてみることにした。
「美和先輩は、出かける時はいつも、さっきのようなことがあるんですか?」
「さっきのこと?」
どうやら何の事か分かってないらしい。首を傾げながら、俺の方を見てきた。
「ナンパの事です」
「そのことね」
教えてあげると思いだしたようだ。
「で、どうなんですか?」
「そうね。確かによく出かけたりしたら、よく視線を感じたりしてたわ。たまに今日のようにナンパされた事もあったわね」
「・・・・そうですか」
どうやらよくある事らしい。
「・・・・気になったりとかはしないんですか?」
「何に?」
「・・・・まわりの視線とか、ナンパの事とか」
俺だったら絶対気になって仕方がない。それどころか外出すらしなくなるだろう。
「しない事はないわ。でももう慣れたわ」
俺は、美和先輩の事を凄いと思ってしまった。いくら慣れたからといって、大勢の視線や、ナンパなどは少しは気にするはずだ。なのに美和先輩は、そんな事全く気にしていないのだ。
「でも、流石にナンパは鬱陶しいわ」
「・・・・そうですか」
どうやらナンパは鬱陶しかったようだ。
「一体ナンパの何がいいのかしら。ね、侑大くん」
「知りませんよ」
俺の目を見ながら言ってきた。
「フフ、侑大くんはナンパした事ないの?」
「ありませんよ!」
美和先輩は悪魔のような笑みを浮かべて聞いてきた。
「そうなんだ」
笑顔で俺の方を見てくる。俺をからかって遊んでいるのだ。
そんなやりとりをしていると・・・・
「次でお待ちの方どうぞ」
どうやら順番が来たようだ。
俺と美和先輩は、注文しに行く。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
店員が聞いてくる。
「どれも美味しそうですね」
「そうね。何にするか迷うわ」
どうやら本当に迷っているらしい。
「侑大くんは決まったの?」
「はい。ネギたこにしようと思います」
「そう。なら私は普通のたこ焼きにするわ」
店員に注文し、先にお会計をすまして、たこ焼きが出来上がるのを待つ。
「お待たせしました」
俺と美和先輩は注文していた、たこ焼きを受け取り、空いている席へと向かった。
「食べましょう」
「そうですね」
俺は、自分のネギたこを口の中にいれた。
「アッ!!」
口に入れて噛んだ瞬間、火傷をするかと思う程あつかった。俺は急いで水を飲んだ。
「フフフフ。侑大くん何してるるのよ」
それを見て美和先輩は笑っていた。
俺はあつさに耐えながら飲み込んだ。
「火傷するかと思いましたよ」
「冷まさずに飲み込むからよ」
美和先輩はそう言いながら、たこ焼きを口元まで持っていくと、フゥフゥした後に食べていた。
「美味しいわ」
「・・・・そうですか」
確かに美味しそうだ。
俺が見ているのに気づいたたのか美和先輩が此方を見てきた。
「侑大くん。普通のたこ焼き欲しいの?」
「・・・・いや、別に」
「嘘ね。本当の事をいいなさい」
美和先輩が、俺の目を見てきた。美和先輩の目を見てしまうとなぜか嘘を付けなくなってしまう。
「美味しそうに食べてたから、欲しいと思いました」
「そう。なら、私のたこ焼きを侑大くんにあけるから、侑大くんのネギたこを私に頂戴」
「いいですよ」
「交渉成立ね」
さっそく俺は美和先輩のたこ焼きをとろうとすると・・・・・・・・
「くれるんじゃなかったんですか?」
美和先輩は手でふせいだのだ。
「あげるわよ。私がね」
そう言うと美和先輩は、たこ焼きを俺の口に近ずけてきたのだ。
一体何を・・・・・・・・まさか!
「はい。あ〜ん」
「!?」
俺の悪い予感が当たった。
「どうしたの?欲しいんでしょ?」
美和先輩は悪魔の笑みを浮かべながら言ってきたのだった。
お久しぶりです。
評価よろしくお願いします




