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恐怖【石原】

「ここは…。どこ?」


見渡す限り暗闇の世界。


身動きを取ろうと動こうとするが手足は全く動かない。


手首と足首に違和感を感じる。


何かに固定されてるの?


どうやら座った状態で椅子に固定されているようだ。


どうして?


自分がなぜこんな状況になっているのが冷静になって考えてみる。確か最期の記憶は…。


自分の記憶を呼び覚ます。


確か、真司に好きだって言われて、顔を真っ赤にしているところで、おばあちゃんから気を付けて帰ってくるよう電話があったんだ。


記憶必死にたどって行くと、記憶が映像のようによみがえってきた。


そう、そのあと心配かけないように急いで帰ろうとしたら後ろから声を掛けられたんだ。


『会うなと言ったろ…。」


あの時掛けられた冷たい声を思い出す。体が小刻みに震えだす。


そうだ、そのあと振り向く間もなく体がしびれて、意識が…。


首のあたりがピリピリと痛む。気絶するほどの何かをされたのだろう。


犯人に心当たりはある。雑誌に載ってしばらくしてから現れたストーカーに違いない。


どうしよう…。


恐怖のあまり頭が回らない。手足の自由を奪われ、視界も無い。自分が経験したことのない恐怖が体中を駆け巡り、思考が停止する。だめだ、何も考えられない。どうしよう怖い怖い怖い怖い。


「助けて!」


動きが極端に鈍った思考の中でひねり出したものが、助けを呼ぶことだった。


自分の声がむなしく響く。誰も周りにいないの?


「誰か助けて!」


叫ぶが自分の声が反響するだけだ。


もう真司に会えないのかな?


「いやだよ…。助けて真司…。」


必死にこらえても、出てくる言葉は今にも消えそうな蝋燭のようにか細く、震えていた。

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