驚き
叔父さん叔母さんとの会話を純粋に楽しんでいたら耳に装着した無線機から家倉君の声が聞こえてきた。原田さんが付けていた無線機なのだがロングの髪でうまく隠している。
見つかったのね。
談笑が一通り終わり3人の中でわずかな沈黙が出来た。
さて、本題に入りますか。
私は若干の緊張を隠すように座っていたソファーに座りなおした。
「叔父さん、叔母さん。」
「ん?」というと二人はこちらを見つめた。
今まで楽しく会話をしていたのだが少し強張った私の表情を読み取ったのか二人は笑みを消し様子をうかがうよな表情に変わった。
「なあ家倉。公園で聞いた仮説なんだがどうしてそういう結論に至ったんだ?」
俺は家倉が考えた仮説は簡単な説明はあったがほとんど結論しか聞いていない。公園で聞いた時はその内容だけにあまり気にならなかったのだが、冷静になった今どうしてその答えにたどり着いたのか気になって仕方がなかった。
「一つ一つのピースを繋ぎ合わせたんだよ。」
家倉は俺の方を向き、どうしてその結論に至ったのか経緯を話し始めた。
「まず、最初に不思議に思ったのは石原氏の父上からバットを持って追いかけられたというエピソードだ。」
思わず顔をしかめる。やはりあまり思い出したくはない思い出だ。だが正直バットで追いかけられるほどの事をした覚えは無いのでいまだに理由はわからずじまいのままだった。
「この話を聞いて単純に思ったのは窓に小石を当てることが父上にとってはバットを持って追いかける程の事だったということ。」
まあそうなるんだろうな。
「次に隣に住んでいるのに二人はある日を境に全く出会わなくなった事。」
どんなに時間をずらしても出会うことが無かった。
「これは恐らく石原氏がそもそも家にいないんじゃないかなと思ったんだ。」
「確かに長いこと一緒にいすぎたせいで家にいないなんて結論に至りもしなかった。」
俺は自嘲気味に笑った。
「次に石原氏は『街中で出会った美女』という雑誌の特集に写真が掲載されたこと。」
「あとはこの三つを軸に今までの登場人物の会話をつなげていくと…。」
私は絞り出すような声でその言葉を出した。
「美香、誰かにストーカーされてるの?」
叔父さんと叔母さんは驚きの表情へと変わった。