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44.チェックイン

電車に揺られることしばらく、旅館に到着。

荷物を適当に置き、部屋の奥へ進むと。


「見て!」


やや興奮気味の声の先には、どこまでも広がる青い海。

その手前には、この客室にも設けられたどでかい露天風呂。

そして何より、絶好のロケーションの中で一際映える、

絶世の美少女にして俺の彼女、水橋雫。


「オーシャンビューだよ! オーシャンビュー!」

「だな」


かつての女神めいた神秘的な雰囲気はどこへやら。

今は年相応にはしゃぐ一人の女の子でしかない。

どちらかと言えば、俺は今の雫の方が好きだけど。


「綺麗だねー」

「雫ほどじゃないけどな」

「……ベタ中のベタだし、言われるかもとは思ってたけど、

 そこまで分かってて何で胸が痛くなるんだろ」

「それだけ俺を好きでいてくれるってことだろ。ありがとな」

「うぅっ、自信持った怜二君は無敵だよっ!」


ここに関しては自信を持って言える。

というか、自信持たなかったら雫の彼氏でいる資格はねぇよ。

で、それはそうとして。


「雫、ちょっとこっち来い」

「何? あっ……」


何も言わず、抱きしめる。

二人旅だっていうのに、二人きりになるまでに時間がかかった。

となれば、二人きりの時はイチャつきたい。


「時間はあるけど、な」

「うん……ボクもこうしたいと思ってたし、

 怜二君が望むなら、いくらでも」


風呂の時間にはまだ早い。

それまではどう過ごそうかね。




「んーっ……はぁっ」


二人並んで、畳にごろ寝。

俺も雫も部屋の床はカーペットだから、こういう経験は少ない。

雫の家はリビングに畳スペースがあるけど、俺ん()はないから、

なおのこと新鮮。


「日本人は畳だねぇ……落ち着く……」

「そうだな……」


俺からすると隣に雫がいるという状況なんで、

畳のリラックス効果など焼け石に水なんだがな。

雫はその辺の切り替えがちゃんとできて……


「……けど、こっち向くと落ち着かない」

「俺もだよ」


いなかったな。俺と一緒だったわ。

付き合って3ヶ月になるけど、隣に雫がいることには未だ慣れん。

とはいえ、慣れ過ぎるのも危険だ。

何もかもが当たり前と思ったら、取り返しのつかないことを招く。

こんな奇跡が起きた今だからこそ、雫を大切にしなければ。


「雫、ちょっと頭上げられる?」

「ん……こう?」

「あぁ。……はい、下ろしていいぞ」

「あっ……」


それはそうとして、ここでできるカップル的な行為と言えばこれか。

雫の頭の下に俺の腕を置き、そこに寝かせる。

所謂『腕枕』というヤツ。


「寝にくいとは思うが」

「ううん、あったかい」

「そうか」


心地よい重みを感じながら、お互いを見つめ合う。

それだけで、流れる時間は特別。


「今日だけで、もう三つ目」

「何が?」

「爪を褒めてもらって、抱きしめてもらって、腕枕してもらって。

 ボクがしてもらいたいと思ってたこと、三つもされた」


どうやら、俺も雫の勘の良さに似てきたところがあるらしい。

それが雫を喜ばせることになるなら、何よりだ。

で、多分これも当たってるはず。


「三つじゃ全然足りないだろ?」

「えへへ、そこまでお見通しかー」


普段中々できないことをしてるんだ。

やりたいことなんていくらでもあるだろ。


「それじゃ、もう少しゆっくりしたら遊ぼ。色々持って来たから」

「了解」


何もしない時間も、何かする時間も楽しい。

今日はいくつ、雫の望みを叶えられるだろうか。




「怜二君後ろ!」

「おっと!」


雫が持ってきた携帯ゲームで協力プレイ。

対戦系だと俺じゃ相手にならんだろうし。


「そっちのエリア行ったぞ!」

「任せて!」


主な行動は雫に任せて、俺は補助的な役割を。

やはりこういうのは性に合うな。脇役生活長かったし。

今後はそこで得たスキルはこういうとこで使う。


「クリアー!」

「よっしゃー!」


実に、楽しい。

どちらかの家でもできることではあるが、

何も旅先でしかできないことをする必要もない。

そういう要素は温泉があるから十分だし。


「ところで怜二君、温泉街とかはいいの?」

「特には。雫が行きたいならついてくけど」

「ボクも怜二君次第なんだよね。どうしよっか?」

「んー……」


お互いに譲り合うと決まらない。

時間は……中途半端だな。どうするべきだろうか。

……待てよ。そういえばこの旅館って。


「大浴場行ってみるか? 客室の風呂は夕食の後にして」

「いいね。折角だしそっちも入りたい」


温泉旅行の楽しみは温泉。それをしっかり楽しむことにしよう。

そうと決まれば、用意するか。




大浴場は普通に男湯と女湯に分かれている。

時間が早めなこともあって、入るのは俺一人……かと思いきや。


「おぉ、また会ったな」

「どうも」


シゲ爺が温泉に浸かっていた。

日帰りという話だし、それならこの時間にいるのも妥当か。


「ムキムキじゃな。いい身体をしているとは思っていたが、ここまでとは」

「鍛えてるんで」


どういう魅力かは違えど、『脱いだら凄い』という言葉は男女共通。

食う・寝る・鍛えるを続けることが大事。


「折角の機会じゃ。裸の付き合いと行こうじゃないか」

「それじゃ失礼して」


サルに似た部分はあれど、シゲ爺の話は有益なものも多い。

人生の大先輩から学ばせてもらおうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ 可愛い彼女と2人旅(知人も隣で旅行)。 あまり彼女欲しい欲がない私も、 そういうシチュエーションは憧れます( *´︶`*) 私の代わりに2人が旅を楽しんで…
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