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九、カマール国王

お母さんキャラ変わった?って思ってもスルーしてください。

その日の夕方に二人は高千穂家の家(城)に着いた。

まず菜月は浴場に行き、、体を洗って、フォーマルな格好に着替えると食堂に行った。

「お帰りなさい、菜月」

食堂の扉を開けると高千穂夫人(母)が言った。

「ただいま戻りました」

菜月は一礼した。

「ええ、まずは夕食よ。食べ終わったら話を聞くわ」

「はい」

今日は珍しく公爵がいてにぎやかな食卓になった。

食後のお茶の時間にマフィンがでてきた。

なつきは渚の笑顔を思い出して、笑みがこぼれた。

「菜月、報告しなさい」

公爵の厳かな声で食堂の空気がピリッとなった。

「はい。リゼイン国の王子様には許してもらうことができました」

菜月のこの一言で場の空気が一気に弛緩した。

「あー、良かったわ。心配したのよね」(母)

「本当に良かった。処刑されても文句は言えないから」(姉)

「ああ。これで高千穂家は守られたな」(父)

「少し大げさすぎると思うけど。処刑はさすがに…」

菜月は思ったことを口にしただけだが、これが姉の逆鱗に触れた。

「あのねえ!リゼイン国の王子様に紅茶をかけたのよっ!分かってるの?!どこの国でも即不敬罪で死刑!もっというと私の婚約者まで殺されるかもしれないのよ!何が大げさよ!!あなたが行っていた二週間私達はビクビクしっぱなしよ!」

いつもは大声を出すなという母もこの時ばかりは何も言わないで姉の言葉にときおりうなずいていた。

「すいません」

菜月はおとなしく頭を下げた。

「あー、良かった。本当に良かった」(母)

「あの…」

「陛下にもお伝えしなければな」(父)

「あの」

「ええ、学園の方にも伝えておかないと」(姉)

「あの!」

菜月が突然大きな声を出した。

「菜月、大声を出さないでちょうだい」

いつも通り母が注意した。

菜月は今だけ母の言葉を無視して言った。

「王子様とお付き合いさせていただくことになりました」

「「「………」」」

重苦しい空気の中で沈黙を破ったのは菜月だった。

「えっ…いけないですか?」

「…菜月、それ本当に言ってるの?」

半ば呆然として母が言った。

「はい」

「えっ、本当なのよね?あの、リゼイン国の王子様で、菜月が紅茶をかけた人で、とてもつもなく美しい人よね?」

姉が一気にまくしたてた。

「はい、リゼイン国の王位継承権二位の渚王子様です」

「陛下にお伝えすることがまた増えたな…」

「菜月もう疲れたでしょう。部屋に戻っていいわよ」

母のこの一声で、菜月は一礼して自分の部屋に戻った。

「ふぅー」

菜月は椅子に座って息を吐いた。

「お嬢様、今日はいろんなことがありましたね」

いつの間にいまいたのか貴子が言った。

「本当にね」

「王子様はいい方ですか?」

「もちろん」

「お嬢様は王子様のどこがお好きなんですか?」

「ときおり見せる笑顔とか、ありのままを出してくれるところとか…」

「では、お嬢様はどうして王子様とお付き合いすることにしたのですか」

「それは…」

菜月は頬を赤く染めた。耳まで赤い。菜月は近くにあったクッションをかかえた。

「どうしましたか?」

「大好きだから…。それに…、他の女の人とはあんまり……その…」

貴子はふふっと笑って、

「幸せになってくださいね」

と言った。


翌朝。菜月が寝坊せずに起きると貴子と目が合った。

「おはようございます」

「おはよう」

「今日は陛下に会いに行きます」

貴子は天気を言うようにさらっと言った。

「分かった…って何言ってるの?」

寝ぼけた頭で答えて、菜月は我に返った。

「ですから、陛下に会いに行くんです」

「…」

菜月は公爵令嬢だけあって陛下には何度かお会いしたことがあり、話してもらったこともある。だが、一度もパーティー以外の席では会ったことがないのだ。

「分かりましたか。なので、今日は制服ではなく正装をしてください」

「…はい」

「陛下に会いに行く理由は旦那様が説明してくれます」

菜月はどうにか父に会う支度をすると食堂に行き、朝食を食べてから父の食堂に向かった。

「菜月です。失礼します」

菜月が入ると公爵は目を通していた書類から顔を上げて菜月を見た。

「菜月、菱川から聞いているとは思うが、今日陛下に会いに行く。陛下はリゼイン国王が怒ってカマールに攻めて来るのではないかと危惧しておられたのだ。その可能性がなくなったということを陛下に伝えろ。十分な謝罪の言葉もそえてだ。処罰を言われた時は甘んじて受けろ。私も立ち会うが、無礼な真似は一切するな」

菜月は真剣な表情でうなずいた。

「ならよい。下がって支度を一時間以内ですませなさい」

「はい」

菜月は父の部屋を出て息をついた。

事がこんなにも大事になるとは思ってもみなかった。処罰といわれた時はドキリとした。

“神様、処罰だけは許してください”と(どの神様も信じていないが)心の中で祈った。


カマールの王城であるブレン城の玉座の間で菜月と公爵が待っていると国王が入ってきた。

カマールの王はまだ若く、30代前半だ。しかし、威厳にみちており、一国の王たる器量も十分にある。

「陛下、リゼイン国王子様に対しての無礼を私の娘が働いたことについて、ご報告いたします」

「ああ、結果はどうであった」

公爵が口を開こうとした瞬間に扉の向こうでどかどかと音がした。

「陛下!リゼイン国、渚王子様がお目にかかりたいとのことです!」

「すぐにお通ししろ」

「かしこまりました」

玉座の間の空気が一気に重くなった。

菜月の公爵が退室しようと立った瞬間に、扉が開く音がした。

「失礼します」

入ってきたのは菜月が昨日あったばかりの樹利だった。

「リゼイン国、王位継承権二位であらせられます、渚王子様です」

樹利の言葉の後に入ってきたのは正装をし、たっぷりと威厳をまとった渚だった。

「カマール国王、お初にお目にかかります、リゼイン国王子の渚と申します」

菜月は公爵に裾を引っ張られて急いで、膝をついた。

「ご丁寧にありがとうございます。早速ですが、急にいかがされましたか」

「本日は高千穂公爵令嬢についての話があって参りました」

菜月は渚が次何を言うのか、顔面を蒼白にし心拍数を上げて、聞いていた。

「高千穂令嬢が無礼をはたらいた件についてですか」

「いえ。そのことは先日不問とさせていただきました」

菜月はその言葉を聞いて、全身から力が抜けそうになった。

「本日は私に高千穂令嬢を貰うための許可をいただこうと思い、参りました」

「それは、それは…。どういうことだ?」

国王は菜月をみた。

「…」

「おい」

菜月は公爵につつかれて、部屋中の視線が自分に向いていることに気づいた。

「はい。昨日、王子様とお付き合いをさせていただくことになりました」

菜月が何度かつっかえながら言った。

「そうなんです。話を戻しますが、リゼイン国に高千穂令嬢をもらうことはできないでしょうか」

「本人が納得しているのですから、私に異存はありません」

国王は考えることもなくそう言った。

いつ渚は出発したのでしょう?

謎です。

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