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第16話:出店めぐり

こんばんは。


行ってきました、えべっさん。

帰ってから急いで書いたのでこの時間になりました。

1月11日、残り戎。通称【えべっさん】。


商売繁盛の神様である【恵比寿】様を祀り、毎年1月9日から11日まで十日戎が開催される。要はお祭りである。(メインで祀っているのは天照皇大神だったはず)


今、俺が向かっている神社にも多くの人が訪れる。


毎年この神社にはこのイベントで数十万人が訪れ、最寄駅からの道沿いには多くの出店が出店してたいへん賑わう関西の正月最後の一大イベントである。


以前は関西の地方プロレス団体にその名を冠する覆面レスラーがいた程に、関西では超有名なイベントであるが、商売繁盛の神様のお祭りでこれだけの人が集まるって流石は関西人かと思う反面、祭りの主旨よりもイベント事が好きな日本人の性なのか疑問に思う。


そんな俺は勿論イベント目当てである。


いくら会社に勤める社会人であっても、商売繁盛ってガラじゃないし、こーゆーのって一種の習慣的な感じじゃないかな?

【習慣】が長い時間継続され、世代を重ねると【文化】に昇華されると俺は思っている。食の文化が正にそれだろう。


この祭りの賑わいを楽しむ俺が、もしもこの先に結婚して子供が出来て、子供とまたこの祭りを家族で楽しむ事で、この祭りが今後も関西の祭りの1つとして継続されるのだ。


そうやって昔からの伝統や祭り、風習って現代に残ってるんじゃないかと思う事で、イベントを楽しむ正当性をこじつける事にしよう。


要するに、俺もこのイベントを楽しみたいんだよ〜。(1人だけど…)


「さむー」


周りを見渡せば1人で訪れたであろう者は少なく、圧倒的に2人、または複数人のグループが大多数を占めている。


(彼女作ろうかな?)


イベント毎の際にふとよぎる。

1人は気楽で自由だし、不自由もないが楽しい時間を共有出来る相棒が欲しいなって…。


大学時代から付き合っていた女性とはお互いに社会人になり、しばらくすると別れた。会う時間が減った事と、聞いた話では女性の同じ職場の先輩と良い感じになったらしい。


その後にも、良い雰囲気になった女性はいたが、束縛が激しいというか、俺のプライベートな時間が無くなりそうで付き合うまでに至らなかった。


次に俺の一目惚れに近い出会いをした女性がいたが、偏食家で食べ物の好みが合わずに別れた。


昨年末に、不本意な合コンに参加した際に知り合った女性は俺の事を気に入ってくれた様だが、丁重にお断りした。だってザルだったんだもん!

結構な量を飲んだのに、酔った感じが全くなくて楽しくなかった。

酔わせてナニかしたい訳じゃないが、素面と変わらずに酒をガバガバ飲む女性と酒を飲んでも楽しくなかった…。


(もうアラサーだし、良い人探すかな?)


こんな事を考えてしまうのも、なかなか賽銭箱にたどり着けず暇だからだろうか?


本当に人が多い!


今日が最終日の残り戎だから混むのも当然だが、俺が降りた駅から神社、神社から本殿前まで20分かかっている。

夜だから気温が下がっているものの、人が密集しているので多少はマシだが、独り身が色々と身に染みるわ〜。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




(良し!)


やっとこさ新年のお参りを終える事が出来た。ここからが本番である。


無神教の俺がこんな人の多い神社のイベントに来たかといえば、当然食い物である。この神社に近い駅は2つあり、職場から直行したので遠い方の駅から神社まで歩いて来た。


当然その道のりには出店が立ち並び、若い連中はお参りそっちのけで出店前に列を作り、色んな食べ物を頬張る姿があった。


ある程度のチェックは済ませたし、近い方の駅に向かう。

目指すは激安スーパー。求めるは武器、ビール!


考えてみてほしい、出店で売られている食べ物は大きく分けて2種類。

甘い食べ物と味の濃い酒に合う食べ物のはずだ!(俺の認識、合ってるよね?)


甘い物は嫌いじゃないが、仕事終わりに腹が減っている俺としては飯だ。何の為にえべっさんに来たかわかるだろ?


出店メニューを楽しむ為だよ。

と、なればビールを持たずして出店は楽しめない。


うぉ!


皆んな考える事は同じか…。缶ビールが売り切れている…。

発泡酒と第3のビールはまだあるがここはビールが欲しい。1杯目だからな。


並びのコンビニに行くか…。




コンビニで無事にビールを手に入れたが、少し冷蔵棚が寂しかった。俺と同じ缶ビール難民がコンビニに流れたか?


缶ビールを手に入れた俺は無敵だ。


鬼に金棒、アーサー王にエクスカリバー、マ◯オに星、俺に酒ってトコか?


バカな事を考えるのは止めて何か食べよう。


こっちの駅までの道のりで一通りの出店のチェックを終えた。店により多少の値段のバラツキも確認し、底値も把握出来た。あとは何を食べるかだな。降りた駅に戻るまでが勝負。


ゴクッゴクッゴクッ!


(寒くても最初の1口目は格別に美味い!)


さあ行こう!




くそッ!


空きっ腹にソースの香りは反則だ。

普通の焼きそばにご当地焼きそば、広島風お好み焼きにはしまき、地味に玉子せんべいも美味そうだ。


焼きそばとお好み焼きは食べ辛いからパス。ここは無難にはしまきか玉子せんべいかな。片手で食べられるからね。


いか焼きと焼きとうもろこしもいい匂いをさせやがる。両方とも腹に溜まるから今回はやめとこうかな。


目玉焼きが俺を誘う。


「1つください」

「はいよ! 200円ね!」


大判のせんべいにハケでお好み焼きソースを塗り、天カスをまんべんなく振りかけてからのマヨネーズ。最後に目玉焼きが2個載れば、完成。


(お兄さん、いい手際だね)


「どうぞ!」

「ありがとう」


少し端に移動して、いただきます。


カリッ


オゥ、サクサクのせんべいの塩気とお好み焼きソースのまろやかなコクと酸味。カリカリ天カスの油分と玉子の旨味が…、タマラン!


ゴクッゴクッ


クゥ〜、このチープな駄菓子感がビールに合うよ〜。


ヤベッ、半熟の黄身が垂れる!

1滴たりとも無駄には出来ん!


ペロリッ、とな。ウマ!


お兄さん、目玉焼きの焼き加減が絶妙だよ。

黄身は完全なるトロトロ半熟、白身はプルプルで完璧だ。

この目玉焼きが2つ載ってて200円は買いだな。

この感動を2度味わえるなんて幸せでしかないさ。




次は何にしようかなっと?


ビールはロング缶を買ったのにもうすぐ無くなりそうだ。こちらの補充も視野に入れておかねばな。


お!


片手で食べられる出店の定番発見!


「すみません、1本ください」

「150円です! ちょうどですね、好きなの取ってください!」


よく焼けてそうなのは…、これにしよう。


シャバシャバのケチャップの缶にドボンと浸してっと、マスタードは…、今日はやめとこう。垂れて服に付いたら悲惨だからなぁ。


パクッ!


香ばしく焼けてる割にはジューシーだ。皮はパリパリではないが、出店のフランクフルトってこんなモンだよ。

でもコレが美味いんだな。


ゴクッゴクッゴクッ


肉っ気がビールに合わん訳がない!


隣が飲み物を売ってる……のか?

350ミリ缶で500円は取りすぎじゃないかい?


高い気しかしないが、ここで補充せんと次にいつ補充できるか不明だ。

もう少し先ならアテがあるが、フランクフルトはひと齧りしただけ。手元のビールはあと2口くらいってトコか。


パクッ、モグモグモグ、ゴクッゴクッゴクッ


「ビール1本、一番◯りで」

「500円ねー」


買ってしまった…。


ゴクッゴクッ、パクッ


美味いのが悔しい…。




次は何にしようかな、っと…。


最近のチュコバナナって、色んなチョコのバリエーションがあるんだな〜。

去年、インスタ映えで流行ったチーズハットクの出店が多いな。女性はすぐにカロリーやダイエットと言うが、アレのカロリーはヤバくないのか?

焼き銀杏の臭いが〜。お土産に買おうかな?

お土産なら甘栗もいいな。むいちゃいましたも美味しいが、剥きながら食べる甘栗も風情がある。爪が黒くなるのはご愛嬌。


もうちょい肉っ気が欲しい。ガツンと肉もいいかな?

ならば…、あったあった焼き鳥。


塩とタレにつくね、豚バラに牛タンか。


「タレを1本ください」

「400円ね。焼き直すから待っててね!」


店先に並んでいた1本を焼き直すオヤジ。

焼くというよりも炙っている感じか?

焼いてはタレ壺に浸し、浸しては焼く。もう1度タレ壺に浸して完成か。


「気をつけて食べてね」

「ありがとう」


どれどれ、パクッ!


タレが沁みとるわ〜。

胸肉だがパサついてない。噛みごたえがあるって感じだ。


ゴクッゴクッゴクッ!


またビールが進むのなんのって。

しかしながら、なかなかのボリュームだ。1本を完食したら次でラストか?


〆は別に決めてある。次でラストにしようか。


ホントにボリューム満点の焼き鳥だ。

アゴが痛くなりそう。でも美味い!


ゴクッゴクッ


向かいに鮎の塩焼きがある。


小ぶりな割に冷凍物で500円。

カップ酒の燗で食べるのも良いが………。やめとこう。


あー、焼きそばに未練が残る。

ここで食べるには食べ辛い。いっそ持って帰るか?


イヤイヤ、それはダメだ。こーゆーヤツって、ここの雰囲気がプラスされて美味しく感じる部分がある。

冷めた焼きそばをチンしても中途半端に美味くないだけだ。


ゴクッ


懐しい、りんご飴か。

アレは1個でもう何も食べれなくなるんだよな。

そう考えればいちご飴やぶどう飴はよく考えたモンだね。


関西版のいか焼きか。コレも食い辛いからパス。

ケバブも美味そうだがパス!

から揚げやフライドポテトなんかもあるが、今の俺には論外。


はしまきもいいが、ちょっとタイミングが合わなかったかな?

〆の前では君の出番じゃない。


迷う。


ベーコンエッグたい焼き。甘い匂いがして美味そうだ。

イヤイヤ、さっき玉子せんべい食ったがな!


ゴクッゴクッ


うーん、先にビールが無くなってしまった。

酒の補充が必要だ。




「ジントニックお願いします」

「500円です!」


最近は凄いな。カクテルバーなる出店もあるんだから。


ゴクッ


普通にジントニックだ。ちゃんとジントニックだよ。




鶏皮餃子か…。イイね!

ピリ辛もあるってよ。


あー、パックで売ってるのね。諦めよう…。


焼き小籠包は5個で500円は高いよ。

お土産に何を買おうかな?


ゴクッゴクッ


酒で腹が膨れてきた。

もうすぐトイレに行きたくなるだろう。


(〆に変更しよう)


〆で考えていた店は既に通り過ぎていたので戻る。




「チャーシューメンお願いします」

「チャーシューメンですね! 600円です!」


お代を渡すと手際よくチャーシューメンを作るオッチャン。

業務用のラーメンダレのパックが丸見えだが気にしない。こーゆー店だもん。


「はい、空いてる席でどうぞ!」

「ありがとう」


チャーシューメンを受け取って奥の席に移動。

店先でメニューを受け取ってのセルフサービス式の出店である。

毎年ではないが、ここのラーメンを食べている。

味もド定番の醤油ラーメン。赤いハムみたいなチャーシューがいっぱい入ったチャーシューメン。


フー、フー、ズズッ!


ホラね?


チャーシューを…、パクッと。

変わらない味ってのも良いもんだ。


コショウをサッと。


ズズッ、フー、ゴクッ、ズズッ!


この味にコショウはマストアイテムだろう。

普段ならラーメンにコショウは絶対に入れないが、このラーメンには入れてしまう。どうして?


ズズッズズッ、ゴクッ


あったまるを通り越して暑くなってきた。


ゴクッ、パクッ、ズズッ、パクッ、ズズッ


コレを食べにえべっさんに来てるのかな?


ズズッ、ゴクッゴクッゴクッ


(あ〜、食った食った。ごちそうさん!)


ラーメン丼代わりの発泡スチロールの器と割り箸をゴミ箱に捨てて退場。


さてと、自宅用のお土産を買って帰るとするか!


ドン!


「すみません!」

「こちらこ…そ…今井?」

「藤原君? ゴメン!ソースが付いちゃったわ!」

「マジか!」


今井の視線を追うと、今井の右手に握られたはしまきであろう物体の黒いソースが2人のコートにシミを作ろうとしていた…。




どんな1年になるんだろう?

好きな出店の食べ物は何ですか?


あの雰囲気で食べると美味しいですよね?

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