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15/17

第15話:1人焼き肉

皆さま、明けましておめでとう御座います。

本年も宜しくお願い致します。


本当は日付が変わる前に投稿したかったのですが間に合いませんでした。

今週半ば頃に第16話を投稿したいと思っています。

は〜、正月休みももう終わりか…。


元旦と2日は実家で飲み食いしたが、それを含めて完全なる寝正月だった…。

楽しい寝正月も今日で終わりと思うと悲しいぜぇ…。


撮りだめしていたアニメも全部観たし、積み上げていたラノベや漫画も粗方読み終えた。

貴重な長期休暇にマジ感謝しかない。だからこそ、明日からの現実社会が億劫でしかないな。


時刻はもうすぐ17時。外はだいぶ暗くなっている。


晩飯はどうするか…。

明日からの仕事に備えて英気を養いたい。寝正月で何を今更と思う反面、ここまで散々食っちゃ寝していた自分に活を入れたい。


気合いを入れる飯といえば、肉や辛い食べ物がパッと出るが、具体的に何にするかが重要だ。


スーパーに買い出しに行く時間はあるし、食いに行く事も出来る時間だ。


取り敢えず、タバコ吸って考えるか。


スゥ、ハー


この前、タバコの値上がり直前に買った5カートンがもうすぐ無くなりそうだ。結構持つもんだね。

仕事をしている平日なら1箱で2日持つし、休日なら吸う本数が減るから結局のところ、禁煙のきっかけを見つけられずにダラダラ吸い続けてるって感じだよな。


それよりも飯だ!


楽しい正月休み最後の晩餐にして、明日からの仕事に向けたエネルギーチャージの為の飯!


「やっぱり肉だよな」


頭にキムチ鍋や宮崎の辛麺も出てきたが、単純な俺としてはスタミナ飯となれば肉は外せない。

肉を食うとイメージすればステーキや焼き肉となるが、スーパーでちょっと良い肉を買うか、この時間から肉屋に走るかを考えて、食いに行く方を選択する。


なら焼き肉だ!


そうと決まれば出掛けよう。あの店は開店直後を逃すと土日は混む。

近所に家族向けの焼き肉屋もあるが、あそこは量が多くて1人焼肉には向いていない。


1人焼き肉ならあの店だ!




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




電車で2駅。


日本でも有数の焼き肉屋街に到着。

電車のドアが開くと同時に肉が焼ける匂いがする。


ホームの階段を下りると立ち食い寿司の暖簾も見えるが今日はスルー。

信号を渡り、にんにくラーメンの店もスルー。


馴染みの床屋を過ぎればお目当ての店に到着するー。


(良かった! まだ混んでない)


暖簾をかき分け、硝子戸から店内を見ると客は1人と2人が分かれて座っている。

マスターとバイトが1人いるので十分に客のオーダーも捌けている事だろう。


ガラガラッ!


「いらっしゃいませ!」

「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

「1人で」

「お好きな席どうぞ!」


空いている席と行ってもこの店は1階がカウンター席でガスのロースターが5台に2階がテーブル席で俺は2階に上がった事がない。


奥に2名客がいて手前から2つ目に1客のオッチャンがいる。

ここはオッチャンの右隣の中央のロースターの席にするか。


「明けましておめでとう御座います、本年ももよろしくお願いします」


着席と同時にマスターから挨拶を受ける。


「此方こそ、いつも美味しいお肉をありがとう御座います。またよろしくお願いします」


かれこれ3年は通っているので、マスターにも顔を覚えられているが、こういった新年の挨拶は初めてだと思う。


「どうぞ、おしぼりです。お飲み物はどうされますか?」

「生でお願いします」

「生1つお願いします」

「はい!」


ここのマスターの優しい話し方が好きだ。落ち着く。


このマスター、実はこの近くの有名な焼き肉屋さんが実家らしく、その伝もあり肉のレベルが高い事でツウの間でこの店は有名なのだ。

肉の質は確実に1級品なのに、めちゃくちゃリーズナブルで少人数しか入れない俺好みの店なのだ。


ちょっと前に実家の店に現役の総理大臣が来たって聞いたな。

機会があればそっちにも行ってみたいな。高いらしいけど…。


「どうぞ、生ビールです。お肉はどうされますか?」

「タンと厚切りタン、赤身の盛り合わせでお願いします。それに白菜キムチを」

「はい。上タン、厚切りタンに赤身4種と白菜キムチですね、ご用意します」

「お願いします」


ふっ、メニューを見ずとも注文出来るぜ。

この店に来たら先ずはこの4つを注文し、ホワイトボードの限定メニューをチェックするのだ。


なになに? 今日は宮崎牛の霜降りロースと鹿児島産黒毛和牛のハラミか…。

どちらも1人前で2000円しないが今日の俺の選択肢からは除外しておこう。流石に高い!

1人焼肉であれはご褒美クラスだよな。


ゴクッゴクッゴクッゴクッ!


あーーーーー! ビールウメ‼︎


「自家製白菜キムチです。火付けますね」


卓上のガスロースターに点火された。ここからが勝負だな。


何人かで楽しく焼肉を食うのも楽しいよ。でもね、1人焼き肉には違う良さがあるんだよ。

何て言うのかな、肉と対話するっていうか、語らうって感じ?

それと同時にこの店の良い肉を誰にも邪魔されず、自分のペースで楽しむことが出来る時間をいかに過ごすかの、自分との闘いがある訳さ。


バリバリッ


(ここのキムチ美味いわー)


「お待たせしました。上タンと厚切りタンです」

「レモンとお肉のタレです」


待ってました、お肉ちゃん。


ここのタンは上タンと厚切りタンの2種類。

上タンは普通の店よりも3倍くらいの厚みがあるし、厚切りタンは1センチ以上の厚みがあるタンを食べやすい細さにカットしている。


このお店ってさ、1枚の陶器の大きな皿に注文した肉や野菜を並べるスタイルでカップル受けも良いんだよね。俺には関係ないけど…。


ジュー!


先ずは上タンをサッと炙ってレモン汁に、っと。


パクッ!


(アッサリとした軽いタン特有の美味さにレモンの酸味が〜。マジで何枚でも食えそうだ。それをビールで流し込めば…)


ゴクッゴクッ


(幸せや!)


どんどん焼くか!


ジュー! ジュー!


上タンは残り4枚、厚切りタンは4切れ。

上タン2枚を焼きつつ、厚切りタンを2切れ焼き始める。この厚切りタンは4面を焼いた方が美味いので、焼くのに時間がかかるんだよ。


(あっ! もう上タンが焼けてる!)


パクッ


パクッ


最後の2枚を、っと。


ジュー! ジュー!


(ウマ!)


最初に焼き始めた厚切りタンは最後の1面を焼けば完成だ。残りの2切れも焼き始めよう。


「赤身の4種類盛り合わせです。こちらからロース、バラ、ハラミ、ツラミです。ロースとバラは軽く炙るくらいがおススメです」


(ええ、存じ上げておりますとも。それぞれ2枚ずつのお肉、楽しませていただきます)


「生とサンチュとホルモンの盛り合わせの小をお願いします」

「生ビールとサンチュとホルモン盛り合わせ小ですね。にんにくはどうされます?」


(マスターそう来たか!)


「明日から仕事なんで、今日はにんにくはやめときます」

「そうでしたか、失礼しました。生ビールお願いします」


翌日に仕事が無い時にこの店に来る事が多い俺のいつものパターンとして、サンチュと一緒ににんにくを頼むのだが、マスターはそれを覚えていてくれた様だ。


目の前の赤身の肉を1枚に白菜キムチと、ロースターの隅でオリーブオイルで煮たにんにくをサンチュで巻いて食べるのが好きなのだが、明日は仕事だからそれが出来ない……。


「生ビールです」

「ありがとう」


厚切りタンが焼けた様だ。気を取り直して食べよう。


サクッ


(ああ〜。この歯ざわり、上タンよりも肉厚だから旨味が濃いのに食べやすい)


マスターの隠し包丁のおかげもあるが、ちゃんと4面焼く事でサクサクと嚙み切れる歯切れの良いタンである。


「サンチュとホルモンの盛り合わせです」


サンチュが来たか。


だが、まだ焼けてない厚切りタンが2切れあるんだ、コレが焼けてない内に赤身には移行出来ない。

今赤身を焼き始めたら赤身の方が先に焼きあがっちまうよ。


それにしても綺麗な肉だ。

この4種が各2枚で1200円は1人焼き肉には有り難いよ。


最後の2切れも焼けた様だ。


サクッ、サクッ、ゴクッゴクッゴクッ!


(サイコー!)


よし、赤身に突入!

ここからは第2ラウンドだ。


並べられている順番通りに1枚ずつ時間差で焼いてゆく。


ジュー、ジュー、ジュー、ジュー


ロースとバラは本当にレアで十分だから色が変わった頃合いでひっくり返す。


焼きたてを、アーン、パクッ!


ロースの肉と脂が口の中で混ざるこの加減が良い!

バラの脂のトロけ具合がタマラン!


ビールだビール。


ゴクッゴクッ!


ハラミとツラミも焼けたな。


アーン、パクッ!


ハラミは脂少なめでダイレクトに肉の旨味を感じられる!

ツラミはシッカリとした噛みごたえがあって肉食ってるぞ! って感じさせてくれるぜ!


ゴクッゴクッゴクッ!


(肉とビールサイコー)


さてと、第2ラウンドも後半戦。ここからサンチュの出番だ。


残りの赤身を焼き、タレをつけてサンチュにのせてキムチをのっけてクルッと巻けば、完成!


先ずはロースから…。


パクッ!


サンチュで巻く事で肉をサッパリ食えるし、キムチの辛味と食感が良いアクセントになる。

この食べ方ならちゃんと野菜を取れるし、いくらでも食えそうな気にさせられる。


(ここにオリーブオイルで煮たにんにくがあればもっと美味いんだが…)


無い物をねだってもしょうがないが、未練が残る…。


気を取り直してバラ、ハラミ、ツラミをそれぞれサンチュでキムチと巻いて口に放り込んでいく。


(クソ〜、美味いモンは美味いわー)


ゴクッゴクッ!


「すみません、チューハイのレモンください」

「チューハイのレモンですね!」


(うん。バイト君、頼むよ)


赤身の盛り合わせも食べ終わり、ビールからチューハイにチェンジ。

ここから第3ラウンド、後半戦に突入だ!


ホルモンの盛り合わせには味噌ダレが揉み込まれており、このシッカリしたホルモンが美味いんだよ。勿論普通の肉の揉みダレもの具合も美味いぞ。

部位はハツ、レバー、センマイ、コリコリ、マルチョウか?

この量で880円は安過ぎじゃないか?


ホルモンは焼き加減が重要だ。

何せ焼きが甘いと体調を崩してしまうし、焼き過ぎたら固くて美味くない。この店で出される肉で体調を崩すなんて考えられないが、ベストの状態で食べたいよね。


ジューーーー!


ホルモンを焼きつつ、シメを考え始める。チューハイ片手に。


ゴクッゴクッ!


オゥ、レモンの爽やかさが肉の脂を洗い流してくれる〜。


シメは【白ご飯】か【クッパ】か【冷麺】の3択。どれにしよう?


ハツもレバーも臭みが無くてウマ!

センマイとコリコリの食感もイイ!

あ〜、マルチョウのトロける脂の旨味って、もー!


ゴクッゴクッゴクッゴクッ!


(アー! ウマ!)


サンチュが1枚ある。コレはもう1品の肉の為に取って置くとして、何でシメようか?


残りのホルモンが焼けるまでに決めてしまおう。


ジューーーー!


白ご飯と肉で締めるか、サラッとクッパで締めるか、サッパリ冷たい冷麺で締めるか。悩むな…。


(えーい、こうなりゃヤケだ!)


「ご飯の中ください!」

「はい、直ぐにお持ちしますね」


ゴクッ!


チューハイが俺に冷静になれと言っている様な気がする…。


いいんだコレで。俺に考えがあるんだから。


「どうぞ、ご飯の中です」

「すみません、チューハイのお代わりとカルビください」

「チューハイレモンと特上カルビですね」


白ご飯が来た事でなし崩し的ではあるが、第3ラウンドの途中でシメに入る!


味噌味香るホルモンを米で追いかける!


ハフハフ!


炊き立てだ。美味いけど熱い!


タレにつけて食う!


パクッ、ハフハフ


(ビールも良いけど米も良い!)


パクッ、バクバク!


パクッ、バクッ!


「チューハイです」


ゴクッゴクッゴクッ!


「特上カルビです。鉄板変えますね」

「お願いします。それと冷麺の小ください」

「はい、冷麺の小ですね」


丁度、ホルモンを食べ終えたタイミングで特上カルビが到着。鉄板チェンジ!


最後のシメの注文も完了。最終ラウンド開始だ!


鉄板が温まるまで、白菜キムチでご飯。

うん、コレでも十分コメが進むわ〜。


ゴクッ


(最近ビールが腹に溜まる様になったな)


因みにこのお店、マッコリの大を頼むとヤカンで出てくる。

日本酒やワインも置いており、それはそれで酒好きな人も楽しめるお店になっている。(隣の2人組は赤をボトルで頼んでた)


「4人いけます?」

「お2階どうぞ!」


気付けばカウンター席もあと1卓のみ。混み始めた様だ。


鉄板も温まったし、最後の特上カルビを一気に焼くか。


ジューーーー!


カルビ5枚に対して、白ご飯は残り3分の1弱にサンチュは1枚。完璧な配分だ!


先ずはタレでそのまま、パクッ!


暴力的なまでの肉と脂の旨味が襲ってくる!


コイツには素手では立ち向かえん、武器が必要だ。

フッ、俺にはチューハイと白ご飯とサンチュの三種の神器がある。コレがあれば特上カルビに遅れは取るまい、返り討ちにしてやる。


ゴクッゴクッ


サッパリさせて、次のカルビは米でかき込む!


米が肉の脂をかき消し、肉の旨味を引き出してゆく!


次はサンチュで巻いて、バクッ!


チューハイとは違うサッパリ感だ!


パクッ、バクッバクッ!


最後の白ご飯でカルビがラスト1枚になった。


「お待たせしました、冷麺の小です。お好みでお酢をどうぞ」

「ありがとうございます」


(キタキタ♪ 冷麺ちゃん!)


最終兵器が到着したので残ったカルビを口に放り込み、冷麺を啜る!


パクッ、ズズッズズッ、ズズー!


(完璧な采配だよ!)


火照った身体を冷麺がクールダウンしてくれる。


この冷たいスープを…。


ゴクッゴクッ


コレはコレで美味いけど、お酢を入れんとね♪


くーる、くーるっと2周が俺の目安。サイズが変わっても2周が丁度いい感じの量になるから不思議だ。


ズズッズズッズズッ!


この酸味がたまらねぇ。


ゴクッゴクッ、ズズッズズッズズー!


ゴクッゴクッ!


「ご馳走様でした」


冷麺の小でバッチリの量だった。完璧な1人焼き肉だったと思う。


チューハイ飲み終えたら行くか。


スゥ、ハァー


食後のタバコが落ち着く〜。




◆◆◆◆◆




「ありがとうございました」

「ご馳走様です」


あれだけ食べて8000円。


年明けにしては贅沢だが、シッカリ英気は養えた。明日から頑張るか!




晩飯が早かったからか、寝る前にシーフード◯ードルを食べてから寝たよ…。

皆さんの焼き肉の〆は何ですか?

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