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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第3章 光を追って
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ケッツァー

 四十五層でやる事は一つだ。ウジャウジャといるアンデットに魔法を撃ち込んで逃げる。それだけでレベルが上がる。戦闘の経験は積めないがレベリングとしては効率の良い稼ぎ方だ。ネトゲならみんなやっていると……思う。

 最近気付いたのだが、階層を移動できる魔物とできないがいる。このアンデット達は上の層には上がれないのだ。


「よし!逃げるぞ!」


 俺達はそれぞれの最大の一撃をお見舞いして階段を駆け上がる。四十四層の手前で昼食を採って休憩にする。休まないと魔力不足で午後からの戦闘が出来ないためだ。冒険者カードはステータスの状態を確認できるため便利だ。


 名前:ミツハル・ヒカゲ

 種族:人

 出身地:ニホン

 年齢:24

 所属:北

 適性:魔導剣士・二刀剣士

 属性:光闇土風水火雷

 ランク:8

 Lv:61

 体力:566/920

 魔力:233/2343

 腕力:628/812

 敏捷:524/788

 知力:321/585



 名前:アシェル・アレクシス・ファルシュ・ロンデリオン

 種族:人

 出身地:ニール

 年齢:16

 所属:北

 適性:神聖術士・メイサー

 属性:光水

 ランク:6

 Lv:49

 体力:252/332

 魔力:155/587

 腕力:189/244

 敏捷:120/208

 知力:510/734



 名前:ミーニャ・トルバ

 種族:獣人ネコ科

 出身地:トーレス

 年齢:12

 所属:北

 適性:狩人・風術士

 属性:風

 ランク:7

 Lv:58

 体力:328/602

 魔力:201/989

 腕力:283/424

 敏捷:438/722

 知力:352/352


 三人共だいぶ魔力が下がっている。しばらく休むと回復はするのだが、休憩くらいでは全快とはいかない。今日は弱めの敵で少しの経験値を稼ぐしかない。

 それにしてもミーニャの上昇率には目を見張るものがある。反対に俺のレベルはあまり上がらなくなってきた。おそらくランクが足りないのだろう。


「事故が怖いからもっと上の層で素材狩りしながら帰ろうか」


「はい」


「お肉とりに行こー!」


 肉の事しか頭にないのか!確かに取りには行くが……。一時間程休憩した後、俺達は十層へと転移した。

 十層は凶悪な敵はおらず牧草地のように草木が多いためシュティーアが多く生息している。食材の調達にはもってこいの階層だ。低レベルの冒険者は高額な素材を手に入れる事ができなくともシュティーアを狩って飢えを凌いでいる者も多い。


「はっ!」


 アーシェの気合いの入ったメイスがシュティーアの脳天に直撃する。頭骨が破壊され一撃で黒い巨体が轟音を立てて崩れる。

 基本的に多数の敵がいない場合はアーシェのレベル上げ目的で俺とミーニャはサポートにまわる。アーシェには不本意かもしれないが俺はゲームでも現実でも効率厨なのだ。


「これで最後でしたね。私にもっと強力な攻撃手段があれば……」


「気にすることはないさ。たまたま躓いてるエリアがアーシェ向きじゃないだけで、アーシェは魔法も正確だし判断も的確だから俺達脳筋にはない良さがあるんだ」


「そうですか。ありがとうミツハル、ミーニャ」


 笑顔のアーシェにドキッとする。無愛想で真面目なところがあるが、最近は色々な表情や感情を見せてくれるようになった。ルグ教や実家について吹っ切れた事があるのかもしれない。

 素材狩りも終わり帰ろうとしたところに戦闘の音が聞こえてくる。この階層は冒険者も多くいるため珍しくはないのだが、金属がぶつかり合う音というのはあまり聞かない。気になったので音のする方を見やる。だいぶ離れているのか人影は小さく見えるが、戦っている魔物のほうはやけにデカイ。シュティーアではない。


「ちょっと覗いてみるか」


 他の冒険者と関わり合いになると十中八九揉め事に発展するため、本来は無視を決め込むのだが十層であんなデカイ魔物を見た事がないという事もあり、好奇心から見てみたくなった。

 近づく改めて大きさがわかる。四メートルはあるんじゃないかという敵と五人の冒険者が戦っていた。四十四層にいるゴーレムと同じ形だが、大きさも色合いも違う。ひょっとしたらこれはケッツァーなのかもしれない。


「こいつ硬い!武器が全然通じない!」


「魔法もダメ!弾かれちゃう」


「ヤバイって!逃げようぜ!」


 とても狩れそうにのないようだ。狩り目的のパーティではなく攻略途中グループなのかもしれないな。ゴーレムは手当たり次第に地面を破壊しており、倒れている冒険者も一人いる。


「ダメだ!俺達は“黄金伝説”なんだ。十層なんかで逃げられない!こいつを倒して認めてもらうんだ!」


 パーティリーダーなのか赤っぽい髪のチャラそうな男が叫ぶ。


「あんたらは手を出すなよ!これは俺達の獲物だ!まぁ、あんたらごときじゃ倒せないと思うけどな!」


「えーっと。誰だっけ?」


「誰でしたっけ?」


「わかんない」


 三人とも憶えていなかった。


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