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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第3章 光を追って
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ケッツァー②

 手を出すなと言われてもあのままでは倒れているヤツは踏み潰されて死んでしまう。目の前で人に死なれても後味が悪いし、アーシェが許してくれないだろう。


「俺は倒れているヤツを回収してくる。ヒールを頼む。ミーニャは俺が指示したら矢を射って少しの間逃げてくれ」


 二人に指示を出し駆け出す。巨大なゴーレムは暴れまわっているが動きはそれほど速くはない。

 俺は倒れている冒険者を抱えるとその場から離脱しようとする。いくら動きが鈍いとはいえ、さすがに人一人を抱えてゴーレムの攻撃を避け続けるのは難しい。ゴーレムは手当たり次第に近くにいるものを踏み潰そうとして暴れている。

 戦っていた冒険者達は逃げずになおも攻撃を加えているが、ハッキリ言って邪魔だ。この場の人間からヘイトが剥がれない。


「退がれ!お前らじゃこいつは倒せない!全滅したいのか!?」


「うるさい!後から来て横取りされてたまるか!」


 リーダー格のチャラ男が叫ぶ。状況判断ができないリーダーがいるパーティは悲惨だな。諦めてミーニャにヘイトを稼いでもらうように指示を出す。


「ミーニャ!頼む」


 すでに弓を構えたミーニャが狙いを定めている。


「行くよー。避けないでね!」


 ミーニャの放った矢は勢いを増すことなく真っ直ぐ飛んでチャラ男の右腕に刺さった!


「えぇ!?チャラ男狙い!?」


 マジでビックリした。


「こうした方が早いよ!」


 なるほど、怪我をさせて戦線離脱させれば俺達は動きやすくなる。なかなか考えたな。


「くそ!誰だ!?矢が刺さった!?くそ!いてぇ!」


 チャラ男は突然の攻撃にパニック状態になる。すかさずアーシェが冒険者達に声をかける。


「みなさん!早くこちらに!手当てします!」


「くそ!仕方ない!一度退がるぞ!」


 チャラ男が仲間の冒険者達に声を掛けると仲間達はホッとした様子でその場を離れようとする。

 俺は近くにいた冒険者に抱えていた仲間を預ける。


「そいつも運んで行ってやれ。あとはなんとかする」


「ありがとうございます!たすがったー」


 冒険者達が離れたのを確認んすると、ボロボロになった二振りの小太刀を抜く。


「うすのろめ!こっちだ!」


 言葉がわかるかどうかは知れないがゴーレムが俺目掛けて太い腕を振り下ろす。俺はそれを上に飛んで避けると、そのままゴーレムの腕に着地し駆け上がる。

 顔の位置まで到達すると風の魔力を込めた二刀で斬りつける。

 ゴーレムが巨体を振り俺を振り落とす。空中に投げ出された俺は更に腕の重い一撃をもらい地面目掛けて吹っ飛ぶ。

 着地の態勢をとる間もなく背中から地面にぶつかり土を抉りながら数メートルは地面を滑る。


「もう少しやれると思ったんだけどなぁ」


 派手に受けたがダメージはそれほどでもない。それよりも攻撃を放った小太刀は二本とも折れてしまったことにショックを受ける。しかもゴーレムにはほとんど傷が付いてないから困ったものだ。


「ミーニャ!剣を取ってくれ!」


 ミーニャは「はーい」と軽い返事でリュックから剣を二本取り出して俺に投げてよこす。

 俺は剣を受け取ると鞘から抜いて二刀を構える。ゼルテから買った剣は二本ともロングソードだ。

 両手の剣に火の魔力を込めて斬りかかる。


 ギィィィン


 弾かれてしまった。溶かす事もできないらしい。剣も刃こぼれしてるし……。


「こりゃぁ、参ったな……。ミーニャ!一発デカイの射ってくれ!」


「はーい。じゃぁ行くよー」


 一撃の威力ならミーニャは俺より強い。これでダメなら撤退するしかないだろう。


「花鳥風月!」


 ミーニャの魔力を纏った矢が物凄い勢いで飛んでいき、ゴーレムに直撃するが刺さらない。ダメか……。


「散!」


 刺さらなかった矢の魔力が爆発する。


「おぉ!」


「やったー!」


 矢は刺さらなかったが爆破でゴーレムの腕が吹っ飛んでいた。衝撃には弱いのかも知れない。


「よし。これならどうだ」


 剣を捨て右手と左手に魔力を集める。右には水、左には火だ。魔力が膨らまないように圧縮する。

 右手を突き出し火の球を放出する。火はゴーレムを包み込むが、これだけではダメージを与えられない。火の勢いが消えないうちに圧縮した水の球を撃ち込む。

 すると、水の球がゴーレムにぶつかった瞬間に激しい爆発が起こる。水蒸気爆発の要領だ。

 ゴーレムは結合部から吹っ飛びバラバラになって動かなくなる。


「お兄ちゃん凄い!」


 二人の近くまで行くとミーニャが興奮して駆け寄ってくる。アーシェは未だ怪我人の治療中だ。


「凄いっスね!」


「マジ興奮したっス!」


「レベル幾つなんですか!?」


 チャラ男の仲間達も興奮気味話しかけてくる。最後のチャラ男の治療も終わり、アーシェが立ち上がる。


「ご苦労さん。アーシェはこれがなんの鉱石か知ってないか?」


 バラバラになったゴーレムの一部をアーシェに見せる。透明で青みがかった宝石のようだ。


「おそらくアダマンタイトではないでしょうか?これだけの量ですと凄い金額になりますよ」


「これがアダマンタイトなのか……」


 ゲームだとエクスカリバーの材料だったりするアレだ。これで剣を作れるとしたら、しばらくは折れる心配なく使えそうだが、持って帰ってゼルテに聞いてみよう。とは言ってもゴーレム全体が同じ物質なので運び出すのが大変だ。


「じゃぁ、俺は素材を転移で運ぶ。お前らはこれから戻るのか?」


 チャラ男はうなだれてボソッとつぶやく。


「俺達は……戻ります」


「転移を使えるヤツはいるのか?」


俺の問いかけに魔術士風の男が答える。


「いえ……お金がなくて転移魔石を買えないんです」


「じゃぁ、ミーニャ、アーシェ。二人で上まで連れて行ってやってくれ」


「はい」


「りょーかい!」


 チャラ男が驚いて俺をみる。


「いや、俺達は……」


「傷は治ってもだいぶステータスは落ちてるだろ?途中で死なれちゃ夢見がわるい」


「すみません」


「気にするな。それと戻ったら北区のギルドに案内してやってくれ」


 それだけ告げて転移で運搬を始める。















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