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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第1章 非日常の日常
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メトへ向けて 「眼前の街」

『ミツハル!起きてください!』


 頭の中でリヒトの声が響く。


「なんだ!?何かあったのか!?」


 俺は慌てて飛び起きる。


『いえ、朝です。皆さんそろそろ起きてしまうので……』


「そうだった。わるいな」


 あの後、見張りは俺が引き受けると言って、二人を寝かせた後、『何かあれば起こしてあげますから』というリヒトの言葉に甘えて、ぐっすり眠っていたようだ。見張りを買って出て、グーグー寝てたのを見られたら、かっこわるいにも程がある。リヒトが気を遣って二人が起きる前に起こしてくれたのだろう。


『陽が昇りますね。見てください!あそこがメトの迷宮街です!』


 頂上から下を見ると大きな街が見えた。山に囲まれたと言うより、大きなクレーターの中に造られた街のようだ


『ここは、千年前にルグとファフニールが戦ってできた穴なんですよ!僕は此処に来るために鍛えてきたんだ。やっと逢える……。必ず、救ってみせる!』


 そういえば、こいつの使命とやらを聞いてなかったな。迷宮で何をする気なんだ?


『龍の神子を解放します!嘘でできたこの世界を本来の姿に戻すんです!』


 俺の思考が読まれたのか、リヒトが答える。


「龍の神子を解放する?ファフニールとやらも目醒めてしまうんじゃないのか?」


『ファフニールなくしてこの世界は変わらない。それに龍の神子の解放とファフニールの覚醒は関係ありません。そこから嘘の世界が始まったのです』


 こいつの考え方はこの世界の住人とは根本的に違うといったところか。


『あ、お二人共起きたみたいですよ』


 同じ身体の中にいるはずなのにリヒトの感覚は随分鋭い。


 後ろを見ると、アーシェとミーニャが俺の近くまで来ていた。


「疲れは取れたか?」


 アーシェとミーニャに話しかける。


「はい。すみません、見張りを任せてしまって。あの街がメトの迷宮街ですよ」


「あぁ。さっき聞いた」


「え?」


「いや、なんでもない」


「大きな街……」


 ミーニャが目を丸くしている。


「今日一日歩けば夕刻には街に入れるでしょう。昨日のゴブリンから魔石を集めたら出発しましょう」


「おう!」


「うん!」


 軽く朝食を摂った後、昨日倒したゴブリン達から魔石を回収する。


 この作業がなかなかグロい……。


 魔石は心臓の近くにくっついており、ナイフを使い剝ぎ取るのだが、終わる頃には手が血液でドロドロになっていた。


「冒険者のパーティには魔石やアイテム回収だけを行う専門の人を雇ったりしているところもあるんですよ」


 アーシェが魔石を回収しながら教えてくれる。


「随分と詳しいんだな。冒険者になった事があるのか?」


「い、いえ。神学校で習っただけです……」


 そういえば、アーシェの事は何も知らないな。フルネームも聞いてない。何か事情でもあるのか?ザロちゃんが実家に言いつけるとかなんとか言ってたな。家出少女なのかもしれない。デリカシーのない男ではないので探ったりはしない。


「そ、それにしても昨日のミツハルの魔法は凄かったですね!詠唱もしないで魔法を使ったと思ったら、あの威力……。周りに人がいたら大変でしたよ?」


 う、まさかあそこまで切れるとは思ってなかったんだ……。


「はい。次からは気をつけます」


 魔石の他に落ちていた使えそうな武器も回収する。泥棒みたいに見えるが、この武器をゴブリンなどの知能がある魔物が拾うと厄介なので、冒険者ギルドでも推奨しているようだ。


 回収が終わり俺達はメトに向けて出発した。



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