獣人奴隷
獣人奴隷視点です
残酷表現あり
「おい、貴様はまた失態を犯したようだな?」
薄暗い石造りの地下室…地下牢で今日も些細な事で私の持ち主である男から鞭を振るわれる
「も、申し訳ございません…っ!」
私の謝罪等まるで聴こえていないかのようにおぞましい笑みを浮かべて何度も、何度も鞭を私の背に打ち付ける
既に皮膚は裂け、血の臭いが辺りに充満している
「これで何度目だ?貴様は私の些細な命令もこなせない役立たずの屑なのか?使えると言うから高い金出して買ってやったというのにっ!」
「っ!も、申し訳っありませんっ」
痛い…痛いっ…後どれだけこの苦しみを受ければ解放されるのか…
一度人に捕まり奴隷として烙印を押されたらもう死んだも同じこと…いや、死よりも恐ろしい思いを味わうことは部族の大人から幼いときより聞かされる
だから奴隷にされる前に自ら命を絶つ者も少なくない
私は亜人だ…獣と人の血を引く獣人…
人間から蔑まれ、魔族から除け者にされる生き物の最底辺に位置する卑しい者
だが私が何をした?私は、私達は誰にも迷惑なんてかけていない…誰の目にも触れないようにただ隠れて静かに暮らしていたのに
其処を無理矢理探し出して関わってきたのは人間達だ
「見目が良いだけが取り柄だからな?お前は…」
やっと鞭打ちから解放されたかと思えば次はそれよりもおぞましいことが行われる
鞭を打ち捨て荒い息を吐き無遠慮に私の体を這い回る主人の手
気持ち悪い…気持ち悪いっ
既にボロ布とかしている私の服を破り去り
私を全裸にすると胸を揉みしだいてくる
あぁ…早く死んでしまいたい
どうして私は生きているのか…どうして生まれてきたのか…
早く誰かこの苦しみから救って欲しい
散々好き勝手腰を振り私の中に汚いモノを吐き出した主人は様が済んだとばかりに私を石で出来た冷たい床に打ち捨て控えさせていた奴隷に服を着替えさせ私を鼻で笑うとそのまま地下牢を出ていった
一人になると堪えていた涙が溢れ出てくる
「っ…ふっ…」
涙が石畳に落ちて染みを作っていく
体が痛い…どこもかしこもボロボロだ…
「レイン…大丈夫?」
おずおずといった様子で声を掛けられる
視線を向ければ、私と同じ獣人のラナが替えの服や手当ての用具をもって立っていた
「大丈夫なんかじゃ無いよね…」
申し訳なさそうに俯いてラナはゆっくり私に近寄って来て背中の血を優しく拭い取り塗り薬を塗ってくれる
「…すまない」
「ううん!良いの…私こそ助けられなくてごめんね」
ラナは同じ獣人だけど兎の獣人で、見た目も幼い…どうやら主人の好みでない為私のように執拗に求められることはない様だ
私の様な目に合うのは決まって猫の獣人だから…
「き、今日ね?稀人の方々を歓迎するパーティーが開かれるんだって!」
私の気をまぎらわせる為かラナはテキパキと手当てをしながら話を続ける
「稀人様…どんな方達なんだろうな?」
稀人か…私達には会うことすら一生無い高貴な方々
神々から特別な力を与えられた存在
「まぁ…私達等会うことも、見ることも出来ないだろうがな」
手当てが終わったので与えられている使用人としての服に着替える
「それがね!ご主人様が昨夜の賊による被害で警備の増員間に合わないとかで、人手不足だから給仕は私達獣人の奴隷メイドに任せるって!」
あの主人が稀人様の側に私達の様な存在を近寄らせるなんて…
「だから稀人様見れるんだよ!楽しみだね!」
「あぁ」
楽しみ…そうだな…数少ない楽しみが出来た
稀人とはどの様な方々なのだろうか?
もしかしたら私達を救ってはくれないだろうか?
淡い期待がいけないとは思うも仄かな灯火として胸に宿るのを感じた