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PACE2-4→わになみだ4

††

 

 

 

膝にかかる重りはなんですか。

頬に伝う暖かい滴はなんですか。

金色の光はなんですか。

漆黒の光はなんですか。

なぜ

何故ここは暗いんですか。

君が居ないからですか。

月が

花が

ないからですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*'・.゜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝のお祈りがおわった師匠はさっきからサラさんと仲良く話している。

上品に笑うサラさん相手にくるくる表情を変える師匠。鉄の無表情が嘘みたいだ。

 

「アラン君?」

 

「あ、はい?ぁ、モニカさん。」

 

「これお茶のおかしです〜。サラさんと神父様に持っていってくださいまし。」

 

手渡されたのはティーカップ二つとクッキー。

礼拝堂の長椅子を一つ占領している二人にモニカさんはため息をついた。

 

「あとぉ、神父様にお仕事さぼらないでくださいって言ってくださいますぅ?」

 

ため息をついたモニカさんは頬に手をあててつぶやいた。

 

「あんまりしないとぉ、あたし言い付けちゃいますょぉ。」

 

あぁもうむしろ言い付けてくれれば良いのに。

基さんはちゃんと仕事してるのに師匠は神父の仕事を完全に放棄しちゃってるし、ちゃっかり女の子口説いてるし。

たぶん僕から仕事しろっていっても聞いてくれないんだろうな…なんて反論が返ってくるか手に取るようにわかる。

何いってるんだ?俺はこうして仕事してるだろうが。馬鹿にするな。

うん、たぶんこんな感じ。僕役者の才能があるかもしれない。もしくは予言者。


「わかりました。いっておきますね。ぁ、モニカさんからも言っておいてくれますか?僕からだけだとたぶん聞いてくれないんで。」


「はぁい、了解ですよぅ。あぁあと、司教様が呼んでいたとお伝えくださいませ。」


とりあえず頷いて、師匠の方にお菓子を持っていく。


「父さん、モニカさんからです。あと、リーザさんが読んでるって。」


「あぁありがとうございます。…あ、そうだアラン。頼みたいことがあるんですが…。」


肩に手がかかった。異様に力はいってるし…もしかして怒ってるんだろうか。


「俺のこと父さんて言うのやめろ。俺はそんなに歳じゃない。」


「ぇ?僕の思い違いじゃなければ師匠もう、500歳ですよね?」


「ちがう、492歳だ!八歳違うだろ。八歳違えば人間の子供だって某駄目人間を追い越すんだぞ?」


「何ですかそれ。ってゆうか師匠人間嫌いなくせにやたらと詳しいですよね。あ、あれですか?もしかして大好きですか?実は。」


「誰がそういった?黙れ馬鹿息子。」


「さっき父さんって呼ぶなっていった人が何言ってるんですか父さん。」


「…まぁいい。サラ頼む。」


 

まったく、勝ち目がないとすぐ逃げるんだから…。

そそくさと立ち上がった師匠がサラさんに何かささやいて歩いていく。その後ろ姿を見送った僕はそっと隣に腰をおろした。

 

「アランくん、かしら?」

 

サラさんが僕を覗き込む。小さく頷くと頭を撫でられた。

 

「可愛い〜髪ふわふわなのね♪」

 

「ゎ。」

 

「可愛い子好きよ。うん、神父様の子だもの、普通の子よりもっと好きだわ。いいパパをもったのね。」

 

サラさんの言葉が、悲しかった。サラさんは師匠を信じて好意をもってる、師匠は何一つ本気じゃないのに…。なんだか可哀想で目を逸らした。直視できない。

 

「いつかアラン君も神父様のようになるのかしら。」

 

「…いえ、たぶん、なれません…。」

 

僕は、師匠みたいに残酷になれないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*。゜・.゜+

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎぃっと、ノックもなしに扉が開いた。

 

「どうしました?」

 

男はそう言って座っている私の体に後ろから腕を回す。ついでとばかりに、頬に口付けが落ちてきた。

 

「……なんでもないわ。」

 

「そうですか。」

 

どうでもよさそうに、彼はつぶやく。髪を指でやさしく弾く彼を、ぼぅっと見上げた。

 

「もう、いいわ。」

 

「ぅん?」

 

「もう、いいわ。クルスはいいわ。」

 

「なぜ?もう少しなのに。」

 

なぜ?

何故かって、我慢ならないの。

あなたが私のほかに笑いかける女がいるのが我慢ならないのよ。

 

「あぁわかった…嫉妬してるんですか?可愛いなぁリーザさんは。サラさんとはおお違いだ。」

 

可愛い?

サラよりも?

私の方が?

嘘だわ。

そんなことありえない。

 

「どうしてそう思うのか俺にはわからないな。リーザ、君はとても魅力的だよ。」

 

彼は笑う。

感覚が、鈍る。

感情が、彷彿する。


「どこが?」


「ん?」


「どこが魅力的なのか私には解らないわ。」


「どこって…。」


彼は言葉に詰まる。

違う、詰まったふりをした。


「君の、すべてだよ。」


だめ。

そんなこといわないで。

会って間もないのに、なんでそんなことがいえるの?

本能と理性が叫んでいるのに、私はどうしようもなく惹かれてしまった。

何がいいのか解らない、何に惹かれているか解らないのに、彼といれば大丈夫な気がしてしまう。

判断が、鈍る。

 

「あぁまいったな。ここにはベッドがない。」

 

悪戯に彼は笑う。私も、笑っていた。

 

「構わないわ。」

 

「そうですか?神の前で冒涜していいんですか?」

 

「構わないでしょう?神様なんていないんだから。」

 

彼は楽しそうに笑って日の光を背負った。

 

「聖職者にあるまじき言葉。」


本当ね、でも、それでもいいと思ってしまった。

あなたがいればそれでいいと思ってしまった。

 

「もう少し暗いところに行こう。お楽しみはゆっくりしたいでしょうから。」

 

「昼間からするの?趣味悪いわ。」

 

思ってもない事を口に出すと彼は意地悪く笑った。

 

「嘘がうまくないな、リーザ。」

 

一息ついて、私を椅子から立たせた彼はつぶやいた。

 

「俺の願いを聞いてくれる?」

 

貴方の願いはなぁに?

貴方の為なら

空の星も拾ってこよう。

月の兎も捕まえてこよう。

神より愛しい貴方の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*+*+・+***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁそうか、子供は寝る時間だな。」

 

直立した基にスーツの上着を押し付けて、弥の顔を覗き込んだ鈴欠はそう呟く。その表情がいつもより父親じみていて、基はおかしな気分になった。


「寝てるときは無害なんだが。おきてると痛いところをついてくるようになったんだ。なぁ、誰に似たんだと思う?」


「鈴欠様の他居ないかと。」


「俺はそんなに性格悪くないぞ?」


「…。」


「正直な反応返すなよ。」


「申し訳ない。」


まぁ、いいけど。

そう呟いた鈴欠はため息をついて窓の外を見た。覗いている月から微妙に目を逸らしつつ、適当な言葉をつむぎだす。


「そういやクルスを見た。なかなかいい男だったみたいだな。今は見る影もないが。」


「…見立ては?」


「浮気してるようには思えないな。後ろめたさがない。あれはサラを殺せば簡単に壊れるだろう?男には興味ないからな、簡単に終わらせよう。」


「…サラはどうか。」


「あぁ、あれは…。俺から手を下すだけだとショックはないらしいからな。手っ取り早くする事にした。」


基の表情が硬くなった。それから、鈴欠を責めるように視線を強めた。


「その顔、あれだな、俺が静鳴の部下になれって言った時と同じだ。…いいたい事はわかるけどな…たかが人間だろう?」


「鈴欠様は冷たい。」


「そうか?それはそうだな。俺は悪魔だし。」


当たり前だ、と言うように鈴欠は手を振る。その姿はひどくつまらなそうだった。

 

「明後日か。」

 

「?」

 

「裁判日。明日にはサラを片付けるからもしもの時のサポート頼む。たぶん、ないとは思うが。」

 

「…あぁ。鈴欠様。」

 

「ん?」

 

弥の髪に触れている鈴欠をみながら、基はつぶやいた。

 

「あまりお休みになっていないようだが。」

 

「……あぁ、毎晩だからな。まぁ、死ぬことはないだろうし、サラがいなくなれば多少楽だろ。……あぁもう二時か…。」

 

六時には起きなくてはならない、という教会のスケジュールに軽く嫌気がさしている鈴欠は静かにため息をついた。

ワイシャツの釦を外しながら立ち上がる。もう一度弥を覗き込んでからつぶやいた。

 

「まぁ、こいつには俺と同じ仕事をさせる気はないから安心しろ。…出来ないだろうしな。」

 

「鈴欠さ…。」

 

「クリフォード・カーターなんだろ?風呂入ってくるお前も早く寝ろよ。」

 

言い置いた鈴欠が出ていった後、上着を片手に直立していた基は、そっとため息をついた。

 

「………やはり…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、最期に聞いて。

いやだ、聞きたくない。最期ならなおさら。まだ、離れたくない。

あたしのことどう思ってた?口に出さないんだもの。

それは……あ…

 

お前なんか好きなわけないだろ?

 

あぁ…やっぱり?そっか。なら、いいわ。

違う。違う。待てよ今のは誰の言葉だ?

 

何がいいんだよ?お前にはもっと悲しんでもらわなくちゃ困るんだ。

 

そうなの?…悲しいわよ?私はずっと貴方を愛してたから。

 

知ってる。知ってるよ。わかってるんだ。

 

それがどうしたって?俺はお前が嫌いだ。だって僕のおもちゃを盗るから。

 

あら、…まぁいいわ。

 

よくない。よくないだろ。よくない。

かちり

金属音。ひどく聞き慣れた音。

 

ねぇ、鈴欠…。

 

何?君の声なんか聞きたくない。

 

違うわ、私は鈴欠に話してるの。

 

サキにげ………!!!

 

 

逃げろ。

それはあっけなく轟音にかきけされて。

血煙りが、血霞が、辺りに広がって。

 

 

 

あぁ、わかってたんだ。いつかはこうなること。


今回は早く更新できたかなぁと、自画自賛気味の作者です。わになみだ。長くなりましたね…。でもがんばろうと思いますヾ(~▽~@)

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