PACE2-4→わになみだ3
†本当という意味†
悲しすぎると涙はでない。
ふと気付くと君の前で笑っている俺がいた。
絶叫の様な笑いに、きかれた言葉はただ一つ。
どうして殺した。
おいおいちょっと待てよ。
俺が殺したなんて言ってない。
じゃぁお前の手の中の物はなんだ?
やめろ
じゃぁその手はなんだ?
思い出したくない。
「ねぇ、リーザさん。」
神父のつぶやきに、リーザは振り返った。
「リーザさん、クルスさんのこと好きなんじゃないですか?」
「は?はぃ?何をおっしゃるの?」
「いやね、リーザさん、あのとき言ってたから。」
神父の表情は見えない。リーザの表情はみるみるうちに硬くなっていく。
「壊れてしまったらよかったのに。って。ねぇ、リーザさん?」
「そ、んな…。」
「ねぇリーザさん?どうしてクルスさんと結婚しなかったんですか?」
神父の顔は穏やかに笑う。その笑顔が、リーザの理性を逆撫でした。
「あら、わかってるのではなくて?」
ひどくイライラする。
何故この男はこんなことを知っているのだろう。
そう理性が言った気がしたのに、それは何かにかき消された。
「あの男はサラに鞍替えをしたんですの、私じゃぁ足りないんですって。ふしだらな女の方が何倍も魅力的だと言ってきたのよ。」
あの男なんか嫌いだ。
私が何をしたというの?
神様は無常だわ。
よりにもよって、何故あの女に?
あんな女より私の方が役に立つわ。
私の方が絶対文句は言わないし。
私の方が絶対家事ができるし。
私の方が……。
「う〜ん、私はリーザさんの方が魅力的だと思いますけどね。」
え?
「だって、やさしいですし、しっかりしてますし。それに、…やはり女の人は清廉な方がいいですから。」
この男は何が言いたいのだろう。
「私じゃぁ代わりになれないんですかね?」
「…サラにもそう仰ったのでしょう?」
「おや、解ってたんですか…気に障りました?」
気に障る?何を言いだすのだろう。当たり前なのに。
「う〜ん…貴方のタメだったんですけどね…。」
「どういうことですの?」
「クルスさん、好きなんでしょう?」
男は笑う。そしてそっとリーザの頬にふれた。
「まぁ少し待っていてくださいよ。一人じゃ淋しいでしょ、私のことは好きにしてかまいませんから。」
悪い話じゃないでしょう?
そう、男は笑う。
「…何故?」
「はい?」
「何故そこまでするの?」
「…わからないですか?」
男は月のように輝く髪をかきあげて言う。
「私は…俺は自分が欲しい相手のタメならなんだってできるんですよ。」
あぁ、神様。私は…。
***********
師匠は歌うようにあぁ疲れた疲れた、と言ってベッドに倒れこんだ。
「なぁ基、二週間でおわらせてさっさと帰らないか?」
いきなり何を言いだすかと思ったら…。
ケープと伊達眼鏡を放り出した師匠は、冷たい目をした基さんをチラっと見ていいわけのようにつぶやく。
「…裁判日が嫌なんだ。慣れないところで酷いことになった時からそれだけは避けてたんだし。………弥、なんだその、師匠わがまま〜って目は。」
「我儘でしょう?」
「一番偉いんだから多少の融通がきいて当たり前だ。」
「……鈴欠様、二週間では無理がある。二週間で三人、それもつながりが深い三人組だ。一息にデリートするには違和感がある。それと、司令官殿には従うべきかと。」
基さんの冷たい意見に師匠が、ケチとつぶやいた。…子供じゃないんだから。
「お前等は知らないからいいだろうが俺は痛いんだよ、ありえないからな。いやありえるけど。」
「どっちですか。」
「うるさい、黙れガキ。」
「八つ当りしないでくれます?見苦しいですよ。師匠。」
「…それが一仕事終えて帰ってきた父親に対する態度か?」
「否定する。鈴欠様の仕事はおわっていない。」
基さんの言葉に酷くショックを受けたらしい師匠は枕に顔をうずめた。
「いっておくが、俺はMじゃないからいじめられてもうれしくないぞ?」
「…はっ。」
「基今鼻で笑ったろ?今の俺に対する態度か?ぁ?ぶっ飛ばすぞ?跪かせるぞ?助けてくださいって泣いて叫んでも許さない方向で組み手するか?」
なんでそこで組み手がでるんだろう。
僕の疑問は顔に出ていたのか、基さんが補足してくれた。
「鈴欠様に以前、稽古を付けてもらっていた。」
「感謝の欠片も見当たらない。」
「感謝はしている。」
「ほー。俺は虚言は嫌いなんだが?」
「虚言だらけの師匠が言う言葉じゃないですね。」
師匠は只今20人以上の女の人に心にもない愛してるを吐いております。
「…いや、だからなんでお前知ってるんだ?」
「調べたからです。香奈さん、最近彼氏さんできましたよ?ふられるんじゃありません?」
「…………やられた…。すっぽかしすぎたか。旨かったのにな。」
「鈴欠様、身を固めたらどうか。」
「………ほぅ。」
師匠が体を起こして顔をあげた。
方膝をたてて金属色の瞳を冷たく細める。
なんだか、恐かった。
「解ってて言うんだな。お前は。」
「仰っている意味がわからないが。」
「はっ、馬鹿らしい。俺が誰かと一緒になるだと?無理なことを口にだすな。」
「自分は必要だと思ったので口にだしたのだが。」
「…必要ないさ。あと500年だ。十分、思い出だけでも生きられる。」
師匠の呟きに、なぜか背筋が寒くなった。
「……いいんだ、そばにおけば危ないことくらい解ってる。」
…どういう意味なんですか、師匠。
師匠の拒絶は、冷たい。
*.・゜。・+.゜
あぁ、床が赤い。
ちがう、黒い。
ちがう、紅い。
どうしたらいい?なぁ、俺にはわからない。
手が勝手に動くんだよ。
もうどうしようもないんだ。
俺の意志じゃどうにもならない。
なぁだからさ。
君の口から死刑宣告をして。
君の手で貫いて。
死んでる君に願っても、君は何一つかなえてくれない。
解ってる。解ってるよ。
解ってるんだ。たぶん。
あぁ、愛してるの意味が思い出せないんだ。
君だけへのことば、だったから。
§
モニカはわかってしまった。
神父の姿。
「おはようございますぅ、朝食のお時間ですよぅ?」
モニカさんの間延びした声。
ただ一人朝起きられない師匠が何か呟いて寝返りをうつ。
まぁ何言ってるかは大体想像がつくんだけど。
うるさい、か、ねむい、か…あと一時間、かもしれない。
「あら?神父様まだ起きてないんですかぁ?お寝坊さんですねぇ。」
「すみません。し……父さん朝に弱いんです。僕起こしますから…。」
「朝に弱い神父様なんてはじめて聞きます〜。」
「そうか?」
「お祈りの時間よく間に合いましたねぇ。」
「まぁ、そうだな…。」
基さんが小さく呟ぐまずい。うん、まずい…師匠は我関せずで眠ってるけど。
「あのう、私思うんですけどぉ。」
モニカさんは胸から下がるロザリオをもてあそびながら呟く。
「何故偽名ですぅ?」
「…何?」
「う〜ん、モニカ解るんですよねぇ…悪意っていうかぁ。だからこそシスターになろうと思ったんですけどぉ。…あの〜…何なんですかぁ?」
間延びした、声。でも。答えられない。
「なんてゆーかぁ、司教様の様子も少し違うし…何が目的ですか?」
「…それは…。」
「あぁ、君は鋭いんですね〜。嫌々、意外だ。じゃぁ、君だけに教えてあげましょう。」
基さんの言葉を遮った師匠が起き上がった。
はねた髪と眠そうな瞳。
ワイシャツの前は開いていて右胸の不思議な模様が目立っていた。
「ねぇモニカさん、あんまり警戒しないでくださいよ。私たちは親切で来ているんですから。確かに人間じゃないですけどね。」
「…す、鈴欠様?!」
「モニカさん、よーくみててくださいね。あなたにだけ、特別です。」
モニカさんの前に方膝をついた師匠はにこりと笑う。
「な…何する気ですか!」
「恐がらないでくださいよ、私は神の使いなんだから。」
そっと師匠が目を伏せた。
はじめは小さな弾ける音。
何かが軋むような、みしみしと言う音。
「少し驚くかもしれないけど…。」
ぶちっと、何かはじけた。
「………司令官殿に何といわれるか……。」
基さんが額に手をあててそう呟く。肉を突き破る耳障りな音。師匠の背中には二枚の翼が生えていた。
ただし黒じゃない、銀色の、翼。
「え、そ、それ…神父様っ…。」
「俺はね、神の使い。わかる?」
「……天使様…?」
「教えられない。君が判断して。」
唇に人差し指を当てた師匠は小さくほほえむ。
「これだけは信じてほしい。俺は君たちの未来のためにここに来てる。だからこのことは誰にも言わないでくださいね。ばれるとこちらとしても遣りにくい。」
師匠の言葉にモニカさんが頷いた。
「ごめんなさいです〜。じゃぁ、ご飯できてますからご用意できたら来てくださいね〜。」
走り去ったモニカさんに手を振った師匠の背中から翼が消失。ついでに笑顔も跡形もなく消えた。
「鈴欠様…。」
「結果オーライだろ?俺は嘘言ってないし、やることもばれてない。だから頼むから司令官にいれるなよ?報告。」
基さんから端末を奪った師匠は、基さんの冷たい視線を避けていった。
「これ以上給料減らされたら俺の生活は成り立たない。」
それはたぶん、師匠が女の人に貢ぎすぎなんだと思う今日この頃。
手にもっているのは凶器ですか。
もった覚えはありません。
引き金を引いた覚えはありません。
足元に広がる残骸はなんですか。
覚えがないんです。
わからないんです。
あぁでももしかして。
もしかしてこれは……。
なんか暗い……ごめんなさい。最近の悩みはしんぷって打つとだいたいの確立で新婦ってでること。……正直気持ち悪いと思いました。 ではここまで読んでくれた方ありがとうございました。




