119話 女神ユゴス、恥を忍んで頭を下げる
勇者エレンが、転生者ニコを撃退した。
一方その頃、別の転生者ハジメのもとに、女神ユゴスが来ていた。
「んだよババア……オレ様に何か用事かぁ?」
ハジメがすんでいるのは大豪邸
彼がかせいだ金でたてたものだ。
高そうなソファに座り、左右には美女を侍らせている。
「…………」
女神ユゴスは、ギリッ……と歯がみすると、頭を下げる。
「お願い……します。どうか……エレン討伐に……お力を、かして、ください……」
怒りで声を震わせながら、ユゴスがそういった。
……このプライドの高い女にとって、他者に対してへりくだることが、どれだけ苦痛か。
しかしもう、後がない。
サブロー、ニコ、と倒されていった。
2人も無意味に転生者を失ったことで、上司たる【主】から失望を深めた。
もう……あとがなかった。
今すぐエレンを倒さないと、【主】より罰を食らう。
「【だから恥を忍んで頭を下げに来たのだ。とりあえずこうすればこの男も満足だろう】……か?」
ハジメが言った内容は……ユゴスが頭の中で考えていたことだ。
「なっ!?」
「【どうしてわかるのだ!? まさか、思考を読まれている!?】……くく、さぁなぁどうだろうなぁ~」
ちゃきっ、とハジメが懐から黒光りする何かを取り出す。
それは、異世界にあった拳銃だ。
ドガンッ……! と激しい発砲音とともに、ユゴスの膝から血が吹き出る。
「う、ぎゃぁあああああああああ!」
鈍い痛みとともに、ユゴスはその場に崩れ落ちる。
「オレ様をコケにした罰だ」
「やだぁ、あの女かっこわるぅい」
「ぎゃーですってぇ、まるでサルですねぇはじめさまぁ」
彼の囲っている女達が、ハジメにこびた声で言う。
「女神さんよぉ、わざわざ出向いて頭を下げに来たところまでは……ま、進歩したな。ニコのおかげかぁ?」
ニコにたっぷりと調教(破壊&再生)をされたことで、女神のプライドはべこべこに折れた。
だが、それでも彼女の高い高いプライドは、まだ残ったままだった。
そこを、ハジメに見抜かれたのである。
「人に物を頼むときはよぉ、もっと謙虚にならなきゃあいけねえよなぁ?」
「ぐ、こ、のぉ……!」
懐から、魔法の封じられた結晶を取り出そうとする。
だが……。
ドガンッ……! と腕を打ち抜かれた。
「ふんぎゃぁああああああああ!」
右手ごと結晶が破壊される。
「思考が読めるっつったろ? てめえがなにを取り出そうとしたのかも、こっちには筒抜けなんだよ」
くすくす……と彼の女達が小馬鹿にしたように笑う。
「学習しないおばさんねぇ~」
「ばっかみたい。女のくせに、男にこびる術を持ってないなんてねぇ」
ユゴスは痛みと屈辱で涙を流しながら、ハジメたちを見上げる。
「……がい、……ます」
「あー? なんだってぇ~?」
うぐっ、と女神ユゴスは歯がみすると、ゆっくりと体を曲げる。
両手をついて、頭を下げる。
「おねがい……します……どうか……エレンを……たおしてください……」
だが、逆の手をまた打ち抜かれる。
「ひぃいい! うひぃいいいいい!」
ゴロゴロとのたうち回るユゴスに、ハジメがニヤニヤ笑いながら言う。
「もっと媚びろ。おまえも女なら、もっともっと媚びて見せろよ?」
……どうして、こんな目に。
ユゴスは痛みと屈辱の涙を流す。
人間ごときに、神が頭を下げるということが、どれだけ屈辱か。
だがもう後には引けない。
ここでこの男を動かせなければ、もうユゴスには……。
「……ハジメ、様ぁ」
ユゴスは涙を流しながら、ずりずりとはいつくばって、ハジメの元へ行く。
猫なで声をあげて、彼の足元で土下座する。
「……どうか、その無双のお力を、力のないわたくしめに、おかしくださいまし……なんでも、いたしますからぁ」
一度墜ちてしまえば、楽だった。
プライドなんて持っているから辛くなるだけなんだと、彼女は悟った。
「くくく……じゃあ靴でも舐めてもらおうかな?」
「……はい、ハジメさまぁ」
ユゴスはしゃがみ込むと、ハジメの靴にキスをする。
「くくく……あーーはっっはっはぁ! 見ろよおまえらぁ! これが女神とかほざいていた女だぜぇ? 惨めだなぁ……!」
げらげらげら! とハジメが笑う。
「力を失い、自分が見下していた相手に媚び、靴を舐めるなんてなぁ! 神が聞いて呆れるぜぇ! なぁ!」
女達も追従笑いをする。
女神はそんな彼らにバカにされ、涙を流しながら……しかしヘラヘラとした笑みを浮かべる。
「……お願いします、この卑しいメス豚に、力を貸してくださいハジメさまぁん♡」
反吐が出そうになった。
だが一度プライドを捨てて楽なったユゴスは、その後もハジメを喜ばせようと必死に媚びた。
「くく……まあ完全に屈服していないのがしゃくに障るが……いい。愉快なもん見せてもらったお礼に、ちょっとだけ言うこと聞いてやるかぁ」
バッ……とハジメが立ち上がって、部屋を出て行こうとする。
「……ハジメ様、お気をつけください。エレンは、強敵でございます」
ユゴスの忠告に、ハンッ……! とハジメがバカにしたように鼻を鳴らす。
「ばーか。オレ様が負けっかよ」
「しかしニコやサブローは……」
「ケッ! あんなザコとオレ様を一緒くたにするんじゃあねえ。絶対だ。絶対にオレ様は負けねえ。100%、負けるはずがねえからよぉ!」
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はい、でも負けるのでした。
いやぁ、転生者ってバカしかいないのかな。
僕に嫌われている時点で、負けは確定しているのにね。
転生者ハジメ。
次は、おまえだ。
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