表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の失敗、ふたり分 悠斗視点  作者: たい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

安心して眠れる夜

第7話は、悠斗が「安心して眠れる」という感覚を、少しずつ覚えていく回です。


最初の頃の悠斗は、


* 「途中で起きたらどうしよう」

* 「また間に合わなかったらどうしよう」

* 「絶対失敗したくない」


そんな不安をずっと抱えていました。


だから、夜や長時間の移動は特に苦手でした。


でも今は違います。


奈々と美咲と一緒に過ごす中で、


「もしもの時も大丈夫」


と思えるようになってきています。


今回は、大きな事件が起きる話ではありません。


でも、


* “安心して眠れること”

* “無理をしなくていいこと”

* “一人じゃないこと”


を、静かに描いた回です。

その日の夜。


悠斗は、自分の部屋のベッドへ寝転がっていた。


スマホの画面には、奈々たちとのLINEが開いている。


『今日めっちゃ並んだね』


奈々からのメッセージ。


悠斗は思わず笑う。


『90分長すぎ』


すぐに返信が返ってきた。


『しかも全員やばかった』


悠斗は吹き出した。


『あれはしょうがない』


少しして、美咲もメッセージを送ってくる。


『でもちゃんと楽しめたね』


その言葉を見て、悠斗は少しだけ画面を見つめた。


――ちゃんと楽しめた。


前の自分だったら、たぶん無理だったと思う。


待ち時間が長くなった時点で、ずっと不安だったはずだ。


「どうしよう」

「大丈夫かな」


そればっかり考えて、遊園地どころじゃなかったかもしれない。


でも今日は違った。


ちゃんと笑えた。


ちゃんと楽しめた。


それは、“安心できる”と思えたからだった。



悠斗はスマホを胸へ乗せながら、小さく息を吐く。


部屋は静かだった。


外では、少しだけ風の音がする。


机の上には、今日遊園地で買ったキーホルダーが置いてあった。


奈々と美咲と、おそろいで買ったものだ。


悠斗はそれを見ながら、小さく笑う。


(なんか不思議。)


最初は、夜行バスで会っただけだった。


知らない高校生のおねえさん。


正直、最初はかなり緊張していた。


でも今は違う。


LINEをして。


一緒に遊んで。


普通に笑っている。


それがなんだか不思議だった。



その時。


スマホがまた震える。


『悠斗くんもう寝そう?』


奈々からだった。


悠斗は少し考えてから返信する。


『ちょっと眠い』


するとすぐ返事が来る。


『子どもだ』


悠斗は思わず顔をしかめる。


『奈々おねえちゃんも絶対眠いじゃん』


数秒後。


『バレた』


その返事がおかしくて、悠斗は笑ってしまった。



少しして。


お母さんが部屋を覗く。


「そろそろ寝なさい。」


「はーい。」


悠斗はスマホを置き、ベッドへ潜り込む。


毛布の中は暖かい。


今日はいろんなことがあった。


遊園地。


長い待ち時間。


ジェットコースター。


笑いすぎた帰り道。


そして、“大丈夫”って思えたこと。


悠斗は小さく目を閉じる。


前は、寝る前って少し不安だった。


途中で起きたらどうしよう。


朝まで大丈夫かな。


そんなことを考えてしまっていた。


でも最近は違う。


“ちゃんと準備してる”。


それだけで、かなり気持ちが楽だった。


それに。


“分かってくれる人”がいる。


その安心感も大きかった。



悠斗は布団の中でもぞっと動く。


それから、小さく呟いた。


「……安心優先って大事かも。」


少し前の自分なら、そんなこと絶対言わなかったと思う。


でも今は、本当にそう思っていた。


“無理して不安になる”より、


“安心して楽しめる”ほうがいい。


奈々と美咲は、ずっと自然にそうしていた。


そして最近、自分も少しずつそうなってきている。



スマホが最後に一回だけ震える。


『おやすみ〜』


奈々からだった。


悠斗は少し笑って返信する。


『おやすみ』


そのあと、少し考えてからもう一通送る。


『今日は楽しかった』


数秒後。


『また行こうね』


その返事を見た瞬間、悠斗はなんだか安心した。


また会える。


また一緒に笑える。


そう思えることが、嬉しかった。



悠斗はスマホを枕元へ置く。


部屋の電気はもう消えている。


静かな夜。


でも今日は、不安より安心感のほうが大きかった。


悠斗は小さく目を閉じる。


そしてそのまま、安心した気持ちのまま眠りへ落ちていった。

第7話は、“安心して眠れること”をテーマにした静かな回でした。


このシリーズでは、


“失敗そのもの”より、


* 不安で眠れないこと

* 一人で抱え込むこと

* 「また起きたらどうしよう」と怖くなること


のほうを、つらいものとして描いています。


だから今回の悠斗は、


「ちゃんと安心して眠れそう」


と思えていること自体が、大きな変化でした。


また今回は、


“特別な出来事”より、


* LINEのやり取り

* 寝る前の安心感

* 「また行こうね」と言える関係


を大切に描いています。


最初は偶然出会っただけだった三人が、


今では「また会えるのが当たり前」みたいな関係になっている。


第7話は、そんな“日常になっていく安心感”を描いた回でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ