第28話
ダンジョン配信総合スレ13012
731:名無し探索者さん
おい!
ドラおじとエスペランサのスノウデルが模擬戦するらしいぞ!
トージも参加するらしい!
732:名無し探索者さん
……………は?
733:名無し探索者さん
世界ランク3位と17位じゃん……嘘つくならもっとそれっぽい嘘つけよ
734:名無し探索者さん
マジだって!
キーファちゃんねるの生配信見ろ!!
735:名無し探索者さん
はあああああああああ?
マジじゃねぇか!
736:名無し探索者さん
え? コラ?
737:名無し探索者さん
スノウデル&トージ対ドラおじ&カナwwww
738:名無し探索者さん
いやいや、なんでスノウデルがこんな所にいるんだよ……
739:名無し探索者さん
なんでも、急遽ドラおじの講義を聞きに来たらしいぞ
740:名無し探索者さん
マジかよ
741:名無し探索者さん
こんなの見るしかないだろ!
742:名無し探索者さん
俺、他板にも宣伝してくる!
743:名無し探索者さん
配信サーバー、人大杉で草
*** ***
「あうー、あうー。
わたしはなぜいったいここに?
ああ、会ったことのないおじいちゃんの姿が見えるよ……」
「頼りにしてるぜ、カナ!」
空を見上げてなにかと交信してるらしいカナの背をぽんと叩く。
「ケントおにいちゃん……」
「若手最強の、お前ならできる!」
「うおおおおおおおおっ!! わたし頑張ります!!」
すっかり緋城カナとしての演技を忘れ、やる気全開になるカナ。
相手は世界ランク上位?の探索者らしいので、カナとのコンビネーションが重要になりそうだ。
「がんばれがんばれ~! ぱぱ! カナおねえちゃん!」
(うおおおおおおおおっ!!)
今日は紅白のポンポンを持った制服姿のチア・キーファは、歴史書で100ページくらいは特集されるべき可愛さだ。
3限の教導が終わって10分後、俺たちはスノウデルさんとトージさんのコンビと模擬戦をすることになっていた。
「これに勝てば、サイン入りオリジナルニットキャップ(狼耳対応バージョン)が貰えるからな! パパとしては頑張りどころだぜ!」
「……え、ケントおにいちゃん、勝つつもりなんですか?」
不思議な事を言うカナ。
「ん? 世界ランカーとはいってもAAランクのつよつよカナがこちらにはいるだろ? 俺がお前をアシストすればチャンスあるだろ」
「いやいやいや……わたしの世界ランクは763位ですよ? 勝負になりませんって!」
「そうなん? 向こうはアラフォーでS何たらランク、カナは17歳でAAランクだろ?
掛け算したらカナの方が強そうじゃん」
「いやなんですか、その謎計算!?
相手はサウザンドのスノウデルですよ!」
「さっきから気になってるんだけど、その二つ名、なに?」
「全てのステータスが1000を超える、人類未踏の男……ですって!」
「ほえ~」
「あれ、反応薄い!?」
<ドラおじとカナの掛け合いおもろ>
<夫婦漫才キターーーーー! 推せる!>
<いやいや、おまえら……>
<つーか、勝負になると思う?>
<うーん、スノウデルとトージの魔法は強力だからな……いくらドラおじでも間合いに入れないんじゃ?>
<でも、一撃の威力はドラおじが上じゃね?>
<ゆーても、当たらんとどうしようもないし>
<リーチの差かぁ>
俺がカナと話をしている間に、ちゃんねるのコメント欄が凄いことになっていた。
視聴者数も350万を超えたらしい。
スノウデルさん、トージさんの集客力恐るべし!
ぜひ勝って、キーファちゃんねるを宣伝させてもらおう!
「”寸止め”の魔法を使ったからね、HPが0になることはない。
思いっきり打ち込んできてくれたまえ。
もちろん、そうやすやすと当たるつもりはないがね」
ぱああああああっ
ダンジョン全体が淡く輝く。
うおお、なんかスゲースキル!
「それじゃ、手加減は無しってことですね!」
「!! 言うじゃないか!
それでは、いざっ!」
「はいっ!」
「はわわわわ!?」
ゴオオオッ
開始の合図代わりに爆裂魔法の魔力球がこちらに飛んでくる。
「よし、俺が相手の攻撃を引き付けるから……カナはスキルポイントを練っておいてくれ!」
「……ふえ?」
カナの返事を待つ暇はない。
俺は思いっきり地面を蹴ると、まばゆい光を放つ魔力球に突っ込んだ。




