第27話
「え、うそ……サウザンドの、スノウデル?」
「すごい! キーファ初めて見た!!」
<スノウデルwwwwww>
<草枯れるwwwwwwww>
<ドラゴン種討伐数200体以上、魔神と呼ばれる上位デビルを討伐したあのスノウデル!? マジで!?>
<いつの間に来日してたんだよ!!>
<ドイツからオーストラリアに移動する途中に寄ったらしいぞ>
<マジか!>
<ていうか、トージも世界ランカーだからな!>
<おいおい、他にもランカー探索者が何人もいるじゃねーか!>
<ドラおじの影響力ヤバすぎだろ!>
「???」
コメント欄は沸き立っているし、キーファは興奮している。
カナはぽかんとアホ面を晒している。
いや流石に俺も、スノウデルって名前は聞いたことあるよ?
なんかCMに出てたから、探索者をやってる俳優さんなんかな~って。
「……ケントおにいちゃん、それマジで言ってます?」
「ぱぱ、帰ったらお勉強だね」
両側からジト目で睨まれてしまった。
だから、俺はずっとソロかキーファと一緒で、他の探索者に気を向ける余裕がなかったんだっつーの!
<キーファたんとカナが1000%正しい>
<パパは料理とアクスタデザインしてる暇があったらちょっとは勉強しろ>
く、俺の味方はいないというのか……!
「あーもう、さっさと教導始めんぞ!」
ちょっぴり反省した俺は、微妙な空気を振り払うように叫ぶのだった。
*** ***
「なるほど、こうするのか!」
「いやはや、まったく恐るべき発想ですね!」
「我々は今までステータスを伸ばし、新しいスキルを開発しそれを習得する事ばかりに集中して来た。まさかその根源たるダンジョンポイントに、このようなファンタスティックな使い方があろうとは!!」
受講者の人数が多いので、手分けして教導を行っている。
俺の班では、屈強なオジサンたちがキャッキャウフフ……失礼。
興奮気味に談笑している。
(はえ~)
世界ランカーの探索者らしく、装備もごついしスキルも凄く使えそうだ。
(すげぇ!)
色んなスキルを使いこなす探索者は無条件で尊敬してしまう俺である。
俺の適当な説明が伝わってればいいが……。
「はいみんな、ダンジョンポイントをもふもふに解凍できたかな~?」
「「もふもふ~!!」」
キーファは幅広い年齢層のファンを獲得したようだ。
何しろ可愛いキーファだからな、当然である!
「と、という事で刀身にダンジョンポイントのエネルギーを……」
「「きゃ~! おねえさま!!」」
(ひょええええええっ!?)
クールな剣士モードのカナは女性ファンに囲まれていた。
ふむ、とりあえず教導は成功と言えるだろうか?
「動画では何度も拝見していたが、君がケント君だね?」
オジサンたちの中から、ひときわ屈強な男性がこちらにやってくる。
ロマンスグレーのイケオジ、流石に俺でも顔は分かる……スノウデルさんだ。
「実際に会って確信したよ。
君は探索者の世界を変えられる人材だ。どうだろう? エスペランサに来ないかね?」
「申し訳ありませんが、子育てがあるのでお断りします」
スカウトされることは予想していた。
俺はきっぱりと断りの返事をする。
「それに、俺たちは桜下プロダクションに移籍したばかりなので」
ポンポンと移籍するのは信義にもとるしな。
桜下さんは俺たちのことを第一に考えた条件を提示してくれているし、キーファも彼女を慕っている。
「ははっ、やはり断られてしまったか。
可愛いfamilyを大切にしたまえ」
速攻で断ってしまったにもかかわらず、笑って流してくれるスノウデルさん。
器がでかい。
「それはそれとして……サインください!!」
どうやらキーファは彼のファンらしいからな。
パパとしての義務を果たさねばなるまい!
<図々しくて草>
<さすパパ>
<ワイもサイン欲しい!>
多少図々しかろうが、キーファの笑顔には代えられないのだ。
「ふむ、サインくらい構わないが……そうだな」
俺のお願いに、髭をさすって考え込むスノウデルさん。
「理事長殿、訓練用ダンジョンを1つ貸してもらえないか?
ケント君、第4限は18時からだったな?
サイン代がわりに私と……模擬戦をしないかい?」
「へ?」
<な、なにいいいいいいいっ!?>
「「うえええええええええええええっ!?」」
思わぬ申し出に、コメント欄と体育館は本日最大に沸騰したのだった。
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