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27-葛藤、そして……

「これで、よかったんだよな……」


 空も橙色へと変わる夕暮れ、村を離れて歩く俺の頭には奪ったという、罪をおかしたという事実でいっぱいであった。


 覚悟も決めていた。

 はずなのに、実際に犯した後では後悔が頭を支配する。

 何かもっとよい方法はなかったのか。

 親父をどうにか説得できなかったのか。


 次から次へと後悔に囚われ、俺はいつの間にか草原のど真ん中で足を止めてしまっていた。

 横を歩いていた、元の姿へと戻り、マントを羽織ったエンリが心配そうにこちらを伺う。


 そんなエンリに、俺は限界だったのか思わず吐露してしまう。


「なあエンリ……俺は正しいのかな」


 やらねば死ぬ。

 やれば相手が不幸になる。運が悪ければ死ぬ。


 選択を迫られた場合、赤の他人よりも自分の命を選択するのが普通だ。

 でも、それでも。

 心には深く、罪を犯したという傷が残る。


 それは一生消えない傷であるかもしれない。


「主が正しいに決まってるじゃん!」


 エンリは力強く答えてくれた。

 自分のことを肯定してくれる存在。

 その言葉に胸が少し軽くなる。


 そうだ。俺が選んだのは、エンリとエイリーネ、そして自分の人生だ。


 だから何も間違っていない、正しいことなんだ……。


「……ごめんな、エンリ」


 俺がもっとしっかりとした精神を持っていれば、今頃は明るく帰り道を歩いていただろう。

 しかし俺にはそれはできなかった。


 謝ると同時に、エンリを抱きしめる。

 選んだ、救ったものを確かめるように。 


「……主」


 エンリも弱く抱きしめ返してくれた。

 このまま山賊を続けていては、何度もこんなことを経験していくかもしれない。

 そんなのは嫌だ。


 人に迷惑をかけていく人生なんて嫌だ。


 だからまずはエイリーネを救う。

 そして山賊をやめ、俺の人生を生きよう。


 このまま帰ったら、すぐにでも。

 そう、俺が決心した時であった。


 ドドドドド…………。


 何かの大群の足音が響く。

 音の方へ顔を向ければ、その先には何十頭もの鹿や猪のような生き物が群れをなして駆けていた。


 方角は俺たちが逃げてきた村。

 村の畑が荒れていた原因……それがあれだろう。


「エンリ」


「……へへっ、了解、主!」


 エンリは素早くマフラーへと化けると俺の首へ巻き付いた。舞った下着を取り、マントを流れるように俺は羽織る。


 罪滅ぼし、なんて自分勝手な考えだ。

 だが、しないよりはしたほうが心の傷が浅くなる。


「行くぞ!」


 俺は獣たちの速度には及ばないが、全力疾走でその後に続いた。

 アレを、全て狩るために。

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