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前奏6
呆然としている巫女にむかって、リリアそっくりの乙女は残念な言葉を吐き続ける。
「ねえねえおねいさん、商売の邪魔しないでおくれよお~
あたいらだって食っていかなきゃなんないんだよ。
用がないんだったら、さっさとお帰り」
「待ってください!」
突然言葉を遮り、一緒についてきた薬草師が慌ててまくし立てる。
「あなたは風の一族の舞乙女さんでしょう?
どうか、私達を救って下さい!
お願いします!!」
そういい放ちがばっとお辞儀をする。
はっと我に帰った仲間の巫女も、深々とお辞儀をする。
その様子にすっと目を細め、冷たく言い放つ。
「お断りだね!」
えっ!!という顔をした二人が思わず顔をあげると、きっと睨まれ思わずひるんでしまうほどであった。
そのまま背を向け立ち去ろうとしたところを引き止めたのは、
意外な人物の登場だった。
「ルル、俺が許す。舞ってこい」
突然現れた男の声に反応して振り返ると、巫女と薬草師の後ろに日焼けした背の高い美丈夫が
立っていた。
「なんであんたがここに?!」
その美丈夫こそ風の一族を束ねる長ことライガードだった。