前奏7
「きれいなお嬢さん方、あんた方は月神殿から来たんだね?
立ち話もなんだから、ちょっとそこまで付き合ってくれないかな~」
月神殿は女性ばかりで男性に不慣れな二人には、身も知らぬ他人の出現とお誘いに
答える術などあろうはずもなく…
「ちょっと、長!! いい加減にしなよ!
清らかな巫女さん逹には刺激が強すぎるってもんだよ」
「はあああ~お前のその口のききかたのほうが、よっぽどじゃねえかルルカさんよお。
それに薬剤庫から薬草くすねてきたのをおばばにばらされたくなかったら、
お前も大人しくついて来い!!」
「………」
ばつが悪そうな顔をして黙り込んでしまったのをいいことに、
長と呼ばれた男はくるりと背を向けると市場の反対側へとすたすた歩いていった。
固まったままの二人に向かって、はあ~と深いため息をつくと
ルルカと呼ばれた娘は口調を変えて話しかけた。
「お二方、詳しいお話を伺いとうございます。
どうぞ、私と共においで下さいませ」
そう言うとニコッと微笑み、長と呼んだ男の歩き去った方向を指し示す。
「どうしましょう?」「こうなったらイチかバチか話だけでも聞いていただきましょう」
二人の巫女はコソコソ相談しどうやら覚悟を決めたらしく、ルルカにむかって言い放つ。
「ル、ルルカ様。お連れ下さいませ」
「こちらでございます」
二人を案内しながら隣の出店者に留守を頼み、長の後を追っていく。
(あ~あ、チョーめんどくさっ!!せっかく一儲けできるとこだったのに…
寄りによって長にみつかるなんて最悪じゃん!
きっとおばばにもばれるの時間の問題なんだろうな、ったく)
心の中で思いつく限りの悪口を長にぶつけながら、ルルカは二人の巫女を市場のはずれの
食事処へと導いていく。
実は長にばらしたのは、おばば本人だとは知らずに。
一方後をついていきながら二人の巫女は改まった口調になると、ますますリリアにそっくりなことに
深く感動したのであった。




