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第四十一話 TRIUMPH

 アトラスドライバーを受けたヒカルは大の字に倒れた。テルはヒカルとの打ち合いによるダメージが残る中、何とか立ち上がる。


「1・2・3……」


 審判ゴーレムがヒカルのダウンカウントを取り始める中、テルは倒れたままのヒカルを見ながら考える。ヒカルが蛇の如く柔軟な体を持つが故に首へのダメージが通りづらい事は、準決勝のリコ戦で知っていた。

 だが、それは水平方向からの衝撃に対してでありパイルドライバーのように相手の体重をそのまま垂直方向にぶつけるのは有効なのではないか。テルはそう閃いた末に、生前編み出したまま使用しなかったアトラスドライバーの封印を解いたのだ。


「5・6・7……」


 もしここでヒカルが立ち上がれば、テルにはもう打つ手が無い。アトラスドライバーには全てを懸けていたのだ。


「8・9・10!!勝者、テル!!!」


 審判ゴーレムがテルの勝利を告げ、ゴングを打ち鳴らした。


『干支乱勢大武繪決勝戦はテル選手の勝利です!即ち、テル選手及び子国の優勝が決定しました!!!』


 歓声は大気を振動させながら響き、テルの勝利とヒカルの健闘を讃える。


「おっしゃああああああ!!!」


 ガッツポーズと共に雄叫びを上げるテル。


「テルー!」


「テルさーーん!!」


 リングに滑り込んだウスマとモルモはテルに飛びついた。


「ああ〜!ヒカルよーーっ!」


「ヒカル様ぁーー!!」


 巳国女王イルコと大臣トスターもリングへ滑り込み、ヒカルの元へ駆け寄る。


「……じじい、モルモ、喜びを分かち合うのは後だ」


 テルは倒れたヒカルの元へ近付く。


「……テルか」


 失神から覚めたヒカルの傍らに、テルは片膝を着いた。


「完敗だ。オレはオマエにもプロレスにも、敵わなかった……」


「お互い、生前に闘ってたら負けたのは俺の方だろうな」


「生前か……オマエは生き返れるんだろ?オレを倒して掴んだチャンスだ。有意義に使えよ」


「……ああ」


 ヒカルが差し出した右手を、テルは両手で握り返した。


Parabéns(パラベーンス)……」


 そう言い残すと、ヒカルの体は光に包まれる。テルの手に握られていた手は、とぐろを巻いたコブラの幼蛇に変わっていた。


「女王さんよ」


 テルはイルコに蛇となったヒカルを手渡す。


「こいつを粗末に扱わないと約束してくれ」


 イルコは両手でヒカルを受け取る。


「我ら巳国は強き者へは敬意を払う。ヒカルに勝った共方の意思、尊重しようぞ。……そして、ウスマ老」


「な、何じゃ?」


「おめでとう、とだけ言っておこう。トスター、下がるぞ」


「御意に」


 ヒカルを抱きかかえたイルコはトスターを従えリングを降りた。



『さあて、優勝者であるテルに子国の長よ、あんた達に賞品を与えるよ!……パントドンの民達は控えよ!“全てを造りし者”の降臨である!!!』


 ヒナコがそう告げると、リングの中央に雷が落ちた。そして、落雷の後に一体の人型をした者が現れたではないか。


「あれが……百年に一度、この地に姿を見せるという……」


「神様……!?」


 ウスマとモルモは尻尾を立て、その姿に畏怖する。が、それはテルからしてみれば何とも拍子抜けな“神”の姿だった。

 身長175cm、中肉、年の頃は30前後、ピンク色の短髪に高そうな背広姿の“人間”の男にしか見えないのだから……

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