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第二十九話 J

黒鼈タルタルーガ、テル!紅禽ケツァール、マイ!双方構えて」


 審判ゴーレムのコールを合図に双方は構えをとる。


開始はじめぇ!」


 開始と同時にマイはジャンプしながらの後ろ回し蹴り(ローリング・ソバット)でテルの頭部を狙う。

 しかしテルはネズミのヒゲでいち早くそれを察知し、両腕を上げて防御。マイが着地するところを狙い組み付き、投げっぱなしのフロントスープレックスを見舞う。

 ブン投げられながらもマイは空中で前方へ回転したあと、両足で着地。テルの方を向き直ると、眼前にはテルの両足に履かれているリングシューズの裏が迫っていた。


『ドロップキックだ!!』


 跳躍し、両足で相手の胸ないし頭部を蹴り抜くのがプロレスの基本技・ドロップキックである。威力よりも、動きの迫力と美しさを見せるのが目的となるこの蹴りは当然、総合格闘技はおろか実戦ストリートファイトにおいても使われる事のない技である。


「オラァ!その程度か?マイケル・リー!!」


 着地し、立ち上がりながら啖呵を切るテル。


「なめるな!世界的大スターのワタシを、この程度で倒せると思ったら大間違いネ!!」


 マイも応えながら立ち上がる。


 観客達はその流れるような攻防の美しさに歓喜し、リング上で闘う二人の干支乱勢へと声援を送り始める。


「マイはやはりプロレスの才能があるね。役者なんだからパフォーマンスが上手くて当然か……だが、」


 一番優れているのは、テルの“相手の良さを引き出す力”である……リコはそう感じ取っていた。


「無駄な動きが多すぎる。最初の跳び蹴りを捉えてヒールホールドでも仕掛けりゃ終わりじゃねえか。これだからプロレスってのは……」


 嫌いなんだ。と、ヒカルは続けようとした。


「食らうがいいネ!孤漫道コマンドー奥義・毒竜煉獄ヒュドラ・インフェルノ!!」


 マイの右掌底が、テルの前頭葉を襲う。


(何てぇ胡散臭ぇ技名だ)


 テルは攻撃を受けながら思った。そして瞬く間に次の一撃が来る。


 左の張り手が右頬へ。


(だが、プロレス的には大いにアリだ!)


 右の手刀が喉へ。


(マイといいエリといい、リング上で画になる技を使いやがる)


 左正拳が鳩尾へ。


(アサヒやウィンやヴィーカともバチバチにやり合いたかったぜ)


 右ミドルキックが左脇腹へ。


(ピエレとヒカルは悪役をやるには打って付けだし、 レヴィやシン、ジュリエッタもキャラが輝く奴らだ……)


 左のローキックは右腿へ。


(またこいつらと闘いたい、)


 バク転をしながら右つま先で顎を蹴り上げる。


(プロレスのリングで!!)



『マイ選手の連続攻撃が、全てテル選手に炸裂!!これはひとたまりも無い筈ですよ!!!』


しかし、テルは倒れない。


「全部、 受けきってやったぜ……」


 若干ふらつきながらも、テルはマイへと近づく。そして、


「今度はこっちの番だぜ!オラァッッ!!」


 テルの左側頭部辺りから振りかぶった右掌がマイの胸を思い切り打つ。パァン、 と空気が爆ぜたかの如き音が殺仕合夢コロシアム内に響く。


『これは……逆水平チョップ!!』


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