第52話 飛竜一閃
「待っててカエデ・・・あたしが助けるから・・・。カエデを『破壊神』になんて絶対にさせない!」
カエデは命を削るように暴れ回っていた。内なる『破壊神』と必死に戦っているのだ。
「姫。この状態でカエデ君に召喚されたらかなりヤバい。ボクとユピがカエデ君と『竜王の書』を引き離す。その瞬間が勝負だ!」
フェンがうなずく。
「ユピ・・・。カエデ君が竜王の書を出したらすぐに彼の口を押さえてくれ。ボクが竜王の書を結界に閉じ込める・・・いいかい?」
ユピがうなずくとカムサムは呪文を唱えた。
「結界魔法『円卓』・・・」
― ブ――――――ン
六芒星の光がカムサムの右手で留まっている。
「が、ああ、・・・あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
カエデが悲痛な叫び声をあげる。するとカエデの目の前に煙が噴き出し、『竜王の書』があらわれた。
「今だ! ユピ!」
― シュン!
ユピが一瞬でカエデの口を押える。カムサムは右手から光を放ち『竜王の書』を結界に閉じ込めた。
「ぐ、・・・す、凄まじい力だ! カエデの力とは思えん!」
ユピがカエデから手を離すと、勢い余ったカエデは地面に突っ込んだ。
ー ザザザザザザザザザザァ・・・・・・
「ぐ、ぐあああああああああああああああ!!」
「姫!」
フェンはうなずくと体勢を低く落とした。そして静かに目を閉じる。
「剣に宿りし浄化の光よ・・・我が一閃に聖なる力を」
― キュイ―――――――――ン・・・
青い光がエクスカリバーの刀身に集まっていく・・・。そして一瞬、眩いばかりの強い光を放った!
「真・飛竜一閃!!」
― ピシ―――――――――――――――――ン・・・・・・
フェンが刀身を鞘に納める・・・。フェンの放った青い閃光がカエデと影を完璧に分断している! カエデは無傷。影は・・・。形をひっきりなしに変化させ、不気味な音をあげていた。
― グゴオオオオオオ・・・オオオォォ・・・ゴォォォォ・・・ォォォォ・・・
フェンとカエデ、二人が同時に倒れる。ともにピクリとも動かない・・・。カムサムは『竜王の書』の結界を解いた。ユピがフェンに駆け寄る。
「姫! しっかりしろ!」
― ズ・・・・ズズズズズズ・・・ズズズズズズズズズズ・・・ズズズズ・・・
カエデと分断された影は、ゆらゆらうねりながら宮殿の外へと向かっていった。
「よ、よし。何とか・・・。追い払ったぞ・・・」
「まだじゃ! アークシュタインとエクスレイアが戦っとる。わしは直ぐ行く。お主たちはフェンちゃんと竜王様を頼む!」
「ガ、ガララさん・・・お、お願いします・・・」
カムサムがそう言って頭を下げるとガララはコクンとうなずき、駆け足で天空宮を出て行った。
― ガッ・・・ガガガガガガッ・・・・ドゴゴゴガ――――――ン・・・
エクスレイアと魔王アークシュタインの戦いは浮島のあちこちを破壊しながら、一進一退の攻防を繰り広げていた。闇の炎が二人の周りを取り囲み轟々とうなっている。
「ハア・・・ハア・・・アークシュタイン! 何故・・・カズサ村を襲った・・・。何故、俺から大事な人を奪った・・・」
エクスレイアの剣が有毒ガスに覆われて紫色に光っている。妖刀『天叢雲剣』の真骨頂。猛毒の刃、魔法剣『狐火』。
アークシュタインの左半身を狐火が覆っている。
「流石はエクスレイア・・・私の見込んだ通りだ・・・。その年齢にして私をここまで追い込む強さ・・・。ユピ、エクスレイア、フェン。そしてカエデ。『創造』の神器に選ばれた者は何故こうも才に恵まれているのか・・・」
アークシュタインは膝をついた。『狐火』によって急激に体力を失われていく・・・。
「答えろ! アークシュタイン!」
「・・・。次期魔王になるものは、愛する者を殺さなければならない。そう、仕向けたのだ・・・。お前にユピ・ロゼリアの命を奪わせるためにな」
「・・・!? な、何を言っている・・・」
アークシュタインの身体から紫色の煙があがっている。
「貴様のカズサ村の記憶。それは前世のものだ・・・。貴様が愛した幼馴染・・・それはユピ・ロゼリア・・・本人だ」
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