第39話 VSエクスレイア
「みてカエデ! ロンダリアが見えてきた!」
始祖鳥に乗ったフェンとカエデは雲の下を飛んでいた。東側の工場地域から火の手があがっている。
「こ、攻撃が始まってるね・・・。急がなきゃ。始祖鳥様お願いします!」
始祖鳥は大きく羽ばたき速度をあげた。風を切る音が大きくなっていく。そしてロンダリア軍と魔王軍の攻防がはっきりと見える位置まで近づくと降下を始めた。
「カエデ。どこに降ろしてもらう?」
「東の戦場が荒れてるみたいだね。西の市街地は・・・。・・・!? 大勢の人たちが集まってるけど戦火があがってない。魔王軍は市街地の回りで待機してるだけだ・・・」
フェンとカエデは何かに気づいたように互いに顔を見合わせ、声をそろえて言った。
「『海の秘宝』!!」
「カムサムが市民を守ってるんだ! フェン。カムサムと合流しよう」
「うん、そうね。始祖鳥様。西の市街地に降ろし・・・!? ちょっと待ってカエデ!」
カエデがフェンに向き直る。
「あそこ・・・。あの六芒星の光・・・。あれは多分カムサムの結界魔法!」
カエデは目を凝らした。よく見えないがぼんやり光が見える。
「始祖鳥様。ロンダリア城の正門前に降ろしてください!」
カムサムが結界を張って1時間が経過した・・・。ユピとエクスレイアの決着はまだついていない。ロンダリア城のあちこちで爆発が起こり、いたる箇所が崩れていた。
「ハア・・・ハア・・・。・・・! お、思ったより早かったね・・・お二人様」
カムサムがゆっくりと後ろを振り返る。
「カムサム! お待たせ!」
フェンが大声で言った。カエデが後ろから走ってくる。
「カエデ君・・・。成果は?」
カエデは大きくうなずいた。
「バッチリだよ。カムサム!」
フェンとカエデが結界の中に目線をやった。
「エキドナと・・・ゲエーロ・・・」
「さてお二人さん。君たちの因縁の相手が二体。2対2でやるなら二人でこの結界の中に入ってくれ。時間凍結を解く。タイマンでやるならもう一つ結界を張る。どうする?」
フェンとカエデは互いに向き合った。二人とも大きくうなずき声を合わせた。
「タイマンでお願い。カムサム!」
カムサムは笑みをこぼした。
「了解・・・。二人とも・・・息ピッタリだね」
そう言うと、カムサムは印を結びふたたび結界魔法の呪文を唱えた。
― ロンダリア城 王の間
ポタ・・・ポタ・・・
エクスレイアの右手から血が滴っている・・・。
「ハア・・・ハア・・・。何という強さだ・・・ユピ。人間とは思えん・・・」
ユピは右肩を抑えながら痛みに耐えて軽く笑みをこぼした。
「フッ・・・。貴様も変わらんだろう。素晴らしい剣技だ。天叢雲剣は主人を選ぶ」
エクスレイアが笑みをこぼす。
「何故だ・・・。何故、貴様ほどの男が魔王軍に肩入れする?」
ユピの問いかけにエクスレイアはゆっくりと答えた。声が僅かに震えている。
「ハア・・・ハア・・・カズサ村・・。お、俺の生まれた村だ・・・」
ユピは構えを解いた。エクスレイアが息を整える。
「ギルディアとロンダリアに挟まれた辺境の小さな島にカズサ村はあった・・・」
「・・・あった・・・だと?」
「三年前のことだ。突然ロンダリア軍に村を襲われたんだ・・・。村人は全滅。俺の両親も幼馴染も・・・皆、殺されたよ。あいつの命令でな・・・ハア・・・ハア・・・」
エクスレイアはロンダリア国王に目線を移した。国王はうつむいたままだ。
「理由は何だ?」
「・・・お、俺が聞きたい・・・。結局、あいつは「何も知らん」の一点張り。俺はロンダリアを・・・決して許すことが出来ない」
ユピが目を閉じる。
「・・・だからといって民に罪は無い。貴様は間違っている」
「・・・・・・。ハア・・・ハア・・・グ、ゴボァァ」
エクスレイアが吐血した。そして天叢雲剣がカランと音を立てて床に転がった。剣はすでに輝きを失っている。
「・・・そう・・・かもな・・・」
ユピは黙っている。
「お前に・・・負けるなら本望だ・・・だ、だが頼みがある・・・。こ、これを・・・」
エクスレイアは胸からペンダントを取り出してユピに掲げた。
「俺の・・・幼馴染だ・・・。これをフォーゼ川に・・・流してやってくれ・・・た、頼む!」
ユピがロケットを開くと中には美しい女性の写真。
その笑顔の女性は・・・まるでユピ本人のように瓜二つだった。
(・・・・・・・)
ユピが静かにロケットを閉じ、エクスレイアの手の中に戻す。
「・・・これはまだ貴様が持っておけ・・・。罪は・・・償えるんだ」
エクスレイアは微かに笑みをこぼすと、そのままゆっくり目を閉じた・・・。
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