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みつき、また絡まれる

少し書き直しました。


 王都が夕日染まる頃に、冒険者ギルドに戻って来た僕達は、明日、受けるクエストを選ぶために受付に向かった。

 僕達が冒険者達が並んでいる受付に並んでいると、少し離れた受付でリリアンさんが僕達を呼んでいる。

「みつきちゃん、勇者はこっちの受付を使って」

 どうやら混乱を避けるために、勇者専用の受付があるみたいだ。これはどこの国に行っても同じらしい。

 僕達は道具袋の為に仕事をしたいと、リリアンさんにクエストを受けるためにはどうすればいいのかを聞く事にした。

「みつきちゃん。無事薬草は買えた?」

「はい。僕の村にも来ていたゲンさんのお店で買わせて貰いました。そこの娘さんに、後払いで、道具袋まで買わせてもらえました」

「ゲンさんのお店? まさか、いつきちゃんのお店?」

「あ、はい。知ってるんですか?」

「いつきちゃんはある意味、有名だもの。絶対値引きしてくれない商人だって。そんないつきちゃんが、後払いで道具袋を渡してくれるなんてね。気に入られたみたいね」

 そうだったのか。そんな素振りは見せてなかったとは思うけど、気に入られたんなら嬉しい。これからも活用させてもらおう。

「で? ギルドの受付に用があったんじゃないの?」

 リリアンさんに言われて当初の目的を思い出した。

「リリアンさん、適当にお金が稼げるクエストってありませんか? 道具袋のお金を稼ぎたいんです」

「稼げる? うーん。みつきちゃんの場合、お金よりもまずはどこまで戦えるかを確認するために、簡単なクエストを受けることをおすすめするわ」

 そう言われて僕は納得するとともに、少し考える。

 小銭を稼ぎながら、のんびり生きるのもいいかもしれない。

 簡単なクエストなら命に危険はないだろう。それに、村周辺の魔物なら倒せるけど、王都周辺の魔物はどんなのがいるか、わからないものね。もしかしたらより凶暴な魔物がいるかもしれないし。

 それに、リリアンさんの話だと、ゆーちゃんが、なにをすると言っていたから、それにも警戒しないといけないし。

「わかりました。魔物討伐系で、なにか簡単なクエストってありますか?」

 僕がそう言うと、リリアンさんは2枚の依頼書を僕に渡してくれた。

 依頼書にはゴブリン討伐とケダマ討伐の2種類があった。

 この二種類か……ゴブリンは有名な魔物だし、()()()にもゴブリンはいた。だけどケダマは聞いたことがない。魔大陸にはいなかった魔物なのかな?

「みつきちゃんなら、もっと大物でも大丈夫だとは思うけど、初めてのクエストなら、ケダマ退治をおすすめするわ」

 リリアンさんの話では、ケダマはこの周辺どころか、世界的に見ても最弱の魔物だそうだ。最弱とはいえ、一般人には脅威であることには変わりがない。リリアンさんは、もっと大物を狙えると言ってるけど、それは買いかぶりだよね。そう言うと笑われた。

「みつきちゃんは、自分の評価が低いのね。オリハルコンランクって本当にいないのよ、ギルドに登録してるのは10人程いるけど、最初っからオリハルコンなんて人は私は見たことがないわ」

 他のオリハルコンが強いからと言って、僕が強いとは限らないんだけど?

「因みに、ゆづきちゃんは仕事はしないけどオリハルコンよ」

 うん、なにか面白いことが聞こえてきたんだけど、ゆーちゃんがオリハルコン!?

 驚いてゆーちゃんの方を見ると、出会ったときに寝ていたソファーで寝ようとしていた。

「ゆーちゃん!! 今日からは僕達専用の部屋で寝るんだよ!!」

「んー、眠い」

 な、なんて自由な子なんだ。呆れて、ゆーちゃんを見ていたら、リリアンさんがなにか服を持って来た。

「みつきちゃんも今日はもう休んだら? 今日はいろいろあったでしょ? はい寝巻」

 部屋については数ヵ月は僕達専用の部屋として用意してくれるらしい。数カ月の期間が終わったら、僕達が拠点を作らなきゃいけなくなる。まぁ、どうにでもなるだろう……。

 それに、朝から何の準備もなしに王都に飛ばされて、リリアンさんに出会って、ゆーちゃんと仲間になって、ゲンさんのお店でいつきさんに出会って、本当にいろいろあった。うん。疲れているね。よし、寝よう。


 リリアンさんが宿泊施設の部屋へと連れていってくれた。

「ここがみつきちゃん達パーティー専用の部屋よ。食事は豪華じゃないけど、見習い勇者には出ることになってるから安心して、シャワーもあるから今日の疲れをゆっくりとってね」

「ありがとうございます」

「じゃあ、私はまだ仕事があるからね」

 そう言うと、リリアンさんは仕事に戻っていった。


 部屋は、シンプルだけど大きめの4人部屋だ。明日はちゃんとゆーちゃんも連れてこないと。

 この部屋に一人は正直寂しい。

 僕は寝巻に着替えて、部屋でのんびりしていると、女の人が食事を持ってきてくれた。

 食事をとり、シャワーを浴びたあと、疲れていたのかすぐに眠りにつけた。


「んっ……」

 窓から入る朝日で目が覚めた。今日は初クエストだ。

 僕は昨日買った服に着替えて、剣を腰に差しギルドのロビーに向かった。


 今日は賑わっているな。いろんな冒険者がクエストを受けようと受付に並んでいる。ゆーちゃんはまだソファーですやすや寝ていた。

 僕がゆーちゃんを起こしにいこうと歩き出すと、昨日の弱い3人組がまた絡んできた。

「てめぇのせいで、ランクが降格したじゃねーか!?」

 剣士が僕に向かって吠える。こいつがリーダーなのかな?

「はぁ……。あんた達が僕に絡むからでしょ。そういうのを自業自得って言うんだよ? 意味わかる? バカだからわからない?」

 優しく教えてやったってのに、剣士は気に入らなかったのか、剣を抜いた!? アホか? こんなところで抜いたら、仕方ないか……。


 僕は静かに自分の剣を手にして、間合いに入った瞬間、剣士の剣を叩き落とし、そのまま剣を喉元に突きつけてやった。 

「う……あ……」

「あのさぁ、僕が剣を使えないと思った?まぁそれは良いけど、自分が弱いのを棚に上げて、不安がってる勇者虐めてようとして、返り討ちにあったからって、いちいち絡むのやめてくれない? 次は冒険者続けられなくするよ?」

 僕が剣士を脅していると、慌てたようにリリアンさんが走ってきた。

「あんた達!! また、みつきちゃんに絡んで!! 今度問題を起こしたら冒険者登録を剥奪も考えるって言ってたわよね!!」


 3人組はリリアンさんの言葉で、逃げるように出ていってしまった。

「みつきちゃん、ごめんね」

「たいしたことじゃないよ。あんなアホの事より、ケダマ退治なんだけど何匹くらい狩ればいいの?」

「依頼書には5匹って書いてあるわね。魔物を倒したら、その死体にこの浄化の灰をかけて燃やして、その燃え後に魔石と素材が残るからそれを持ち帰って」

 

 浄化の灰とやらをリリアンさんから受け取ったあと、まだ寝ているゆーちゃんを起こしてケダマがいるという森に向かった。


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