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アロン王国英雄

 遺跡での傷も言えた俺達は、陛下に会うために王城にいた。

「バトス、後遺症もなくてよかったじゃないか。これからも頼むぜ」

「あ、あぁ」

「ん?どうした?」

 俺は悩んでいた。黒姫のような強力な勇者が現れた以上、俺のようなロートルはいらないんじゃないかと。勇者黒姫。すでに覚醒を済ませ限界を迎えた俺達と違い、あいつらはいまだに発展途上の強さだ。


「陛下。もう、俺達は力の限界を感じた。だから、もう引退しようと思っているんだ」

 俺の言葉に陛下が怒っているような気がする。

「確かに黒姫は、お前とは違う。だがな、お前は長年この国のためによくやってきてくれた、別に黒姫のほうが強いからと言って、お前達が必要なくなったという事ではないと思うぞ」

 陛下はこう言ってくれているが、あの遺跡の魔物が王都を攻めて来たら、俺達やギルドのやつらでは守ることは出来ない。人魔王ティタンが本気になれば、俺達は……


「陛下。三日ぶりです」

 !!?

 黒姫一行の聖女いつき!!

 なぜここにいる?黒姫一行は魔大陸に向かっている筈だ!!?

 というより、いつの間にこの部屋に!?

 陛下は聖女を見て、深くため息を吐いた。

「まだ出発していなかったのか?できれば早く、出発してほしいのだが…」

 陛下は、無理を言っているのを分かっているので、キツくは言ってないなかったが、王命である以上、迅速に行動しなくてはいけないと思うのだが。

「聖女いつき。今回の事は、ティタンとの攻防に影響のある王命だ。助けてもらった恩は「そんなことはいいんですよ」あ、え?」

 聖女は俺の言葉を遮った。

「陛下。バトスさん一行をお借りしたいのですが」

「なに?」

「バトスさんには失礼な話ですが、今のバトスさんでは、フォズが作り出した魔物の相手はかなり苦戦するようです。あの遺跡の上層では、ガーゴイルやキメラもいました。今のままでは、私達がティタン討伐に出ている時に、王都を攻められればどうしようもなくなってしまう」

「貴女!!バトス様になんてことを!!」

 ルルが怒ってくれているが、事実だ。

 全く、ハッキリ言ってくれる。だがな、俺達はこれ以上強くなることはない。悔しいがな。

「だから、バトスさん一行に今以上の英雄になってもらうために、私と一緒に魔大陸に向かってもらいます。そこで、私達が魔王城を訪問している間の一月ほどで、限界まで強くなっていただきます」

 何を言っている?

 俺達を強くする?

 覚醒を済ませた俺達が?

 馬鹿にしているのか?

「ふざけるな!!俺た「ふざけていませんよ?」」

 聖女は真剣な顔つきで言った。

「アロン王国にとっての英雄はバトスさんなんです。私たち黒姫一行じゃないんですよ?国民は、バトスさんの長年の活躍を見てきました。私も王都に住むものとしてバトスさんは特別なんです。だから、バトスさんが強くなくてはだめなのです。同じことが、バトスさんの仲間の方にも言えます。あなた達がギルドの皆さんを導かなければいけません」

 俺は聖女の言葉に嬉しくもなるが、同時に疑問もあった。

「お前達じゃダメなのか?」

 そう聞き返すと、聖女は半笑いになり、頬を軽くかきはじめた。

「私達に出来ると思いますか?いまいち自分の行動に自信の持てない勇者、我が儘なガキ、戦闘狂、守銭奴、自分で言っていても悲しくなるほど、私達では人を導けないでしょう?」

 こいつ、自分達パーティをそこまで卑下せんでも…


「一つ聞きたい、バトス達はお前達と魔大陸に向かうのか?そうなった場合、王都の守護はどうする?俺は国王だ。バトスの守護があるから、お前達に魔大陸に行ってくれと依頼したんだ。それを、バトスを連れて行くとなると、俺も流石に許可を出すことは出来ない」

 聖女は、表情を替えずに陛下の顔をじっと見ていた。

「まず、王都の守護についてですが、ハインという名の女性が王都に滞在しています。その方が、王都を守護してくれるそうです」

 ハイン?誰だ?

「みつきさんが言うには、ヴァイス魔王軍でも5本の指に入るほどの強さを持った人だそうです。みつきさんに剣技を教えた人とも言ってました」

 魔王軍!?魔大陸にも魔王軍がいるのか!?

「ハインさんのおかげで、私達はすでに魔大陸に到着しています。私達と入れ替わりで王都に滞在してくれているそうです」

 陛下は少し考えているようだった。

「いつき。バトスたちは本当に今よりも強くなれるのか?俺にとってバトスは本当の英雄だ。正直、バトスが弱気になっているところを見たくない」

「強くなるかどうかは、本人次第だとあの人は言っていました」

 あの人?誰だ?

「お前の言う、あの人というのは強いのか?」

「強くて、ご年配の人ですよ」

「そうか……バトス行ってこい。お前にはまだまだ英雄として頑張ってもらいたい」

 陛下はそう言って、俺達に笑いかけた。

 陛下がそこまで言ってくれているのだ、もう少し頑張ってみるか。


 俺はさっきから気になっていたものをチラッと見た。

 俺の視線に気づいたいつきは、笑顔で「あぁ、ついでにこの人も鍛えて貰おうかと」と悪気もなく言っていた。

 俺の視線の先には、泡を吹いて転がっている勇者クレイザーがいた。

 何があったんだ?


 いつきの転移魔法で、俺達は魔大陸に来た。

 眩しい光の後、目を開けるとそこには、一人の老人が立っていた。

「いつきちゃん、そやつらか?」

「はい。女性の方は、私と一緒に魔法具屋さんへ向かいます。あとの三人は好きにしていいですよ」

 いつきはそう言うと、はるとルルを連れて再び転移魔法で移動した。


「鍛えがいのありそうな三人じゃ」

 老人の顔が、実にいい笑顔になる。それと同時に、凄まじい魔力を感じる。

「まずはテストじゃ。ほれ、こっちじゃ付いてこい」

 俺達は、老人について行くことにした。


 俺達は、村の外に連れてこられた。

 魔大陸の空気は特殊だ。重く感じる。

 あれはゴブリンか?魔大陸にもゴブリンがいるのか。

「あそこにゴブリンがおるじゃろう?倒せるかのぉ?」

 馬鹿にしているのか?ゴブリンだぞ?

 よしおは怒りで震えている。クレイザーも余裕だという顔をしているが、俺は嫌な予感がした。

 このじいさんは、テストだと言っていた。考えろ。

 黒姫は、ここで育った。結果があの強さだ…まさか!?

「よしお!!クレイザー!!油断するな!!ここは魔大陸だ!!あのゴブリンは普通なはずがない!!」


 じいさんの口角が吊り上がった。正解か!!

 ゴブリンは俺達に気付くと、恐ろしいスピードで俺達に迫ってきた。

 冗談だろう!?上位の魔物レベルの速さじゃないか!?

「クレイザー避けろ!!」

 クレイザーは、ゴブリンの動きについていけてない。いや、よしおですらついていけていない!?

 俺は聖剣ティールを取り出した。

 ゴブリンに斬りかかる。

 俺の方に注意をそらせたか!?

 ゴブリンは俺の方に向かってきた。

 

 ………………

 何とかゴブリンに勝利した、俺は自分の弱さを知った。今の俺は弱すぎる。

「そうでもないぞ、あの反応は立派なものじゃ。お主だけは油断もなかった。他の二人は、ゴブリン程度と思っておったから、反応できんかったようじゃ」

 よしおとクレイザーは悔しそうにしている。

「さて、今からが本番じゃ。わしと遊ぼおうかのぉ……………」


「今日はここまでじゃー」

「お、終わった」

 特訓という地獄の後、俺達はじいさんの家に泊まることになった。


 はるとルルも爺さんの家に泊めてもらうために帰ってきたようだ。

「バトス、えらく男前な顔になっておるのぉ」

「うるせぇよ」

 

 はるたちは、魔法職の間でも、有名な人物と会っていたそうだ。魔法具や魔法の効率よい使い方などを、教えてもらっていたそうだ。俺達とは全然違うな。こっちは地獄だぞ。


 暫くすると、ボロボロの黒姫達が帰ってきたことに俺達は驚いた。



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