表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星粒のリテラエ ——異世界転移した文化人類学者、理系王女と最適解王子の“誤差”を観測する  作者: はなちゃん
第一章 虹の王女ナナリエ 〜ふたつのソラの下で見つけた、私の座標〜
7/38

第7話 これぞ、命の洗濯

 二つの太陽。


 歓声をあげて走り回る子供達。


 小川の流れ。


 揺れる草花。


 畑を耕す人々。


 古い工房で溶接をする人。


 夕暮れは少し緑色。


 白い石のテーブル。


 険しい雪山。


 珊瑚の海。


 祈る人々。


 勇ましい雄叫び。


 そして、空を走る車。



「え?車、空を走っちゃうの?」


 自分の声で目が覚めた。



 今度は柔らかいところに寝ているようだ。

 視界も良好、手足もよく動く。


 でも、この腐ったチーズのような悪臭は相変わらずだ。


「コモソベ?」


 疑問形の発音で誰かに話しかけられた。


 シンプルな白い服を着ている。

 ひらひらがなくて動きやすそう。

 髪もしっかり括ってある。

 きびきびと私の身の回りに何かの機械を配置していた。


 私の直感が、看護士さんだと告げていた。


 喉の渇きはもう満たされているようだった。


 だから私は安心感を覚えた。


 しかるべき公的機関に繋がることができたのだと理解したのだ。


 機械で何かを計測し終わったのか、看護士さんは大きく頷いて機械を片付け始めた。


 ここでも頷くのは肯定のサインなのかもしれない。


「すみません」


 部屋を出ていく前に、私は看護士さんを引き留めた。


 喉の渇きが満たされた今、欲求は一つだけだ。


「お風呂に入りたいんです」


 看護士さんは清潔な身なりをしていて、花のようないい匂いもする。

 つまり、不潔であることが、ここの日常ではないはずだ。

 お風呂がどこかにあるはず。


「からだ、くさい」


 私は思いつく限りの方法で伝えた。


 看護士さんは憐れむような表情で二度頷いた。


 ベットから下りて着いてくるよう促され、

 そして小さな部屋の中にある更に小さな部屋の前で服を脱ぐように言われた。


「シャワー室かな?」


 私はいそいそと服を脱いでその部屋に入った。


 扉が閉められる。


 シャワーは見当たらなかった。


「これってどうやって……」


 扉に向かって大声を張り上げた時、


 ぷしゅーっと音がして、勢いよく部屋中に白い水蒸気のようなものが流れ込んできた。


 またまた視界を奪われて私は混乱に陥ったが、視界以外は良好だった。


 水分に満たされていても息ができるし、身体の隅々まで心地よく洗われていく感じがする。


 これが人間洗濯機というやつか。


 まさか頭部まで同時に洗うとは。


 水蒸気が消えると、今度は真上から空気砲のような乾いた風が落ちてきて、

 私はすっかり風呂上がりの身体になった。


 扉が開くと白い病院着のようなガウンが用意されていて、私は悩むことなくそれを着た。


 心も体も洗濯されて浮かれ気分で先程の部屋に戻ると、


 あの、虹色の瞳が待ち構えていた。


 目が危険な輝きを放っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ