story6
「嬢ちゃんどこ行くんだ?」
「ブライアンさん。あの、五大自然神を見かけませんでしたか?」
五大自然神の部屋が並ぶ棟に向う途中、ブライアンさんに会った。
太陽神の獣神ブライアンさん。金髪で、獅子の耳と尻尾を持つ、頼れるお兄さん的存在だ。
「五大自然神全員はわからないが、風の神を探せば一発だと思うぜ?多分温室か庭にいるだろうよ」
太陽神のレオナルド様は城の警備もしているので、その関係でブライアンさんには情報が集まる。城の中でわからないことがあればブライアンさんに聞けば大抵わかるだろうと皆言うほどだ。
「ありがとうございます」
お礼をしてまず温室に向うと、そよ風が吹いていた。当たりだ。さすがブライアンさん。
奥に進んでいくと、噴水に腰掛けて本を読む風の神、ウィルディ様の姿があった。
「王の獣神か。何用だ?」
ウィルディ様は本から目を逸らさずに聞いた。
「アラン様が書類を手伝って欲しいと。それと恐れながら五大自然神全員の居場所を教えていただきたく…」
「…月の神が仕事を溜め込むとは思えん。王だな?」
「…お恥ずかしながら」
そう言うと、ふっと笑う声が聞こえてポンッと頭を撫でられた。
「他の奴のところには月の獣神が行っている。お前はそのまま王の下へ帰れ。随分と不な空気が流れている」
「ですが…」
アラン様にまだお許しを得ていない。
「いい、お前の主神は王だ。真面目なのはいいが、主神を放っておくことはあまり良きこととは思えんな。私が変わりに月の神に言っておこう」
「…ありがとうございます」
礼をして主君の下へと向う。
今回の事でまだ本格的に叱っていない。主君ではあるが、叱らないと主君のためにならない。
「只今戻りましっ…!」
いきなり目の前が真っ暗になって、誰かに抱きしめられている感触。
「…遅い」
耳元に凄く機嫌が悪いときの声音で囁かれる。
臆せずに主君に反論する。
「アルバート様が溜めていらっしゃった書類の処理は大変多く、アラン様お一人では処理が困難とのことでしたので」
「…」
「っアルバート様」
抱き上げられて非難の声を上げるも空しく、そのままソファーへ連行される。
向き合う形で膝の上に乗せられているため顔が近い。
「あの量を休み無く終わらせた」
「アルバート様が溜めていた仕事でしょう」
「あぁ、ちゃんと終わらせた」
近い!離れてください。ていうか離して下さい。
「褒美は?」
「っだから…」
反論するまえに主君の顔が私の首筋に埋まった。
あぁ、もう何も言うまい。
太陽神の獣神
ブライアン
ライオンを思わせる耳と尻尾を持つ。
アイリーンを嬢ちゃんと呼ぶ。
色々教えてくれるお兄さんみたいな人。
風の神 眷属:月
五大自然神の一人。
銀色の髪で、腰まである長髪。
常に風を纏っている。
温室と庭が好き。
筆者:登場人物紹介書くの忘れてましたw