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後輩にライダーにされた俺は異世界に召喚されて熱中症になりそうです。  作者: ふうらいぼう


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ダンテ王子と残骸の王子様ー惨い宴ー

アンナ嬢が引きつれた魔神。確かテツヲとか名乗ったか。散々に騎士団を張り倒してくれたあのタンクトップのおっさんが師匠と聞いて、あれと戦わないで済む可能性を考え、少しホッとしたのもつかの間。現在、ライヘンバッハの塔はあっという間に火の海であり......やっぱり、おじさんの仲間繋がりかとも思ったが。


キースからの連絡によれば、テツヲの言っていた通りあの爆発は本当にウッカリだったようだ。煽られた恨みもあり、歯ぎしりしたが、今自分達がしなければならない事は、おじさんに拉致されているシャロンと、愚弟のアロンと貴族たちの救出と、頂上付近にいるおじさんの殲滅だ。



その内、自分や戦闘力が強い面子はとにかくおじさん討伐だ。おじさんの言動を信じるならば、シャロンは必ずおじさんの側にいる。今後の国家運営を考えた場合、冷たいと思われるかもしれないが、シャロン救出はアロンよりも優先される。肉親の情は当然ある。だが、それを押し殺す事も……自分にはさほど難しくはない。


塔の罠は今までの攻略のデーター&テツヲの提供してくれた資料により、恐ろしく効率的に進んでいた。4人がかりでシルバードラゴンを追い詰め、ここ一番の段取で自分は腹にロングソードを突き刺し、体内に一気に雷を解き放ち爆裂させる。


これで一気にドラゴンは体液を噴出させながら、崩れ落ちた。リザードマンにハイパーナイト。中には、元からリンディア王国に発生する魔王怪異に酷似したものもいたので、罠さえ無ければ、差ほど戦う事に苦労はない。



ふと曲がり角を曲がると、今度は刀身を黒く塗ったサーベルを携帯した……これはGGM団......ゴルゴムの構成員と思われる剣士が出現した。こっちは鎧を着ているといってもそして、相手は単なる着物姿であるといっても、決して油断はできない。彼らとの抗争で判明したことだが、迂闊に刀身と刀身を克ち合わせたりすると、その瞬間訳の分からないビームエフェクトが発生し、四方八方から切り刻まれるなどの現象が報告されていたからだ。


魔術を使った剣術の場合は、刀身にエネルギーを纏わせ、必要に応じて爆発させるというのが基本の型だが、その応用型という事で理解しておけば問題が無いが初見だった場合は中々に危ない。


しばらくにらみ合いが続く。そして剣士は......



「門閥貴族死すべし!」



すさまじい勢いで踏み込んで、突きを放ってきた。突きには謎のトルネードが付与されていた。とっさに身をかわすと、剣士の剣は近くの壁に巨大な大穴を穿つ。風の魔術の風刃に酷似した技だと思った。しかし、魔術剣と根本が変わらないと知ったなら、そんなに恐れる必要はない。自分は太陽構え(=上段構え)から、相手の股の間に足を踏み落とすくらいのつもりで足を落とし、同時にロングソードも振り下ろした。


直後、ドズっと惨い音が響く。剣はみぞおちまで食い込んだので、後は体内で雷を炸裂させて息の根を止めた。戦いは出来るだけシンプルな方が良い。自分達騎士団の剣術は太陽と弓構え(=突きの構え)と、盾構え(=中段のバリエーションあり)と野草構え(=下段の誘い)で構成される。


後はこれに各々の得意とする魔術によるアレンジが加わり、多敵の策などが入る。そして、この習得の果て、最も開眼すべきなのは自分は、「敵の股の間ギリギリに足を踏み落とせるか否か」だけであると考える。


どんな敵と相対してもそうだが、混乱乱撃の際に細かいコツの事等思い出そうとしても無理だ。やれるとしたら、「敵の股の間まで踏み込めるかどうか」がパッと見で見切れるか否かだと思う。ここまで踏み込めれば、どんな獲物だろうが骨まで抉りこめて絶息を狙える。


無論、相手とて木偶ではない以上、こっちとて乱撃中に傷は負うだろう。場合によったら指の1つか2つは飛ぶかもしれないし、耳等も落ちるかもしれない。だが、戦う以上はそれは覚悟して飲み込む以外に道はなく、後は鎧や防具を信じるのが最も堅実だ。


この踏み込める景色が見える相手とは、普通に剣撃をすれば良いし見えない相手とは最初から戦わないか、遠距離戦で決着をつけるのが賢明というもの。今回もその作業の一端に過ぎないが......さて、自分は後、どのくらい、股の間に足を踏み入れる度胸があるだろうか?


もしくは......おじさんとやらは、こっちにそれをしてくるだけの脅威なのだろうか。少なくともさっきのタンクトップに関しては、恐ろしくヒット&ウェイが上手い。正面決戦に持ち込んで確実を期さない限りは倒せないだろうが......。


良そう。今はアイツよりも先行したアンナ嬢達に追いつかなければ。そんな事を考えていると、向こうから戦闘の汚れだらけになった部下が1人走ってきた。


「ダンテ王子! こちらでしたか! こっちに! 恐らくは拉致されていたと思われる貴族達です! 見つけました……!」


「……おそらくは......? という事は無事......ではないのだな......?」


嫌な予感がした。フォレスト領の者達が今では急先鋒だが、自分達も魔王怪異との交戦経験は半端な数を行ってはいない。この言い方から察するに......「原型を留めていない」のだろうと、何となく思った。ああ、探知魔術があって本当に助かる。


本人の残滓がハッキリ読み込める以上、誤認であるとかそういう心配はまずないからだ。どんな姿に成り下がっているだろうか。動物との混合か、それとも男女融合の得体の知れない怪物か......? 心の何処から悲鳴を上げるが、飲み込みつつ、部下の案内で現場に向かうと、そこには奇妙な物が転がっていた。


恐らくは牢屋なのだろう。意外にひどい扱いは受けていなかったらしく、そこそこ生活感の様なものも残ってはいた。ただ、本当に奇妙だったのは石くれ......いや、金属だった……が一定の大きさの物のそれが、ランダムに雑に散らばっていた事である。


拍子抜けしてしまう。これは......あの『手からビーム出しちゃうおじさん』とは違う何かを感じる。というか、これは一体......?


ふと、視線を下に向けると、そこには……「きぞくからきんぞくへ☆」という、ふざけた看板が1枚。という事は......まさか、これは......。


隣の魔術に卓越した探知係に目をやると、半分恐慌した様な、けれど義務だけは忘れてはいない騎士の顔で、うめくように告げた。


「拉致されたと思われる者の全員の反応確認しました。何よりも……あ、あの、裏です……! 石の裏を......うぇぇぇいおおお」


騎士はそのまま嘔吐してしまう。他の此処から、自分を呼びに来た連中も、恐らくここを知っていたであろう面子も真っ青な顔をしていた。中には「見ない方が…」という者もいた。ああ、出来れば見たくはない。しかし、自分は責任者なのだ。逃げるわけにはいかなかった。


だから......金属を逆さにして裏にしてみて、死ぬほど後悔した。


―『恍惚に悶え理性と意識を違う何かに変質させた、人間のなれの果ての顔が金属の裏から生えていた』ー


かすかに唇を動かしたり、時々「ひゃへ、うぎゅ、ひゃや」と声を上げ、目や鼻からは金を体液代わりに噴出させていた。ああ、これは......これは、ダメだ。もうダメなものだ。自分はそっと金属を地面に置くと部下に命じた。


「記録だけ取れ。魔王怪異により犠牲になった事を魔術的な方法で記録しろ。必要に応じて照会があった時に出せるように。終わった後は然るべく破壊する。迅速にだ」


「……せ、せめて家族に......」


「これはもう違うものだ。家族にこれを見せるのか? それは国を色々マズイ方向へ引っ張った者だ。場合によったら斬首刑にもなっただろう。その首を返すまでだったら構わん。ただ......これはダメだ。生きていても、もう本人ではない。


これは破壊する。それ以外も以下も無い。これを配った先で新たな災害が発生するぞ。みんなこれになって良いというなら、それもまた1つかもしれんがね。ただ、自分は王族なのだ。王族である以上、これは抹消すべきと決めた」


「シャロン様とアロン様は......この中には……」


「少なくとも、2人はいなかった。だが、全ては分からん。ただ、何か......何か邪悪な物がこの塔の中にいるのは間違いない。アンナ嬢達へ連絡は? 最上階への突入は自分達なり、件のタンクトップガンマンが到着するまで待った方が良い」


シャロンの安全も気になったが、あまりに不穏すぎる材料が多すぎる以上、戦力を分散したままで事に当たるのは愚策に思える。ついさっき、この塔の中で死んだ者が外へ放り出される機能の停止も確認された。嫌な予感がした。それこそ王族で無ければ逃げたくなるようなそんな予感だ。


しかし……伝令員は沈痛そうな顔で頭を振った。


「繋がりません。頂上付近は何かが混線してしまってサッパリなんです」


自分はしばらく考えたが、意を決す。連絡が出来ないのであれば少しでも早く追いつくだけ。最大戦力でおじさん&何かと相対し、シャロンと......そして叶うならばアロンを救いださなければ。身も蓋も無く逃げなければならない時に、更なる進攻の指示を出さなければいけないのは本当につらかった。


そして更なる進攻が進み、1階1階を地獄の様な気分で進み、何とどう戦っているのかも分からなくなったそんな時......上の階からすさまじい轟音が響いた。これは、アンナ嬢達に追いつけたのかもしれない。自分は、騎士たちにいつでも保護に動けるように声を掛けつつ、一気にそこへ踏み込んで......ああ、ここで、ここでも、今回の任務を自分が受けた事を心の底から後悔した。


そこには母の腹を模した球体を胸に抱いた......天使の出来損ないの巨大な人形が浮いていたのだ。体内に浮かぶ骸骨の衣装で即分かった。ああ、アロン。お前は......結局......そこが……棺桶か。


肉親の情など切り捨てられると思っていたが、これは......むごすぎた。いつのまにか小さく出ていた涙を軽くはじく。そのすぐ近くには、散々こっちを手こずらせてくれたあのガンマンタンクトップもいる。


「直接ぶつけようようとすると、手が邪魔をする。手は消せるが数が多い。仏にぶつけてみたが......外からでは、ぶっ壊せない……。ついでに時々出てくる子供の顔はピラニアチックに発射されてくる。ああ、ちくしょう......なんてムリゲーだ」


ガンマンは、こっちに気が付くと、一瞬気まずそうな顔をするもすぐに気を取り直したように、こっちに叫んできた。


「物理攻撃は効かねえ! 何処やっても全部同じだった。魔術の方はそこそこ効くが、本体を破壊するには破壊力が足りない! あと、口から妙な手が山と出てくるが、あれに触れると存在そのものが飴玉みたくグシャグシャにされる......! って事で、いっちょ始末に手を貸してくれねえか!?」


なんという男。戦いながらずっと検証を続けていたらしい。だが、それならそれで話が早い。騎士たちに指示を出しつつ、自分も即座に頷いて剣を抜いて飛び降りた。ガンマンが使っていたらしい火炎術入りの呪筒の新しいものと、風の魔術入りのナイフを渡しつつ......


「筒は炎。ナイフは大風が出る。刃先に気を付けろ」


......と告げると、彼は「おお」と即座に理解した。これは随分戦い慣れた男らしい。そんな彼に......


「身内の不始末だ。手間をかける」


......と言うと、ガンマンは傷ましい顔をした後......


「ご愁傷様」


......とだけ告げてきた。戦意が消えた様子はない。妙なところで情が無いなら、これは戦う際に手が止まる様な事は無いだろう。戦地周りに逃げたツケが怪物になった身内の処断とは......。報いを受けるにしても、もう少し違う物が良かったものだと神を呪う。


シャロン......お前は無事か? そしてアンナ嬢。テツヲ魔神は殺しても死なない感があるからあれだが、君に関しては、無理だけはするな。いざとなったらフォレスト領へ必ず逃げろ。王族としては思ってはいけない事だが、自分はそんな事を考えて......そして戦いが始まった。

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