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轟き照らすは金の龍  作者: 火蛍
リバース・アルケミスト
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アルムを知りたい

 その夜、レンから情報を持ち寄ったアルジェはそれを基にしてアルムから情報を得ようと試みた。

 一度は半壊させられた足はすでに自力での歩行が問題なくできる程度まで回復していた。


 「アルム、貴方のマスターであるオルフェウスにゆかりのある人物を覚えてる?」

 

 「マスターの関係者かー。 もちろん覚えてるよ」


 アルムは自身のマスターことオルフェウスに関する記憶をしっかりと保持していた。

 オルフェウス自身のことも、その周囲を取り巻く人物たちのことも、当時のことは鮮明に覚えている。

 アルジェは期待通りと言わんばかりの反応を示すがそれ以上の反応を示したのがカグヤであった。


 「あーしもいつかはアルムのこととか、錬金術のこととかちゃんと聞こうと思ってたんだよね。 アルムのパートナーなのにパートナーのこといまだにちゃんとわかってないし」


 カグヤはアルムと正面から向き合うと本心を打ち明けた

 彼女はアルム自身のことに対して以前より興味を抱いてはいたものの、中々踏み込めなかった。 

 アルジェと同調したカグヤは二人並んでアルムと正面から向き合った。


 「貴方のマスター、オルフェウスとゆかりのある人物が今回のキメラと関係している可能性が高い。例えば、オルフェウスとライバル関係にあった錬金術師とか」


 「あー、それなら一人いたよ」


 アルムはオルフェウスと因縁を持つ錬金術師の存在に心当たりがあった。

 

 「名前は確かアルギアだったっけか。 かつてはオルフェウスと肩を並べたとも言われた錬金術師だよ」


 「その割には名前が出てこなかったじゃん」

 

 「そりゃ当然だよ。 アルギアは錬金術師の時代においてキメラを作らなかった錬金術師だったんだから」


 アルムは記憶の中の人物のことを語った。 

 錬金術師も一枚岩ではない。

 キメラが乱造されていた時代に置いてキメラ製造に手を出さなかった錬金術師も少なからず存在しており、アルギアもその一人であった。

 オルフェウスをライバル視していた彼はオルフェウスが生み出した技術に手を付けなかったのである。


 「でも、その錬金術師が裏で作っていたキメラがいたとしたら」

 「まさか……あの時代に錬金術で生み出されたものはボクとマスターが徹底的に抹消したはず」


 アルムは難しい表情を浮かべた。

 千年以上前、彼女はオルフェウスと共に錬金術に関するすべての事象を抹消して回っており、現代まで継承者が現れなかったことがその証左であった。


 「ボクちょっと確かめてくる!」


 アルムは何かを思い立つと階段を駆け上がっていった。

 勢いよく窓を開ける音がしたかと思えば、その次の瞬間には雷鳴が轟いた。


 「こんな時間にどこに行ったのさ……」


 「きっと、千年以上前にアルムが足を付けた大地。 見逃した錬金術の痕跡を探しに行ったんだと思う」


 アルジェはアルムが向かった先は彼女生誕の地であろうと推察した。

 アルムは動乱の最中に生まれたため、当時は見えなかったそこに残っていた錬金術の痕跡を探しに飛び立ったのである。


 「アルムってさ。 いつもは明るく振舞ってるけど、生まれてから今までずっと戦ってるんだよね」

 

 「カグヤが気に病むことではない。 私たちキメラはそういう定めにある。 アルムも私もマスターから与えられた使命は戦うこと、それに従っているだけ」


 アルジェはカグヤに言い聞かせるように言い放った。

 常識の範疇を超えた力を持つキメラは平和な時代にはそぐわない存在である。

 それはアルムもアルジェも理解していることであった。


 「それはそうかもしれないけどさ……」


 カグヤは納得しつつもどこか腑に落ちないような表情を浮かべ、小さくため息をつくのであった。

 

 

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