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十社会十パラドックス  作者: 遠藤千和
第2章 ー亜刹編ー
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第21話 「新たな芽」

前回初登場の人物・前回情報を公開された人物 (説明)

河実 林檎 (女、3年?組、亜夜芽氏)

「あっもしかして!河実林檎さんですか!」


「えっ?あなたたちどこかで会いましたっけ?」


「今のタイミングで本当に申し訳ないんですが、僕たちは1年C組の亜夜芽氏、豊龍凪紗と諏訪異黎人というものです。河実林檎さんの妹の河実眼論さんの友達です。姉が2人いるということを聞いていて、話してみたいと思っていたので。」


「あの子私のこと話したんですね。」


「僕たちは事情があってですね。(というか、河実家の人間はみんな自分に自信を持たないタイプなんだな。少し顔が違うだけで人間性は本当に似てるな。姉妹として当たり前なんだろうか。僕にはわからないな。)」


「あんまり言わない方がいいのかもしれないですけど!河実柚さんが学園に行くように説得してたんです!」


「そうなんですか?あの子は私と違って姉妹のことをしっかり考えてます。私だったら、そうやってわざわざすることはないです。」


「事情的にはそんな感じです。あと、僕たちは秘密裏にとある計画を進めています。」


「とある計画ですか。それに私の手も必要だということですか。」


「河実林檎さんが絶対に必要というわけではありませんが、あなたは僕たちにとって貴重な人材だったので。」


「その計画は私も知った方がいいんですか。」


「それも含めて、料理を作り終えてから話しましょう。午後の学びは遅めから始まるらしいので。」


「いつまでも話してたら進まないですよね。進めましょう。」


「黎人、手順を絶対に間違えるんじゃないぞ。間違って最悪なのは自分だけじゃなくて僕たちもなんだからな。」


「わかった!絶対間違えないように!砂糖を入れて!」


「お、おい黎人、それ塩を加えるんじゃないのか?」


「あ、間違った!終わった!」


「こんなご飯食べるなんて不安だよ。私は他の人が作ったやつ食べようかな。」


「本当にごめんなさい!」


「まだ修正可能だ。他のメニューを作って誤魔化すか。」


「いっつもこうじゃん、諏訪異黎人。」


「言ったそばからだよな。」


「しょうがないから次から気をつけてよ。」


ーーー昼食完成後ーーー


「なんとか完成したか…。」


「流石にこんなに人数多いと大変だった!」


「黎人のミスが1番大きかったと思うけどな。」


「本当ごめん!」


「僕は別にいいが、予定より30分オーバーだぞ。」


「時間が果たしてあるのかどうかというところだ。」


「お疲れ様です。」


「あ、河実林檎さん!」


「予定より時間がだいぶ遅れたそうですけど大丈夫ですか。」


「時間がなさそうなので、手短に話しますね。」


「あと、これは先ほど言ったように秘密裏にするようにお願いします!」


「わかりました。」


「僕たちは氏制度を無くし、学園を統一させることを目指してます。」


「氏制度が気に入ってないんですか。」


「学園の過去を掘り返したときに、氏制度の根源は争いから生まれたことがわかったんです。」


「そんな制度は間違っているということですね。」


「制度が間違っているのもありますし、学園統一をすることで九条櫂が起こしたような事件を2回と起こさないようにするんです。」


「あの子は、それを手伝うのを引き換えに姉さんを説得するようにいった。そんな感じですね。」


「そこまでわかるんですか。」


「あの子は、普段人付き合いが苦手ですから。わざわざ自分から他の人に頼むのはまだ入学1ヶ月しか経ってないのに、無理です。」


「(姉妹を思ってるのは、河実だけじゃなくて、林檎さんもじゃないですか。妹の行動を考える力、その頭はどこかで役立つはずですよ。)そうですか。無理に協力とは言いません。それでも、この計画にはある程度の人脈と、人格の理解が必要になるんです。」


「そうですか。私もあまり人脈は広くありません。そんな役に立つとは限らないですよ。」


「少しの進歩でもいいんです。その進歩が重なればいつかは目的にたどり着くと信じてます。僕らは学園ほぼ全員の情報を握っていますが、情報を知っているだけではわからないこと、仲の良い人間でしかわからないことがあるんです。河実林檎さんの言っている通りでいいんですよ。僕らは高望みはしませんから。自分のやりたいようにやっている関係を教えてもらえれば。」


「わかりました。それでいいなら、できるときに協力します。」


「その人の親しい人にしかわからないことは俺らじゃ全員分知るなんて無理ですから!」


「いつか役に立ちます。姉さんを助けてくれた恩、忘れないですから。」


「これで、ひとまずは1人、協力してくれる人は増えたが…。っげ、もう食べる時間全然ないじゃないか…。」


「えっ!待ってよ!もう午後の学びが始まるまで10分しかないじゃん!」


「しかも午後の学び、数学からだ……。」


「あ、豊龍凪紗と諏訪異黎人。話終わったの?というか、まだ食べてて間に合うの。」


「間に合わなさそうだから急いでます!」


「豊龍凪紗、これどういう状況?」


「暗限は結局他のところで食べていたのか。色々料理の工程に手違いがあってな、時間がかかりすぎたんだ。」


「そのせいでもう時間がなくなったんだね。他のところ行っておいて正解だったよ。」


「他人事だな…。」


「それで、河実林檎はどうなったの?」


「なんとか説得できたという感じだ。河実家には恩を作ってあったからな、元々。その効果もあってという感じだと思うが。」


「私先行って準備してるよ。2分前には来ないと怒られるから急ぎなよ。」


「わかってる。でもフードロスしたくないしな。」


「言ってる暇あったら食べた方がいいじゃないの。」


「もういいから先行っててくれ。」


「しょうがないね。」


「黎人急ぐぞ。」


 その後午後の学びが行われて、再び約4時間の時が過ぎた。日没が少しずつ近いづいてきた頃に、1日目の座学は終わりを迎えた。ここからは、夜の学びが行われる。その前に、氏ごとの団体で夕食を食べにいくことになった。


ーーー学園の近くの温泉ーーー


「短い時間でも、みんなでバス乗るのもなかなか楽しいな。こんなイベントがあるって言うのもまた、すごい学園だということを強調しているよな。」


「そうだね楽しかった!そんな難しいこと今くらいは忘れようよ!」


「そうだな、それは黎人の言う通りだ。そういえば、暗限ずっと無言だったが、どうかしたか?」


「ううん。ただ、ちょっと考え事をしてただけだよ。」


「暗限も今くらいは忘れて楽しんだ方がいいと思うぞ。」


「…。そうだね。」


「ねーねーそういえばさ!この温泉結構有名だよね、凪紗!」


「ここらじゃ知らない人はいないだろうな。でもここはかなり敷居が高いぞ。値段相当張ってるんじゃないか?」


「学園の行事でくることになるなんて思ってなかったよ。でも、聞いた話だとLaGrがある時は毎回ここに来てるらしいよ。」


「うわ!やっぱりすごいな!」


「メインは温泉だが、その前に夕食だ。」


「どんなもの出てくるんだろうな!」


「予定表を見る限り、時間は7時半までだから、食べる時間は1時間か。」


「1時間なんてすぐすぎちゃうよ!」


「まあでも、それなりのコースを食べられるんじゃないか?」


「楽しみだね。というかこれはまたさっきと同じで亜夜芽氏みんなで食べるってことだよね。」


「そうだと思うぞ。亜夜芽氏なら何も心配せずに食べられるしな、明日は明日だ。今日はもう疲れることはしたくない。」


「席に着こうよ凪紗!」


「だな。」


ーーー夕食終了後ーーー


「すごい美味しいご飯だったね!」


「そうだな。残りのLaGrの分だけここのご飯が食べられると思うと嬉しいな。」


「そこらへんのチェーン店とかの美味しさなんか余裕で超えちゃってるよね!」


「チェーン店ではチェーン店の良さがあるけどな。」


「7時半になったから、こっから温泉に入る時間らしいから、また後で。」


「また後でな、暗限。」


「あ、豊龍くんと諏訪異くんじゃないですか。」


「あ、河実。河実も楽しめてるか?」


「多少は楽しめてます。勉強は大変でしたが。」


「そうか。そういえば、河実。お願いしたいことがあるんだ。河実も苦労してるのかもしれないが、暗限が浮かないように、仲良くしてやってくれ。あいつは1人でいることを気にしないようにしてるつもりだが、心のどこがでは絶対に気にしてるんだ。」


「(豊龍くんはどこまでも、人を思って。)わかりました。私も人のことは言えないですけど。」


「感謝する。」


「河実さんまた明日かな!いい夜を!凪紗!こっからは名物の温泉だ!楽しみ!」


「黎人と温泉入ることなんて本当に珍しいよな。」


「普通はないからね!早く行こ!凪紗!」


「おい黎人。脱衣所を見る感じ、全然一般の人がいないが、もしかして貸切になってるのか?」


「なんか先生が貸切にしてあるって言ってたよ!俺らの学園すごくない!」


「普通じゃできないよな。こんな大きな温泉貸し切るなんて。」


「俺らも入ろ!」


「う、すごいな、広すぎだろ。」


「めっちゃ綺麗!」


「室内がメインじゃないところがまたすごいよな。」


「露天こそ温泉の本領だよね!」


「ていうか、こういう時は絶対に覗き魔がいるって決まってるよな。」


「本当だ!露天のところで覗きを決行してる男子達が!」


「興味ないな。」


「俺も興味ない!亜夜芽さんしか…!」


「そういうのやめてくれ…。気まずい。」


「あ、ごめんごめん!」


「まあこういうことするやつがいるからあいつらも楽しめるんじゃないか?僕は巻き込まれる気はないが。」


「女子も騒いでる声聞こえるし、今くらいちゃんと楽しんだ方がいいよね!」


「そうだな。あいつらは上手くやってるといいがな。」


ーーー女湯・露天ーーー


「(長い1ヶ月だったな。豊龍凪紗たちに出会ってから本当に生活が変わった気がした。話してくれる人、一緒にいてくれる人ができた。頭がいいことしか取り柄がない私でも必要としてくれた。嫌なことが減った。でも…。そんな中でも孤独がなくなったわけじゃない。女子は私をよく思わないんだろうな。)」


「暗限さん。」


「え?たしか、河実眼論、だよね?」


「はい。豊龍くんに言われたんです。孤独を心のどこかで思うのなら、私がそれをなくせるようにしますから。一緒のクラスですし。」


「豊龍凪紗が、そんなこと?」


「はい。豊龍くんは人知らず、人助けをしてます。豊龍くんを大切に思っているんだったら、そのいう通りにしてみませんか?」


「そう、だね。」


「暗限さんが、すごいのはわかりますから。」


「…。」


「お!かわいい後輩じゃないか!」


「この声って。」


「こはだよ!ちょっと久しぶりだね!」


「暗限ちゃんお疲れ様〜。」


「2人も一緒にタイミングだったんだ。」


「同じ計画を目指してるもの同士みんなで入ろうよ!」


「こはテンションいつも以上だね。」


「そりゃこの温泉来たら毎回テンション上がるよね月花!」


「そうだね〜。」


「こはたちの中で論争は起きないね!みんなをそこそこだから!」


「何とは言わないけどこはいっつもその話題ばっかじゃん〜。ていうかそうはいうけど、こはが1番小さいんじゃないの〜?」


「やーめーて!」


「(こは意外とそういう感じなんだ。)」


「あ、そうだ月花さ、黎人の話聞かせてよ!最近そんな時間なかったしまだあんまり聞けてないもん!」


「え〜。どうしようかな〜。」


「聞かせてよ!そうだ!昔はどうだったの!」


「(こは、知らないんだっけ?というか、知らないの?)」


「昔の話はよそうよ〜。」


「いややっぱり大丈夫!ごめん!流石に殺人未遂犯が元カレじゃ嫌だよね!黎人の話も、前みたいもし失ったらって考えたくもないでしょ!自分で言っといてなんだけどやっぱやめで!」


「私は色々初耳でした。亜夜芽さんのことあまり、知らなかったので。」


「人も多いし、聞かなかったことにしておいて欲しいけど。まあそういうことだよ〜。」


「てか、女子もうるさいけど!男子もうるさい!」


「今年の1年生にも覗きしようとしてる人がいるんじゃない〜。」


「絶対無理だもんね!」


「そうなんですか?」


「構造を考えたらわかるよ。明らかに男湯と女湯の間には空間がある。音の聞こえ方がうまく誤魔化されててわかりにくいけど。」


「そうそう!って知ってるんだ!弥生すご!」


「あ、ありがとう。」


「ま〜ゆっくり話そ〜よ〜。1年で3回しかみられない景色だしさ〜。」


「月花のいう通りだよ!ゆっくり話そ!」


ーーー温泉の食堂ーーー


「楽しいひとときだな。君たちの美しい日々はいつかかけてしまうよ。恨むなら奴らを恨むんだね。彼らの計画には抜け穴があった。こんなに周到な俺と違うな。久しぶりに来たけどあの子達の顔は変わらない。今は楽しむのがいいよ。楽しい時間はすぐに終わるものだ。」


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