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3-3

 ―――180年前、人々が豊かな暮らしを享受していた時代。

 突如として現れた異形、それは人間が未だかつて遭遇したことのないものであった。大小様々な姿の中には不定形な形をしたものやあまりに巨大なものも存在していた。しかし全てにおいて共通していたのはそれらが甚だしく人間の不快感や恐怖をそそる姿をしていたことであった。

 前触れも無く突如として各地に出現した異形はそのあまりに恐ろしい姿から『悪魔』と名づけられた。悪魔は手当たり次第に人間を襲っていき軍隊が到着するまでの間に極めて甚大な被害が生じた。魔獣と異なり人間に好戦的に襲い掛かる悪魔はまさに生物としての常軌を逸していた。

 軍隊にとっても悪魔はまさしく恐怖の権化であった。初めて見る異形に熟練の兵士でさえ脅え竦み、戦意は極めて低かった。さらに異形を対象としたマニュアルなど存在しているはずも無かった為にどう戦えばいいのかさえも解らなかった。

 ようやく悪魔の情報を集め対策案を作りあげたには一週間後、その頃には正規軍でさえも半分以上の戦力が削られていた。

対策としては対魔術師として編成されていた騎士団の魔法を無力化する『破魔』の技が悪魔の物理攻撃以外の攻撃に効果があることが分かったため敵の非物理攻撃を騎士が防ぎ、魔術師が魔法で後方から悪魔を殲滅し、攻撃し残りの兵士で前線の攻撃や防御を果たすこととなった。

現在でもこの方式が基本となっており学校に三つの学科があるのもこの理由の為である。

対策案に則り敵の悪魔に対して損害を与えた正規軍であったが際限なく日時、場所共に不定期に発生する悪魔に徐々に消耗していった。その中でも問題となったのは悪魔の幹部と考えられる非常に強大な戦闘能力をもった個体であった。

悪魔は低級、中級、上級、貴族級、魔王にランク毎に分けられさらに形状により二足歩行の人魔、四つ足の獣魔、虫型の蟲魔、空を舞う翔魔、そして巨大な竜魔に種族が分けられる。低級の悪魔が最も多く出現し種族では人魔と獣魔の出現率が群を抜いており竜魔の出現は稀である。貴族級の悪魔ともなれば一個軍をもってしても損害を与えるのは並大抵のことではないといわれ数多もの国を灰燼に帰した。

人類はかつてこの悪魔の軍勢により滅び去るところであったが稀代の魔力を持つディーラ王国の王女リメリアが自らの身体を鍵として魔王および貴族級とほとんどの上級悪魔を封印し自らも悪魔と共に眠りについた。これにより多大なる犠牲の上に人間は生き延びることに成功した。そしてディーラ王国は聖女、リメリアの名を冠したリメリア聖女国と名を改めることとなった。

現在出現する悪魔は殆どが下級悪魔で極稀に中級悪魔が確認される程度であり上級悪魔に至っては近年では発見されていない。

大聖堂内の水晶の棺で眠るリメリア王女が今でも悪魔を封印し国を守っていると言われる。


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