3話 連れてこられた先は
遅くなりました。
〈晶side〉
「クソッ!離せ……いや、ごめん、絶対離さないで」
どうも晶です。只今絶賛逆さ吊り状態です。ワイバーン(仮)につかまれたまま上空を飛んでます。飛び始めた時は掴まれている足に対してあいてる足や腕を使って抵抗するが、びくともしない。掴まれた状態で抵抗しているうちにある程度の高さになって今はなされたら落ちて死ぬんじゃないかという可能性が出たため抵抗するのをあきらめた。うん、隙をみて逃げるしかないな。
「さて、どうするか」
そう呟いてみるも周りを見るということしかできないため周りを見る。どうやらかなり大きな森の割と端だったようだ。首を回してみると森の境界線みたいなのが見えた。しかし、ワイバーンの飛んでる向きは逆に森の中心の方へと向かっているようだ。しばらくして森の中に小さくぽつりと立っている家を見つけた。目的地なのかそこに、ワイバーンが下降し始めた。
「飼われてるのか?良かった。助かった」
家の近くを見てみると、家の近くにある畑で植物に水を与えている少女の元に近付いて行っているようで思わずそう呟いてしまった。ここに来て初めて会うだろう人だ。話が通じれば何とかなるはずだ。……たぶん。そう思考してるうちに少女の近くに近付いていくワイバーン。近くで飛んでいる音に気付いたのか笑顔でこちらに顔を向ける少女。そして、そのワイバーンに掴まれて連れてこられた俺。それに気付いたのか少女は、あわてて何か謎の動作をし始めた。ワイバーンに指示を出しているようだ。ワイバーンには、理解できるのか近くによって行った。
「もう!!ダメでしょ!!勝手に持って帰ってきちゃ」
「ギャウッ‼グルルゥ」
「え?倒れてた?知らないわよそんなの。捨て置いてなさいよ」
あれ?めちゃくちゃ容赦ないんですけど……。というより日本語?流暢な日本語でワイバーンと話をしている少女を見て
「えっと、あの……」
「だから、元あった場所に返してきなさい」
「ギャウッ‼ギャウッ‼」
「イヤッ‼って……。それに、私の物って」
急に少女は顔を赤く染めると、連れてこられた方に意識があるのに気が付いたのか話しかけてきた。
「それで、ここに来た理由わかる?」
「分かるわけないだろ。ワイバーンの言葉なんてわからないし」
「ワイバーン?この子のこと?」
「違うのか?」
何の名前かわからないのか彼女は、近くにいた生き物の名前と判断したようで聞き返してきた。
「この子は、翼竜のシロ。私の友達よ。それにしても、ワイバーンなんて聞いたことないわ」
顎に手を当てて考えるしぐさが様になっていて妙に可愛らしかった。うーん?と考えているしぐさを見ていると急に何かに至ったのか彼女はこう聞いてきた。
「まさか、異世界の人?」
「え?異世界人ってそんなにいるの?」
「そうね。多くはないけど存在しているわ。たぶんあなたは、迷い込んできたのでしょうね」
そうか。それなら……。
「おr「構わないわ」……」
完全に先読みされた。
「心読まないでください」
「簡単に推測しただけよ。部屋自体は余ってるし、何よりもシロが気に入っていてあんたがどこか行ってもまた、連れてくるだろうし。ただ、働く者食うべからずよ。その分しっかりと働いてもらうから」
彼女のにこやかな笑顔にこれから自分はどうなるのだろうかと不安を覚えつつ、これからお世話になるだろう彼女に対して
「名前まだだったよね。俺は晶。藍川晶だ。これから、よろしく」
「私は、ユリナ・アエシス。ユリナでいいわ、アキラ」
こうして俺は、これからお世話になるだろう、森に棲んでいるユリナと翼竜のシロに出会った。