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「彼女は斜め上の高嶺の花」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編②)  作者: サナダムシオ


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㉕ 攻防の果てに

 先に動いたのは、四次元人だった。

 周りに少しだけ居た、朝のジョギングをしていた人々が、走るのを中断して、二人を取り囲むように、近づいて来たのである。


「この期に及んで、まだそんな、リモートコントロールを使うのね?」

 軽蔑の眼差しで、四次元人を見ながら、雪子が呟く。

「罪も無い、通りすがりの、普通のニンゲンから繰り出される攻撃には、オマエも抵抗できまい?」


 すると、その場に時間凍結が起こった。

 動けるのは、四次元人と雪子だけである。

「私にだって、これくらいの芸当、簡単に再現できるのよ。」

 ニヤリと笑って見せる雪子。


「くそっ、こうなったら、直接このカラダを使って、お前を叩きのめすまでだ。」

 四次元人は、その言葉通り、突然、雪子に跳びかかろうとした。しかし……。


「ああ、ダメ、ダメ。」

 雪子が笑いながらそう言うと、彼はその場から、一歩も動けなくなった。


「コレは凍結よ……しかもホンモノのね?」

 背後の木の影から、黄色いワンピースの女が現れて、そう言った。


 ソレは雪女の末裔の、村田京子だった。

「血液を始めとする、アナタの体内の全ての水分を、凍らせたのよ。下手に、ニンゲンの肉体を再構築したのが、運のツキね?」


(バカな。真田雪子は、常に単独行動を、好んでしている筈……。)もう既に、唇まで凍りついた四次元人は、テレパシーで呟く。


「アナタも四次元人のクセに、一体何時の話をしているの?最近は不本意ながら、専ら、ツーマンセルでヤッているのよ。そんな私たちを、"セーラー服と雪女"なんて呼ぶヤツらも居るわ。」少し忌々しげな感じで、京子がそう言った。


 その様子を見届けた雪子は、おもむろに、背中に隠し持っていたオリハルコンの剣を抜き、一気にソレを振り下ろした。


 渡辺正人の死体を、再構築したその肉体から、首が斬り落とされ、間髪入れずに、雪子の出した炎で焼き尽くされた。

 同時に、残った肉体も分子の結びつきのチカラを失い、チリと化した。


「……コレで良かったのよね?」と京子。

「仕方ないでしょ?双方納得出来る解決策は、無かったんだから……。」雪子は、少し残念そうに呟いた。


「彼女たちの記憶は……やっぱり消すのよね?」

「ソレは言うまでも無く……いつもの事よ。」


 そんな感じに、すっかり一件落着したかのように、話す二人を尻目に、木陰から木陰へと、コッソリ動きまわる黒い塊が有った。


 何と、首が切られた瞬間に、四次元人が精神体の形を取り戻し、逃げ出していたのだ!コイツは特別に、逃げ足の早い個体だった。


(フフフ、ここまで来れば一安心だろう。後は、その辺でジョギングしている、ニンゲンの中に潜り込めば……。)

 そんな事を、四次元人が考えていた時だった。


 その彼……つまり黒い塊を、木陰の中から見つけて、ヒョイと、摘み上げた者が居たのだ!


 無論、そんな馬鹿げた事が出来るニンゲンなど、この三次元空間に居る筈は無い……ただ一人を除いては……。



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