㉒ 今日の犯人
すると、そこには、体操着姿の佐倉瞳が倒れており、その前に、例の雪子さんが立っていたのだ。
「雪子さん、今日の犯人は、やっぱり彼女だったんですか?」ボクは尋ねた。
「そうなんだけど……。」彼女は何だか浮かない顔だった。
「どうしたんですか?」
「彼女の中から、いつもの黒いモヤモヤが出なかったのよ……私が彼女を捕まえた時には、もう勝手に、気を失ってしまったの。」
「それって、どういう……?」
「まるで誰かが、遠隔で彼女を操って居たような感じなのよ。」
「それは、つまり、リモートコントロール?」
「そう……そんな感じね。」
雪子さんはまだ、首を捻っていた。
二人でそんな話をしているうちに、委員長、花井くん、町田さんも、その場に駆けつけた。
その頃には、佐倉さんも意識を取り戻したが、彼女自身も何が有ったのか、全く覚えていなかったのだ。
雪子さんはついでに、初めましてのメンバーに、自己紹介をした。これでメンバーの結束は、より確かなモノになった訳だが、今回の一件に関しては、疑惑を残す結果となった。
4次元人は誰かの身体に入らなくても、遠隔でボクら3次元人を、操る事が可能になったように思える。コレはやっかいな事になった。
翌日の金曜日、昨日の球技大会の続きを臨時に行ったが、この日は幸いな事に、何の異変も無く過ぎて行った。ボクらは改めて、平和な一日の有難さを知ったのだった。まあ、そのせいで、土曜日は臨時の授業が増えて、弁当まで必要になったのだが……。
さて、日曜日を迎えた。
珍しく早朝6時に、雪子さんに呼び出されたボクは、鶴舞公園の例のベンチのところまで、出かけて行った。流石に辺りに人影は少ない。彼女はいつものように、ベンチに座って本を読んで……はいなかった。
何故か彼女は、歩いてくるボクを見つめながら、腕を組んでだ仁王立ちのポーズで、ベンチの前に立っていたのである。
「どうしたんですか、雪子さん?そんな門番みたいなポーズで立ったりして……。」
ボクは思わず、彼女に尋ねた。
「門番?……確かに今、この時空を守る立場の私には、そんな呼び名が相応しいのかもね。」
彼女はニコリともせずに、真剣な表情のまま、そう答えた。
「……えっ?」
ボクには、よく分からない返答だった。
「何しろ、今からここで、アナタを倒さなければならないんだから……。」
彼女はボクをじっと見つめながら、更に続けてそんな事を言ったのだ!




