64話『好きです』
茜色に染まる時間帯僕は1つの場所を目指して歩いていた。
文化祭1日目が無事に終了し明日の仕込みも終わったのでほとんどの生徒達は帰っている。
ほぼ無人となった校舎の中僕の胸の中はいろんな感情がひしめき合っている。
嬉しい・・・。
悲しい・・・。
申し訳なさ・・・。
自分でいいのか・・・。
考えるだけ無駄なのはわかってる。いつかはこの日が来るのだとわかっていた、そして僕の中で答えは出ている。
その思いを今日伝える。
僕が向かうのは自分の教室。そこにいる人に僕の想いを伝える。
そしてついに自分の教室に着いた。
ここからが本番だ。
深呼吸をしてから扉を開ける。
そこに彼女がいた。1人窓の外を眺めている。その横顔は固くこれからのことを思っているのかもしれない。
彼女もこちらに気づいたようだ。
僕は覚悟を決めもう一度深呼吸した。
「麻那辺さん、僕は麻那辺愛花さんの事が好きです。一緒にいてたくさん笑うことが出来ました。友達が少なかった僕でもたくさんの人と繋がりを持てたのは麻那辺に引っ張ってもらったからだ。部屋も隣で何かと一緒にいたあの時間はとても充実してた。ここ最近まではこれが恋だと気づかなかったけど、この前やった分かったんだ!だから僕と付き合ってください!!」
僕は自分でもびっくりな程伝えたいことが出てきた。これで伝えられただろうか。
「ありがとう相澤君、もちろん私も大好き!!」
そう言って彼女は抱きついてきた。目尻には涙が溜まっている。でもその顔は喜びに満ち溢れていた。
自分の顔は真っ赤だろう、夕焼けのおかげでそこまでハッキリとはわからないと思うが顔が熱いし心臓はバクバクいってる。
今日僕に初めての彼女が出来た。
麻那辺愛花という同級生の女の子。
「麻那辺さん、苦しいよ」
「我慢して」
僕も幸せなのでいいけどさ・・・
それからしばらく2人で抱きついたままこの時間を噛み締めた。
「ねぇねぇ」
「なに?」
「明日も一緒に回らない?」
それは僕も提案しようとしていたこと、せっかくカップルになれたのだ、空いてる時間は一緒に入れたらいいと思ってた。
「もちろん喜んで」
「見回りってどの時間?」
「お昼前から2時くらいまでだから少し長いよ」
「じゃあ終わったらクラスの方に来てそれから一緒に回ろ」
「わかったよ」
麻那辺さんと明日の約束をしてその日一緒に帰った。
幸せそうで羨ましいな!
次回は告白の裏舞台など語られます。
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それではまた明日!




