真実2
次の日、旅の準備の為に、保存食等を買い漁る。
なにせ、三ヶ月は見たほうが良い依頼だ。それだけで結構な量になる。
多くの店を周って、保存食を買い漁った。
他にも中級ポーションも2つ買っておいた。
リリィが回復魔法を使えるから良いんだけど、何があるか分からないからね。
そして、四の鐘が鳴った。もうお昼か。
とりあえず、荷物を置いてからノインさんと食事にでも行こう。
リリィの手を引いて冒険者ギルドに向かった。
いつも通りのノインさんの態度。
はっきり言って、ノインさんのあの面倒くさそうな態度も、人が寄ってこない原因じゃないんですかねぇ。
まぁ、言わないけどね。それこそ、なにか言われそうだし。
ノインさんの所に向かう。
「ノインさん。お昼にでも行きませんか?」
「ノインお姉ちゃんこんにちは」
「ん? おお、アランとリリィか良いぜ。行こうか」
受付から出て、直ぐにこちらに向かって来る。
「いやぁ、昨日の指名依頼の件もあって、気になってたんだよな。なにか、昨日で分かったか?」
「そうですね。それなら、食事の時にでも話しましょう」
「そうだな。じゃあ、今日はどこ行くか」
「今日は肉が食べたい気分なんで和幸で良いですか?」
「奢ってくれるなら良いぞ」
「リリィも良いよ」
「しょうがないですね。良いですよ」
「やったぜ! 言ってみるもんだな」
ノインさんはもう少し遠慮をした方が良いと思うよ。
まぁ、奢るくらいなら良いけどさ。
そして、和幸でとんかつ定食を頼む。
そういえば、オーク肉なのかもなーとか思ってたけど、もうどうでも良くなってきちゃったよ。
美味しいんだからそれはそれで良いってね。
「んで、昨日の指名依頼の件はなんだったんだ?」
目を爛々と輝かせて聴いてくる。
女性はこういう秘密事がなんで好きなんだろうか。
まぁ、気になるっちゃ気になるだろうけど。
「それなら、基本は護衛依頼でしたよ」
「護衛依頼? ほんとにそれだけか?」
ノインさんは訝し気だ。
そりゃ、あんな怪しい依頼だ。護衛依頼だけとは思えないだろうけど。
小声にして答える。
「……ここだけの話。新しく発見された遺跡の調査ってのが依頼のメインです」
「マジか。ここらへんで遺跡が発見されたなんてな。もう、とっくに見つかったものだと思ったよ」
「そうですか。まぁ、そうですよね。一応、首都ですしね。ここら一体は調べつくしてるかと思いますよ」
「まぁな。それで、護衛対象が考古学者かなんかってとこか」
「良く分かりましたね。古代魔法文明時代の権威の方で、アルフ=シューベルさんです」
「っぶほ」
「うわ、汚いなぁ」
「き、汚いってな! っていうより、アルフ=シューベルって言ったら、かなりのお偉いさんじゃないか! 古代魔法文明時代の謎を数々と解決している凄い人なんだぞ!」
そんなに凄い人なんだな。
なんか、気の良いおじさんってイメージだったんだけど。
「へぇ……そうなんですね」
「へぇ……ってお前なぁ。まぁ、良い。これってBランクアップも兼ねてる。ってことなんだろ?」
おや、やはり鋭いな。そこはやっぱりギルドの受付嬢と言った所か。
「そうです。私は冒険者になってから日が浅いので、それも兼ねてこの依頼を達成したら、Bランクにするつもりだそうですよ」
「するつもりって……もしかして、アルフ=シューベルといい、これってかなりの偉い人が関わってたりするのか?」
おお、そこまでわかるとはノインさんは探偵でも出来るんじゃないか?
「大正解です。この依頼は第二王子のヴァルト王子からの依頼です」
「んぐっゲホゲホ」
ノインさんは大層驚いているようだ。慌てて、水を飲んでいる。
やっぱり、驚くよね。私も驚くよ王子が関わってるなんて聴いたらさ。
「……ふぅ。極秘依頼なのが良く分かった。聴かなきゃ良かったよ」
「はははっ! 時すでに遅しってことですね。まぁ、しょうがないですよ。好奇心は猫を殺すってね」
「笑えないぞ。まったく」
あ、猫の獣人のノインさんには冗談では済まないよね。
ごめんなさい。
「すみません。言いすぎました」
「まぁ、良いさ。んで、日程はどのくらいかかる予定なんだ?」
「往復で二ヶ月。調査に一ヶ月は掛かると見ていますね」
「ふぅん。そうか。とりあえず、かなりの大物の護衛なんだからヘマはするなよ」
「ええ、分かってますよ」
「リリィもいるから大丈夫だよ」
「そうだな。リリィも任せたぞ」
「うん」
そんなに頼りないかね。
これでも、護衛の依頼は受けたことあるから、問題ないと思っているんだけどなぁ。
その後、ノインさんと別れてからリリィと街を散策する。
露店を見て周ったり、服を買ったり等をしていたら直ぐに夕方になってしまった。
「今日はもう帰ろうか」
「うん」
「明日から忙しくなるから頑張ろうね」
「頑張る」
リリィは握りこぶしを作って奮起している。
まぁ、今回はリリィが居るおかげで荷物にも大分余裕が出来ている。
水と火に関しては魔法で何とかなるからね。
魔法万歳! 使えない私には味わえない利便性だ。
いやぁ、羨ましいね。
夕食を宿屋で取ってから、お湯で洗いっこをしてから就寝する。
そして、次の日の早朝。依頼の日だ。
朝に朝食を取ってから西門に向かった。
西門には馬車が1台止まっている。
6人用の貴族が使うような馬車だ。
やっぱり、アルフさんって貴族なんだろうか。
「やぁ、おはよう。アランにお嬢ちゃん」
「おはようございます。アルフさん」
「おはよう。おじちゃん」
挨拶を交わして、目の前に着く。アルフさんの他には3人の人がいる。
従者が一人と護衛の騎士が2人だ。
ん? これなら私はいらないんじゃないだろうか。
護衛いるじゃん。
「アルフさん。この護衛の方は……」
「ああ、吾輩達が遺跡の中に入っている間に馬車を守ってもらう護衛だ」
そうか。じゃあ、遺跡内の護衛は私がメインってことなのね。
あくまで、この護衛は馬車の護衛か。
「分かりました」
「うむ。では、出発するとしよう」
護衛の人が扉を開けると、アルフさんが中に入っていく。
そして、私とリリィが入ると護衛の人も中に入ってくる。
席は2名ずつの三列になっており、前列と中央が向き合っている。
前列にアルフさんが乗り、中央に私とリリィが乗る。
そして、最後の三列目に護衛の2人が座る。
そうして、馬車は動き出す。
遂に旅の始まりか。始まりってのはいつもドキドキするね。
今回はどんな事になるのだろうか。期待と不安が襲って来る。
でも、大丈夫さ。今回はリリィもいるしね。
無事に成功して首都に戻って来よう。
その為にも、気を引き締めて行くぞ。




