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虹倉姉妹  作者: 加藤無理
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三人の再会

 盆休みが終わった直後に優花は実花を乗せて札幌まで運転した。途中で何度か休憩所に停まっては仮眠したり食事したりした。飛行機で行く事も考えたが、楽器を自分で運ぼうと思い直したのだ。


 混んではいたけれど早めに出発したので予定より二十分ほど遅れただけで済んだ。まずは予約している宿泊施設に行き、荷物を下ろす。その後にスタジオに向かう。北海道は大地が広がっている。道も整備されている。虹倉姉妹は異国に来た気がした。


 武と姉妹が再会したのは午後の昼下がり。この日は主に打ち合わせだ。練習は翌日から行われる。


 実花が気まずそうに、

「何度も聴いたんですが、どうすれば良いのか分かりません」

 武は微笑み、

「まずは適当に合わせるだけでも良い。むしろ自分で改変するぐらいが良いね」

 と、言うと、武はやや困った顔をして、

「俺は二人をどう呼べば良い?」

「呼び捨てでもかまいませんが」

 優花が答えると、

「なんか失礼だな。ちょっと気持ち悪いけど、ちゃん付けで良いかな?さん付けだともっとぎこちないし」

 優花は実花を見やる。実花は無表情だ。拒むつもりはない様子。優花は、

「分かりました」

「その代わり、俺を武と読んで欲しい」

 武が勧めると二人は、

「「はあ」」

 と、返事をした。


 優花と実花は一曲一曲をじっくり練習したがったので、武はそれに従った。練習する曲の順番を決める。あらかじめガッチリと計画を建てるより緩やかに建てて臨機応変にした方が気楽で練習に集中出来ると武は提案した。打ち合わせはすぐに終わった。


 三人は最近、日本発祥のアジアで評価が高いバンドについて語り合った。そのバンドは様々な楽器や機械を駆使して次々に新しい音源を創り出していく。特にそのバンドのリーダーはシンセサイザーをこよなく愛用する。発表した楽曲を第三者が復元しようにも簡単には真似できない。武は、

「どうすればああなるのか俺には理解出来ないな。あの人達には憧れるよ」

「武さんもそう思うんですね」

 優花が相槌を打つ。実花は、

「正直、私は音楽は自分で創るというより創られた物を聴くものだと思ってる」

「へぇ、そうかい」

 武は驚き気味だ。


 夜になる前に三人は一度解散した。


 思っていた以上に姉妹は二人共、美人だ。武は気付いた。しかし緊張したり恋慕したりはしなかった。冷静に会話出来た。二人の表情から、武がセクハラした感触は無い。やはり虹倉姉妹はビジネスパートナーだ。


 実花が自信無いのでどの様に励ますかが少し課題だ。実花の腕前ならば好きなだけ編曲出来る。どうしても自信が持てなければ基本通りの方法でやってもらおう。ドラムは正確な速さと拍子が大事だ。実花はそれが出来ている。

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