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婚約破棄の明と暗  作者:
閑話2
20/20

出会いから現在へ〜アリフ

感想でリクエストをいただいたアリフ視点の話。

予定より長くなりましたがお楽しみいただければ。

感想返信で書いたネタをほぼそのまま再利用しております。

 家族の許可を経て諸国漫遊の旅をしていたアクティ第三王子アリフが、イサークに入国したのは二十歳、国を出て二年余りが経った頃のことだった。

 数日後に王都に到着し、喧騒を楽しみながらぶらぶら歩いていると、鋭い耳に不穏な物音が届く。


 ━━がすっ。

 ━━ばきっ、ぐしゃあっ。


(……殴り合いか?)


 何となく、殴り『合い』と称するほど互角の戦いではないのだと勘が告げているが。

 気配を消しつつ物騒な音源に近づいていくと、『ごきっ』という一際鈍い音が聞こえた。


(容赦なく折ったな、これは。どこをかは知らんが)


 さてどんな奴が、と路地裏を覗き込んだアリフは目を(みは)る。

 おそらく十代半ばから後半といったところだろう。背は高いがまだ成長途中らしいすらっとした体格の少年は、銀とも灰色ともつかないくすんだ色合いの髪で目元が隠れているにもかかわらず、治安のよろしくなさそうな場所にあまりにも不似合いな存在感を放っていた。

 それなりに裕福な平民の装いだからというのもあるが、何より印象的なのは彼本人から漏れ出ている、カリスマ性や華と呼ぶべき強烈な雰囲気である。本人も自覚して隠している節はあるにせよ、明らかに不十分だったのは足元に転がる十人ほどのごろつきの姿で一目瞭然だ。

 そんな存在がこれほど悪目立ちする場所に足を踏み入れること自体、大いなる問題である。自身については遥か上方の棚に放り込んだアリフは、忠告の一つもしてやろうと足音を立てて少年に近づいた。


 返り血の飛んだ頬を拭いつつ顔を上げた彼の、長い前髪の隙間からは、これまた驚くほど綺麗な青い瞳が覗く。


『あなたは━━アクティからの旅行者ですか?』


 口にされたのはアクティ語だった。それもたいそう流暢な。

 アリフもウィッグ等で変装してはいるものの、人種が分からないほど徹底したものではないので、少年の反応そのものはさほどおかしくない。むしろ重要なのは、さほど親密な関係でもない他国の言語を、彼が母国語並みに操れているという事実の方だ。

 そんなものを身につける機会と必要性があるのは、交易を仕事とする商人か、外交に関わる王侯貴族くらいである。そして目の前の少年の顔立ちは、色合いこそ違えど、街で売られている国王の肖像画を二十年ほど若返らせればこうなるだろうというもので━━年頃を考えれば該当者は一人しかいない。


『そう仰るあなたはイサーク王太子カイルザーン殿下だな? 初めまして。私はアリフ・ウィル・アクティだ』


 アクティ語を話せるのであれば、名の意味は理解してくれるだろう。特に王子であることを示すミドルネームは。

 偽名だと疑われる可能性も考え、裏側にアクティ王家の紋章が刻まれた腕輪を外し見せてやる。

 案の定、少年━━カイルザーンは軽く目を見開いてアリフと腕輪を凝視し、それから苦笑気味にこう言ってきた。


『……身元を気づかれてしまいましたか。変装が甘かったですね……立ち回りのせいかウィッグがずれてしまった』

『確かに。だが顔と、そのするりと出てきたアクティ語の両方がなければ確信は持てなかったな。どちらかだけならば根拠としては弱かっただろう』


 顔立ちだけならば他人の空似と言い張れなくもないのだし。

 肩をすくめたアリフの言葉に、カイルザーンは唇をほころばせて握手を求めた。立場とスケールの差はあれ、どちらもお忍びで家を出て歩き回っている王子だ。シンパシーを覚えたのだろう。


『では改めて。カイルザーン・イサークです。アクティ第三王子アリフ殿下におかれては、今後とも是非お見知りおきを』

『ああ。よろしく』


 こうして、生涯続く王子たちの友情は始まりを告げたのだった。




 その後、後れ馳せながら騒ぎに駆けつけてきた王都警備隊長に「またですか殿下……」と呆れられる一幕はあったものの、すぐに解放された二人は連れ立って街中を歩いていた。


『もしかして、ああやってごろつき連中を殴り倒すのはいつものことなのか?』

『まさか。月に一度あるかないかですよ』


 人聞きがよろしくないのでアクティ語で尋ねれば、さらりと不穏な答えが返る。

 多くはないが珍しいとも言えない頻度でごろつきをぶちのめす王太子というのは果たしてどうなのか。アリフの眉間に皺が寄った。


『……一体何があったんだ?』

『愛娘のおねだりを叶えるために父が放り出す政務のほとんどが、僕に丸投げされるので。そのたびに溜まるストレスに限界が来たら、今日のように八つ当たりをしに外へ繰り出すというわけです』

『それはまた……』


 コメントに困るアリフであった。要するに度の過ぎた親馬鹿という病を患った父王による皺寄せを、後継ぎだからとほぼ一身に受けているのが目の前の王太子だということなのだろう。

 そんな実情を他国の王子に躊躇いなく打ち明けるのはどうかと思うが、国内の誰かに迂闊に話せるものでもないというのも理解はできる。


『何と言うか、大変なんだな。仕事を分担してもらうには、まだ弟妹たちは幼いんだったか?』

『一番上の妹サーラベルは、まだ十三歳ですが優秀かつ気も回るので、仕事面以外でもあれこれ助けてくれていますよ。他の弟妹たちにも協力してもらって、おねだり病のシャルティナの気を引いて父に近づけないよう取り計らってくれたり』

『おねだり病……』


 何とも難儀な病である。それを咎めない父王が何より厄介だが。

 ちなみに今日カイルザーンに何があったかと言うと━━




『お父様ー! 私、今日は一日お父様と遊びたいです!』


 と、十一歳になったばかりの第三王女シャルティナが国王の執務室に駆け込んできたのが始まりだった。

 朝食を終えて長男(王太子)とともにバリバリと政務に勤しんでいた国王は、今日もこの上なく愛らしい愛娘に抱きつかれて親馬鹿全開の笑みを浮かべ、耳を疑う言葉を口にした。


『おお、そうか。よしよし、シャルティナの言う通りにするとしよう。私の仕事は王太子に任せればいいからな』

『━━は? 父上、私は今週、学園の試験があると申し上げていましたよね? なのにそれを放棄して父上の分の仕事をしろと?』


 今まさに登校のために席を立とうとしていたカイルザーンは、こめかみに青筋を浮かべつつも抑えた声で尋ねた。もっとも今日は試験期間の最終日であり、午前中で終わる日程ではあるが、だからと言って蔑ろにしていいわけは勿論ない。

 けれど一縷の期待は見事に裏切られる。


『試験くらい追試があるのだからいいだろう。お前は優秀なのだから問題あるまい』


 ━━ぶちっ。


 自身の堪忍袋の緒が切れるのを、カイルザーンは確かに聞いた気がした。


『父上! ふざけるのもいい加減に━━』

『失礼いたしますわ、お父様、お兄様』


 柔らかくも凛とした声が割り込んでくる。

 振り向けばサーラベルが、第二王子クロフォードと第三王子コーデリアスを連れて入ってきたところだった。異母弟たちは、十歳と九歳いう年齢相応に無邪気()()()まなざしで一同を見つめている。

 あと数年もすれば傾国とも称されそうな大人びた美貌を妹に向け、サーラベルはにこりと微笑みこう言った。


『ごめんなさいね、シャルティナ。実は弟たちがあなたと遊びたがって聞かないのよ。だから悪いのだけれど、今日はこの子たちと一緒にいてもらえる?』

『シャルティナ姉上!僕たちと遊んでください!』

『誰よりもきれいで可愛い、大好きなシャルティナ姉様といたいです!』


 クロフォードが目をきらきら輝かせてせがみ、コーデリアスはうるうるお目々で一番下の姉に訴える。

 カイルザーンの目には少々大げさに映る演技も、シャルティナを乗せるには十分だったらしい。


『そ、そうなの……?しかたないわね。分かったわ、遊んであげる』

『『わーい!やったー!』』


 可愛らしく喜んでみせる弟たちに挟まれたサーラベルは、軽く圧をこめた笑顔を父王に向ける。


『というわけですので、お父様はどうぞお仕事にお戻りくださいな』

『う、うむ……』

『ああ、それと。王妃様とわたくしの母より、お父様と三人で昼食をご一緒したいとの伝言を預かっておりますので、くれぐれも遅れないようにお願いいたしますわね?』

『ぐ。……分かった』


 後宮二大巨頭の誘いとなれば、国王と言えども無視はできない。間違いなく説教が待っていると予想できていたとしても。

 弟たちがシャルティナを連行、もとい連れ出したのを確認してから、サーラベルは笑顔の質を変えて兄へと目配せした。


『ではお兄様、いってらっしゃいませ』

『ああ。ありがとうサーラ』


 というわけで、無事に試験を受けることができたカイルザーンであった。

 なおサーラベルはその後、弟たちにこう泣きつかれたらしい。


『サーラ姉上ー!シャルティナ姉上の相手するのめんどくさいです!』

『カイル兄様と国のためなのは分かってますけど、やりたくないですー!』

『そうよね、ごめんなさい。シャルティナが大人になるまでのことだと思うから、もう少しだけ協力して?』


 となだめたサーラベルだったが、年月が経っても父王の対応に変化はなく、結果としてシャルティナのおねだり病は、彼女が婚姻可能な十六歳になっても治ることはなかったのだった。

 無論それは、この時点では誰にも分からない未来の話なのだけれど。




 周囲を気にかける必要のない場所で朝方の出来事を聞かされたアリフは、大陸共通語で素直な感想を述べた。ちなみに王子二人のどちらも変装は完全に取っ払っている。


「……そのおねだり病の妹を除けば、弟妹にはそれなりに恵まれているようだな? 特に一番上のサーラベル王女は、あえて名指しで言うだけのことはあると話を聞いただけでも思う」

「その通りです。サーラベルはもうすぐ国内の公爵家との婚約がまとまりそうでほっとしていますよ。もし彼女が国外へ嫁ぐ羽目になったらと思うと、将来が不安になって仕方がない」

「まあ、カイル様ったら……お気持ちはとてもよく分かりますけれど、いくら頼り甲斐のあるサーラ様であっても、頼ることを前提に物事を考えるのはあまりよろしくはないかと。それこそ他国の王子殿下に、サーラ様が見初められる可能性は多々ありますのに」


 と、腿の上にあるカイルザーンの頭を撫でながら優しく咎めたのは、二歳年下の彼の婚約者ロクサーヌ。アリフがいるのは彼女の住むタウンハウスの応接間だった。

 東部辺境伯クルトワ家の長女である彼女は、王妃教育のために故郷を離れて王都のタウンハウスに住んでおり、婚約者やその家族(一部を除く)との交流を重ねてもいるとのことだった。……初対面かつ他国の人間の前で何ら抵抗なく膝枕をするあたり、婚約者だとしても少々関係を深めすぎと思わなくはないが、それだけカイルザーンが精神的に疲れているのは間違いないのでアリフもあえて指摘はしない。息子たちの前でも平気で妻の膝を枕にしたり妻を膝に乗せたりする父を見慣れているため、その手の耐性は豊富というのもある。

 何より僅か十四歳で、王太子で年上でもある婚約者の苦悩をゆったりと受け止めるロクサーヌの様子は、これ以上ないほど未来の王妃や国母に相応しいと素直に評価できた。聞けば普段はカイルザーンの方が何かと彼女を愛でているそうなので、持ちつ持たれつのいい関係なのがよく分かる。


 ただそれとは別に、ロクサーヌが「他国の王子殿下」のくだりで意味深にアリフを見てきたことには異論があった。


「……確認するが、サーラベル王女は十三歳だろう? いくら聡明であっても、まだまだ子供でしかない少女を口説く趣味は俺にはないぞ」

「今は、の話でしょう? 五年も経てばサーラ様も十八歳、どこからも文句など出ない立派なレディですわ。イサークでは女性は十六歳で準成人と認められ結婚可能となりますし」


 ロクサーヌの、ガーネットを思わせる深赤(しんせき)の瞳が楽しげに輝き、艶やかな栗色の巻き毛が妖精めいた美貌を豪奢に彩る。

 どこまでが冗談なのやらと考えつつ、アリフは本音を口にした。


「そんな未来の話をされてもな……大体、先ほどカイルが『国内の公爵家との婚約がまとまりそう』と言っていた以上、俺が横槍を入れるのは多方面に迷惑でしかないだろうに」

「アリフ殿の仰る通りですね。ところでロクサーヌ、君はあと二年でその準成人となるわけだが、最短で僕の妃になってくれる予定はあるかい?」

「えっ!? それは……ええと、流石に気が早いかと……」

「そうか、残念だ」


 さらっと話をそらしてくれたのはカイルザーンなりの気遣いだろう。可愛い婚約者とは可能な限り早く結婚したいというのも間違いなく本心だろうが。

 仲がよろしくて結構なことだ、と内心肩をすくめるアリフであった。




 それから三年後、疫病の特効薬の材料として砂漠の花を大量に提供した見返りに、イサーク王女の一人がアクティの王子妃候補としてやってくることが決まった。

 既に帰国して二年が経つアリフは、その知らせに記憶を探る。


「第三王女シャルティナ……例のおねだり姫か。さて、どう成長しているのやら。それとも全く代わり映えしていないのか」


 場合によってはイサークとしても、シャルティナを厄介払いするいい機会になるかもしれない。そう考えてカイルザーンとの定例の文通で探りを入れたが、得られたシャルティナに関する情報は何とも言いがたいものだった。

 ━━アクティを蛮族の国と評して憚らず、嫁ぐことを心底嫌がり泣く。アクティの名を聞くだけで泣き出す。「望まぬ縁談を強いられた悲劇のヒロイン」を気取り、父王や周囲の者に誰彼構わず涙ながらに不幸ぶりを訴える━━


「まあ予想通りか」


 アリフは苦笑気味につぶやいた。

 アクティの国としての評判がまだ改善途上にある以上、シャルティナのようにアクティ行きを心底嫌がる候補者が大半だろうことは覚悟済みである。もともとの名目は既に五十代に達したアクティ国王の末席の妻にという、年若い王女や令嬢たちにとってはあんまりなものと言える条件ではあるし。

 ただ、アクティ恒例となりつつある王子たちの集団見合いについては、大っぴらにしていないだけで隠してもいない。つまり少し調べれば分かることなのだから、情報収集に対する各国上層部や妃候補たちの姿勢を確認するにあたりいい材料となっている。中には周囲からまともな扱いをされておらず、情報など集めようのない候補者たちもいるけれども。


「シャルティナ姫は間違ってもそのタイプではないな。恐らく最速でイサークへ帰すことになりそうだ」


 初めての例になるだろうと結論づけたアリフだったが、その予想は更に二年後、見事に裏切られることとなったのだった。




「とは言え、嬉しい誤算だった。彼女に代わって来たのがサーラベルでなければ、俺は今でも独身でいただろうしな」

「ふふっ。わたくしが以前申し上げた通りになりましたわね」


 イサーク王宮での歓迎パーティーの翌日。今日は体調がいいからとアクティ外務大臣夫妻の訪問を受けた王太子妃ロクサーヌは、かつてとよく似たいたずらっぽい笑みでそう言った。その手は膨らみかけた下腹部に大切そうに当てられている。


「つまり、ロクサーヌお義姉(ねえ)様も昔、アリフ様にお会いになっていたということですの?」

「ええ。アリフ殿下とカイル様が初めて会われた日に、気兼ねなく話せる場所ということで、クルトワ家のタウンハウスにお二人でいらしたのですわ」

「…………なるほど。そういう流れでしたのね」


 口では納得したらしいサーラベルだが、その手は何故かアリフのローブの袖口に伸びていた。白い指が布地を掴み皺を作る。


「ん? どうしたサーラ」

「あら。ふふっ」


 アリフは勿論、ロクサーヌも当然気づかないはずはなく。

 にこにこ微笑む王太子妃の前で、アリフは袖口にある妻の手を取り手のひらを合わせて握った。世に言う「恋人繋ぎ」である。既に夫婦だけれど。

 ほんのり染まったサーラベルの耳元に、アリフが唇を寄せる。


「人前だからと遠慮するのも分かるが、もっと甘えてくれていいんだぞ? 妃殿下は楽しんでいるようだし、何より俺が嬉しい」

「っ……」

「サーラ様が嫉妬していらっしゃるところを拝見したのは初めてですわ。想像以上にお可愛らしいこと」

「お義姉様……!!」


 カイルザーンが顔を出したのはそんな時で、ころころ笑う最愛の妻と、その向かいで何やらイチャイチャしている妹夫婦を目撃することになった。


「揃って楽しそうだな。ロクサーヌ、体調はどうだい?」

「大丈夫ですわ。むしろサーラ様の可愛らしいご様子に、つわりの辛さや諸々のストレスが綺麗に拭い去られましたわね」

「それは何より。アリフ殿やサーラも忙しいだろうが、帰国前に一度、我々と一緒に食事をする時間をプライベートで取ってくれるとありがたい」

「俺は構わないがサーラはどうする?」

「わたくしも喜んで。いい機会ですから、アリフ様とお兄様の出会いについて詳しく伺いたいですし」

「え」

「いや、それはちょっと……なあカイル?」


 珍しくカイルザーンの顔が固まり、アリフも少々動揺している。

 カイルザーンと同じく妹がいる兄として、「お忍びで王都に繰り出し絡んできたごろつきをボコってストレス解消していた時に出会いました」などという真実を明かしたくない気持ちはアリフもよく分かる。いくら今はそんなことはしていないにしても、何かが違えば大変な事態になりかねなかったということで呆れられたり説教されたり、とにかくあまりよろしくない未来が待ち受けていることは想像に難くない。

 父王によるストレスについてはサーラベルも理解や共感はしてくれるだろうし、一応護衛を兼ねた影もしっかりついていたのは事実だが、それだけで完全にフォローできる行動でもなく……実際カイルザーンもアリフも、きょうだいが同じような行動をしたなら少なくとも忠告の一つくらいはするだろう。

 無論、不必要に暴力的な話を大切な妹に聞かせたくないという思いが何より大前提だが。

 一方、そんな兄心を全く気にしない者もこの場にはしっかりいるわけで。


「お二人とも過保護ですのね。ではわたくしからご説明しますわ、サーラ様。実は」

「待て待て待ってくれロクサーヌ! それは秘密にしておいてくれ頼む!」

「……一体何があったのですか? お兄様があんなに焦るなんて」

「あー……要するに、若気の至りと言うやつだな」

「?」


 唯一事情を知らずに首を傾げるサーラベルは実に可愛いとは思いながらも、アリフはこの場をどう切り抜けようかと様々に考えを巡らせる羽目になったのだった。




イサーク王子たちの名前と新キャラの王太子妃ロクサーヌが登場しました。彼女の次兄(未登場)がカイルザーンの側近の一人で、将来的に近衛騎士団長になるはず。そのうちどこかに出したいですね、独身でヒーロー候補には持ってこいですし。


今までは基本的に姉だったサーラベルが、妹の顔でいる様子を書けたのは楽しかったです。

荒事に無駄に長けてる王子たちはノーコメントで。

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