上の立場ってこう言う事か?
海賊船との距離は、既に60m程だろうか。
先程は見てみたいと思ったが、
やっぱり見たくないと思ってしまった。
目を凝らして見ると海賊船の先頭に、
デガラズが立っている。
「お前らああああ!
今すぐそっち行くから待ってやがれ!」
「うわぁ!大きい声!」
シャラがびっくりするほどの大声だ。
海賊なのに、しっかりとした発声ができるのか。
「全員戦闘配備!
砲弾は何発ある!?」
「球が4。アレイが6」
「ならアレイ弾を込めろ!
マストを潰せ!」
慌ただしく動き始める。
「マズイな。俺の武器がないのに」
「この前銃買ったんじゃないの?」
「実砲があれば使うけど、今使うのは難しいな」
実砲自体高価で買える場所も限られている。
なるべく節約がしたい。
手持ち武器も街の戦争で全て潰れたか、
人に譲ってしまった。
「おい!俺も戦うから武器くれないか?」
「ダメだ!あんた客人だろ!
それに余ってる武器も無いんだよ!」
「弾準備!ぅてえええ!」
『ゴオオォォゥゥン!』
大砲が発射される。
しかし、相手の船はうまく軌道を変える。
アレイ弾をしっかりと回避した。
「なんだと!」
船長が驚く。
アレイ弾は風の流れ通りに曲がる。
海賊船も風と同じ方向に進む。
つまり弾も船も同じ方向に進むのだ。
まして今敵船との距離は30m程。
風も無風。
普通は弾が当たるはずだったのだ。
それを避けたって事は、
敵の強さが一瞬でわかるやりとりだ。
「てめえらよくもやりやがったな!撃ち返せ!」
『ゴオオオォォゥウン!!』
船に弾が飛んでくる。
だが弾が当たる前に船が揺れる。
操縦士が慌てて船を動かしたようだ。
俺は渋々ウェブリーリボルバーを取り出す。
「うわっっと!」
だが俺はよろめいて、
船の端に立ってしまう。
『バアアアァァァン!』
「あ、やば!」
着弾の衝撃で船が揺れる。
俺の体が吹き飛んで海に投げ捨てられた。
銃が海の底に沈む。
刀は別の荷物と一緒に軍船内だ。
外してて正解だった。
『ドボオォォン』
「あ・・・」
銃を手放した感覚がある。
そう思って落ちた銃を目で追った。
だがそこには、大小様々な魚が見えるだけ。
仕方なく海面に顔を出す。
瞬間。海賊船から縄を投げられる。
「お前らじゃ話になんねぇ!こいつはもらっていくぜ!
返して欲しけりゃ、でけえ軍船を用意しとけ!」
上でデガラズが叫ぶ。
俺は他の海賊に縄をかけられ、
引っ張り上げられる。
「ケレーン!」
シャラが手を振りながら俺の名前を叫ぶ。
あの馬鹿!
後で覚えとけよ!
「ふーん。あんたケレンって言うんだ」
「ふん。餌なしで魚。いや、肴が釣れた」
白と青。
アリッサとドギーだったか。
「俺を人質にしても、
あまり効果はないと思うぞ?」
「まあ、お仲間は未だに手を振ってるし、
あんまり信用無いのかしら・・・?」
「だが今回はこれくらいでいいだろう」
縄でくくられたまま船の中を進む。
海水に服ごと浸かって、正直ベトベトする。
しばらく進むと操舵室のような場所に連れてこられた。
「よう兄ちゃん。俺はデガラズってもんだ。
兄ちゃんにはしばらく、大人しくしててもらおうか」
「あんたのことはデガルズから聞いてる。
邪魔はしないからこれ解いてくれないか?」
「あん?デガルズ?誰だっけそいつ」
やっぱり聞く耳なしか。
こう言う人はそういう対応取るよな。
「おい緑!こいつを見張っとけ」
「えぇ俺?船の操縦もあるのに!」
「つべこべ言うんじゃねえ!
あとこいつ磯くせえ!
後で風呂の場所案内しとけ!」
この緑の人が先程の砲撃を回避したのか。
緑のバンダナで名前も緑って適当な・・・。
だが名前はともかく凄腕だな。
ん?風呂?
「おい、俺を風呂に案内してどうすんだ?」
「あん?風呂に入れるに決まってんだろ?」
いやいや。
「俺が逃げたらどうするんだ?
そうでなくとも暴れるかもよ?」
「・・・俺と話をしたいんだろ?さっきそんな雰囲気だった。
なら暴れたりしねえだろ」
さすが海賊。思い切りがいい。
しかも図星を突かれた。
「それとな。おめえまだ20くらいだろ」
「え?年齢?」
「ああ。俺は32だ。ガキが一人暴れたくらいじゃ、
どうってことねえんだよ」
「そうなんですか」
俺27歳・・・まあいいか。
それにしても・・・このデガラズが持ってる銛だが、
長さが5m程ありそうだ。
人間がこんなに長い武器を持てるとは・・・。
俺が持ってる槍でも4m程の長さが限界だ。
この人はかなり手ごわそうだ。
素直にそう思った。
ならば、色々情報を聞き出すか。
「それにしても俺を捕まえて、
一体何が目的なんですか?」
「・・・」
「このままじゃ不安で、
夜も眠れないですぅ」
わざとらしく言った。
するとデガラズが溜め息を吐いて、
俺の方を向いた。
「俺はな。奪った宝を返しに来たんだよ」
「奪った宝を?」
海賊が宝を返す?
どういうことだ?
「金にならなかったとか?」
「ちげえ。ありゃ金になるぜ」
ふむ。
しっかりと価値はあるようだ。
「趣味じゃなかった?」
「お前ふざけてんのか?」
「真面目だ」
高圧的な表情で俺の顔をジッと見る。
だからって引く気にはならない。
俺も顔を見返す。
「お前好奇心が強いって言うより、人の都合に突っ込みたがる奴か。
そう言う奴は人から信用も得られずに下っ端で終わるぜ?」
「あいにく、これでも有名人なんですよ」
「ほお?名前は?」
「探偵のケレン」
年齢も隠す気はないし直球に話す。
すると、操舵手の緑が食いついた。
「知ってる・・・『相棒のケレン』だっけ?
実物に会うの初めて。
あれ?でも引退したんじゃ?」
「ほう。引退したのか?」
緑はそこまで知ってるのか。
なら話は早い。
目的もわかったし、
後は過去の事件を調べれば済む。
こちらが敵だと言う事も教えた。
これで戦う口実と状況を揃え終えた。
ここを脱出しよう。
「復帰したんだよ。
ちゃんと探偵の身分証も持ってる」
縄を解いて証明証を見せる。
予め縄の結び目を緩めておいたのだ。
シャラ達は恐らく、
まだあの海域にいるだろう。
泳いで戻るなら早くすべきだ。
「帰るつもりか?」
「ああ。お前らは後でしっかりと捕まえる」
そう言って走る
『ブウウゥゥン』
例の銛が目の前で止まる。
間近で見ると重くて頑丈そうな銛だ。
「甘いんだよ。
逃すわけねえだろ」
この長さの武器を、
ここまで的確に操るとは・・・。
「おいおい。ヤバイな」
「誰に言ってんだてめえ?」
デガラズが銛を持ち上げて、
俺の眼前からどかす。
「だが気に入った。おい緑!一旦近くの島に行け!」
「えぇこの海域で!?」
「最近陸が広がったろ!適当に探せ」
「はいはい」
デガラズが緑に指示を出して、
渋々緑が従う。
そこまで強い上下関係は無いようだ。
「お前はこっちだ。着いてこい」
「・・・ああ」
今更逃げるのも難しいだろう。
素直に着いて行って、
チャンスを伺おう。
忍びの時:ハッタリくんおもしろすぎるだろ!コメディアンかよ!
龍鏡の時:お前らの愛が重すぎるんですけど・・・
時の王:人間に戻れて良かった。でも時の王が将来死んだら力が戻って、小説版みたいな未来に続くのかな




