↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役は舞台を反転させる  作者: 菜の花 乃ノ花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

ここはどんな世界線?

 私、白石鈴華(しらいしすずか)はしがない女子大生であった。大学生活も中盤戦になり日々の授業はすっかりルーティーン化し、残った時間をバイトと遊ぶことに全力で費やしていた。


 遊ぶといっても、キラキラの大学生がするようなアウトドアで派手なものではなく、ゲームをしたり小説を読んだりするインドアなものだが……。


 そんな私だからラノベの所謂テンプレには結構詳しくて、目の前に広がるこの世界が日本とは別の世界なんだろうということはすぐに推測できた。また、思考がクリアになるにつれて私がどこの誰かも知らないお嬢様の身体に入り込んでしまったことも分かった。


 しかし、問題は……今いる世界がこれまで脳内にインプットされたテンプレの中に存在しないということだ。そもそも開始早々こんな血みどろの世界線なんてあってたまるか!いや、もしかするとこれはどこかの物語の裏側なのだろうか。そうなると私は傍観者?否、殺人容疑をかけられるなんていかにも悪役っぽいムーブでしょうこれは。


 そんな風に脳内で考えを巡らせていたら、険しい顔になっていたらしい。メイド服姿のお姉さん――スティ―シアさんといって、この身体の持ち主であるベルベットお嬢様(?)の侍女らしい――が心配そうに尋ねた。


「お嬢様、まだ痛みがおつらいですか?」

「いいえ、お陰様でさっきよりは随分と楽になりました」


 私にとってはほとんど初対面である以上、ついつい丁寧語になってしまったのだが、スティーシアさんにとっては違和感が拭えないものだったらしい。


「あぁお嬢様、どうかそんなにかしこまらずに話してくださいませ。ショックで記憶が混濁して私どものことをお忘れかもしれませんが、私たちは使用人なのでございます」

「ごめんなさい。本当に私自身のこともあなたたちのこともすっかり覚えていなくて。あなたたちに対してはこのように話せばいいのかしら?」

「えぇ、そうしてくださりますと大変ありがたく存じます」


 という訳で、話し方は丁寧なタメ語に固定するとして、私はスティーシアさんに色々と教えてもらうことにした。


 曰く、私の名前はベルベッド・ミュラー、17歳。此処、メロキア王国にあるミュラー公爵家の長女であるらしい。ふむ、メロキア()()ね。絶対王政と政略結婚と婚約破棄の香りがぷんぷんしてきたな。大抵こういう物語では、公爵令嬢が王子様と王命で婚約していて、後に婚約破棄からの悪役令嬢断罪となるのがセオリーだが。


 なんと、本当に私(ベルベッドお嬢様)は第一王子様の婚約者らしい!スティーシアさんに、王子様のことを聞き出そうとしたが、とたんに口が重くなった。もしかして私と仲があまり良くないのだろうか。まぁ一旦放置でいいか。


 世界線についてはあとで考察することにして、私自身の近況を詳しく教えてもらうことにした。そのためにはまず、近頃巷を騒がせている事件について知る必要があった。


 メロキア王国には王宮があり、そこには国王陛下、王妃殿下および王子殿下方がおわしている。そんな王宮にて立て続けに殺人事件が起こっているそうなのだ。まずとある御令嬢が殺害され、その次にとある書記官が殺害された。そして三件目が今回私の巻き込まれた事件なのである。被害者は侍女だったそうで、部屋の清掃中に背後から胸を一突きされたようだ。そして、その一連の事件の容疑者が私だというのだ。何故……?


 私の立場は第一王子殿下の婚約者ではあるものの、今はまだ一令嬢としての身分しかない。にも関わらず、先の二件の事件現場に私の身分を示すような物品が残されていたのだという。なんだそれきな臭いな。そして、今回に至っては現場に居合わせていたのだ。状況証拠が出来過ぎている。一方で、先程私が手足を縛られていたことから、すぐに連行されたり逮捕されることはないみたい。


「というのが一連のあらましなのです。世間では音も葉もない噂が流れておりますが、私どもはお嬢様がそのようなことをなさらない方だと存じておりますゆえ」

「ありがとう」


 何を信じたらいいのかまだ判断がついていないが、まずはスティーシアさんの言葉を信じておくことにしよう。少し安心したら眠気が出てきた。


 するとそれに気付いたのか、スティーシアさんが「ひとまず今日はゆっくりお休みくださいませ」とやたらふわふわな布団を肩までかける。


「体調が回復しましたら学園にも戻ることになりますし、今は休暇だと思って養生なさってくださいね」


 そういってスティーシアさんは部屋から出て行ったが……ちょっと待って、学園?新情報が出てきたんですけど!


 色々気になることはあったが、眠気には抗えず私の意識はゆっくりと暗転していった。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。