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アルラウネと魔王様  作者: 化猫


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17/17

17、領地訪問2


 圧巻だね。

 アルーナは、魔王様の側に気配を消すように立ちながら、前に並ぶ魔族たちを見る。

 魔王様専属の護衛部隊。身の回りの世話係。内務調整の役人。どの立場の魔族であっても、アルーナよりも圧倒的に強い。


 それなのに、わざわざ私を横に並ばせるなんて。


 魔王様の用意した服に防護魔法が掛かっていなければ、ウサギのぬいぐるみの中に引っ込んでいたところだ。

 そのウサギのぬいぐるみも魔王様が持っているみたいだし、今からでも中に入ってはだめだろうか。


「アルーナは俺の側に立っていろ」

「意地悪ですね」


 考えが読まれたかのような言葉に、魔王様に視線を送る。

 アルーナのフード越しの無言の訴えに、魔王様はどこか楽しそうにも見えた。

 この式典が退屈なのだろうか。私まで巻き込まないでほしい。


 それにしても、最近は魔王様の側に居すぎるせいで、怖いのハードルが下がって仕方がない。

 前までならきっと断固拒否だったはずだ。バート様がアルーナに甘いのが分かってきたし。おねだりでもしただろう。


 明らかにバート様に影響を受けている。自分が変わっていくこの感覚は成長と言って良いのだろうか。

 アルーナはこっそりため息をついた。


「では、これより領地へ向かう」


 ハウウェル様の長い言葉の後、魔王様が一言告げて馬車に乗り込んだ。

 真っ黒の馬が6頭の豪奢な馬車だ。


 アルーナは当然のごとく、魔王様の馬車に引っ張り込まれた。



「中は広いんですね」

「ああ、そういう魔法をかけてある」


 一歩中に足を踏み入れれば、驚く広さだった。

 明らかに見た目と中身の広さが合っていない。


 魔王様の私室と同じくらいの大きさじゃ無いだろうか。


 魔王様がソファーに座って手招きをしてくる。


「なんですか」

「怒っているか?」


 バート様の手に引かれて、膝の上に座らされてしまった。

 上目遣いでアルーナの顔を覗き込んでくる。

 魔王様モードが解かれた。


「怒ってはいませんよ。いや、式典のことは思うところもありますが、怒ってはいません」

「そうか」

「連れてきた後で聞かないでください」

「行きたくないと言われたら、その願いを聞き入れるしかないだろう。お前を置いていくのは嫌だ」


 バート様が肩口に頭を置いてくる。

 言い訳が妙に可愛くて、キュンとしてしまった。

 言ったら叶えようとしてくれるんだ。

 実際、魔王城にいる間、お願いをしていたことを一度も反故されたことはない。


 不覚だと思いながら、その頭を撫でる。


 魔王様が居ない魔王城に残ったって、アルーナにとっては恐ろしいだけだ。

 そんなこと分かっているだろうに。

 グリグリと擦り付けてくる頭を撫でた。


「領地訪問ってどこに行くんですか」


 話を変えることにする。自分でしておいて、バート様は微妙に後悔しているらしいし。

 難儀な人だ。不器用というか。


 こんなに異性に慣れてそうな見た目をしているくせに。整った顔と力に異性が魅了されないはずがない。

 どうやって交わしてきたんだろうとも思うが、なんとなく頭にハウウェル様の顔が浮かんだ。

 多分これが正解なんだろう。


 魔王様に集る魔族をハウウェル様がいなしているのが用意に想像できる。


「森に囲まれた場所だな」

「森ですか」

「ああ、俺達は馬車で空から向かうから問題は無いが、深淵の森とも言われている。そこの領主を調べにな」

「深淵の森・・・」


 バート様の腕に力がこもった。アルーナをまるで閉じ込めようとするような様子。

 アルーナは巻き付かれた腕に触れる。


「行くなよ。絶対に行くな」

「バート様」

「様は要らない」


 あれ以来味を占めたせいで、呼び捨てを要求してくる。


「・・・バート、約束したでしょう」

「ああ、分かっている」


 それだけでは納得いかないという様子だった。

 あの手この手で宥めている内に、領地に着いた。


 そこはまさかのはは様の森の中にある領地だった。



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