表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/215

3-5 相棒に相談される。けど、なんか

「元カノさんに会った⁉︎」

 ゆうが相談したいと言ってきて、わたしはそれを喜んで受け入れた。

 相棒の悩みならそれはわたしの悩みでもある――は言い過ぎだけど、単純にゆうがわたしを頼ってくれたことがうれしかった。

 へへ……本当に相棒みたいになってきてるな。

 ついシミジミしてしまっていたわたしにゆうが告げたのは、思ってもみなかったことだった。

「そ、それって……前に言ってた?」

「おぉ……」

 みんなのいるところではちょっと話しづらそうだったから、帰ってからチャットアプリの通話で聞くことになった。

 ビデオ通話でスマホの画面に映るゆうの顔はどんな表情をすればいいのかわからないみたいな感じ。

「それで……なにか話したの?」

「あ、あぁ、少しな。どこにいたのかとか」

「うんうん」

「あいつ――ほずみは夢の中にいたって」

 夢の中?

「ねむってたってこと?」

 多分な、っていうゆうの返事が聞こえる。

 とすると、ゆうの元カノさん――もう元じゃない? はゆうみたいに病院かどこかでずっと寝たままになっていたのかな?

 聞いてみると、そこのあたりのことは聞けなかったらしい。

「なんというか……会えたのがうれしくて、あんまり頭が回ってなかったというか……」

 なんだかごにょごにょとはずかしそうにしているゆう。ちょっと顔が赤い。

 ぴーんと来てしまった。

「えっと……うん、仕方ない……と思う」

 わたしはまだ恋愛経験ないからわからないけど。

 ちょっと気まずい沈黙になってしまう。

「そ、それでカノジョさんとはまた会えるの?」

 それを吹きはらうように声をあげる。

「お、おぉ……多分」

 ゆうの答えはなんとも頼りなさげだった。

「多分って……連絡先とか聞いてないの?」

「……聞く前にどっか行っちゃったんだよ」

 うーん……カノジョさん、振りまわすタイプの人なのかも。

「けど、会えて嬉しかった」

 そう言うゆうの顔は、優しくて、でもさびしそうで、カノジョさんを本当に大切に思ってるんだってわかった。

「そっか」

 わたしはその顔を見て、うらましいなぁって感じた。

 あんな顔をしてもらえるってきっと素敵なことだと思う。


 ?

 なんか、ピリッとした。


 ともかく、相棒がよろこぶのはわたしもうれしいし、力になりたい。

 それからちょっと他の話をした。

 学校でのこととか、家のこととか、なんでもない他愛ない会話。もちろん『鬼』としてこれからどうするかっていう確認も忘れない。ヒーローの役目は大事だからね!

「まだまだおきに頼ってばっかなのをなんとかしたいね」

「まぁなぁ、あいつに勝てるまでとは言わずとも俺達だけでできるって認めてもらいたいとは思うな」

 一緒にいてくれるようにはなったけど、今度は四六時中一緒でまるで過保護なお姉ちゃんみたいになっている。

 ……そっくりで双子みたいだけど、みんながみんなおきの方がお姉ちゃんっぽいっていうのは納得いかない最近。

「そういえば今日は隠塚あっちにいるんだっけか?」

「うん、なんかお客さんなんだって――まさかこの前の外面の良いサギ師風の人⁉︎」

 あの人だとしたら大丈夫かな?

「あいつなら大丈夫だろ。力づくで来たとして負けると思うか?」

「それは……思わないけど」

 そうじゃないっていうか。ていうか今のは失礼だぞ、ゆう。

 あ〜、気になる〜、メッセージしとこ。

「あ、返事きた」

 はやい。送った瞬間、既読と返事が返ってきた。

「なんだって?」

「大丈夫だって」

 ……なら良いけど、おきかかえこんじゃいそうだしなぁ。

 また明日聞いてみよう。

「じゃ……そろそろ行くわ」

「行くって?」

 立ち上がろうとするゆうを不思議に思って聞いてみる。

「……ちょっと近くで待ってみる」

 お〜。ゆう、照れてる〜。かわいいヤツめ〜。

「わたし、とおくで見ていい?」

「絶対やめろください」

 わたしの言葉にゆうの変な答えが返ってくる。思わず笑っちゃう。

「止めとけ、なんか全裸の不審者いるみたいだしな」

 え……なにそれ?

 変態さん?

「ほずみに会う前、見たんだよ。遠目だったけど、ちょっとやばい感じだったし。そっちは俺みたいに体力ないんだし、念の為、夜に(そと)出るなら兄ちゃんと一緒にしとけ」

 わ〜、そうしよ……。

「……ていうか心配してくれるんだ?」

「そりゃそうだろ」

 当たり前みたいに言ってくれることがまたうれしかった。

「じゃあ、がんばって行ってら〜」

 お〜とゆうの返事と一緒にビデオ通話が切れる。さっきまでゆうとわたしの声がしてた部屋がしんと静かになって、ちょっとさびしくなる。

「……すこしだけ配信みよっかな」

 なんだかさびしい気持ちをヒーロークラブの動画を見てまぎらわせよう。

 ジェノサイダー。脳だけを機械の身体に移植されちゃった主人公が恋人であるヒロインを守ろうとする話だ。

 最後にジェノサイダーはヒロインを守って死んでしまう。

 チョイスを間違えたかも。

 気をまぎらわすつもりが余計にモンモンとしてしまう。

 なんでかジェノサイダーがゆうみたいに思えたから。そんなはずないのに。

 それからすぐに寝ようとしたけど、なかなか寝つけなくて、でも気づいたらねむっていた。

 夢を見た気もしたけど、どんな夢だったかは思いだせなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[良い点] 早くほずみさんと再会したい!(*'ω'*)でも、そらちゃんの気持ちに少ーしだけ変化が!?(*´ω`*)よきよき
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ