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時を超える鳥たち  作者: ハインド
第1章 ハワイ事変編
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9/23

第8話 シャワー室(ルーム)

今回ちょこっと短いです。


 ザァァァー。

 お湯と湯気がシャワーを通じて体を包む。


「まさか…あんなことになるとは…」


 アルベルにとって、今回の訓練は完全に予想の範疇を超えていた。Sea(シー) Turtle(タートル)隊のレベルの高さも想定外だったが、なにより予想外だったのがカーター准尉だった。

 結論から言えば、着陸時に機体に当たった物体がカーター准尉のトラウマを穿(ほじく)り返した。しばし絶叫した後、突然黙ったと思いきや放心状態で動けず、しばらく機体から出てこれなかった。当たった物体というのは海鳥であった。いわゆるバードストライクである。

 衝突時に弾け飛んだ海鳥から出た血しぶきがカーター准尉のトラウマを穿(ほじく)り返したとアルベルは考えた。しかし真相はまだ分からない。どんな真相にせよ、正式な配備前にまた相棒を失う可能性あると考えると、憂鬱を通り越し悲壮感すら感じられた。


(降りるとか言われたらどうなるのだろう?)


 アルベルの中の不安感がネガティブな考えを生み出し、さらに不安感を煽るという悪循環が出来上がりつつあった。なんとなく周りの空気が重くなっていくような感覚も感じ始めた時、アルベル以上に重い空気が後ろのシャワー室出入り口から入って来た。


「こちらの空域に入って来なければロックオンされずに済んだのに、自分らで入って来た挙句、管制からの命令を無視して私らのケツ追っかけてくるって何なんですか?うちの国に何か恨みでもあるんですか?」


「レーダーロックは相手に対する宣戦布告だ。国際常識も知らないのか?これだから島国は…」


「それは半島に住む我々にも喧嘩を売っているのか?国土が大きいからと調子に乗るな。島国に喧嘩売る暇あったら自国のゴタゴタ何とかしたらどうです?」


 平らな顔、黒い髪、黒い眼、しなやかな肉体。東洋人らしき三人が入っていた。この艦隊で東洋人といえば、日本、中国、韓国の三ヶ国のみ。そしてその三ヶ国は外交、国交上は悪い関係にはないが、軍事的には非常に仲が悪い。この重々しい空気…、もとい険悪な雰囲気は訓練で何かトラブルでも起こしたからだろうとアルベルは推測した。


「おや?先客がいたのか。これは大変お見苦しい所をお見せしました。謹んでお詫びを申し上げます」


 先頭に居た一人がアルベルに気付き、頭を下げた。


「いや、大丈夫だ。貴君らはこの艦隊の所属か?」


 大丈夫だと言ったが、顔が若干引きつっていた。このまま会話が終わり、この場で口喧嘩が始まっても困るので、会話のネタを提供し場をつなぐ。


「はい。私は第11国連空母艦隊所属第4部隊、日本海上自衛隊第4護衛艦隊群第923戦闘飛行中隊所属、swallow(スワロー)隊、隊長マコト・ツヅキ一等海尉であります。以後お見知りおきを」


 先頭にいた一番小柄でツンツン髪の男が丁寧に話す。


「第11国連空母艦隊所属第3部隊、中国海軍第3艦隊第285戦闘飛行隊所属、岐(シィー)(中国語でトキの意味)隊副隊長、リ チェンファン少尉だ」


 真ん中にいた筋肉質で髪を後ろで紐で束ねた目の細い男が話す。


「第11国連空母艦隊所属第5部隊、韓国海軍第38飛行中隊所属、토끼(トゥッキィ―)(韓国語でウサギの意味)隊、隊長のケ トンシン中尉です」


 三人の中で、長身で一番年齢が高そうな男が話す。


「第11国連空母艦隊所属第1部隊、アメリカ合衆国第485試験飛行小隊、Egret(イグレット)隊、隊長アルベル・バーンだ。階級は中尉だ。よろしく」


 三人が各々「よろしく」「おう」「あぁ、よろしく」と返事をしてシャワーを使い始めた。


 アルベルは腰にタオルを巻いてシャワー室を出ていく。あの険悪そうな三国と同じ艦隊で過ごすのは骨が折れそうだ、と考えた。その前に、そんな事よりとびっきり厄介な問題を抱えていたことを思い出した。また憂鬱になる。


「調べるしかないだろうな…。調べきれるだろか…。最悪、本人に聞きだすことも視野に入れて…」


 ブツブツと独り言とつぶやきながら、シャワー室からロッカールームへ。身体を拭き軍服に袖を通す。着終わると、何か思いついたような顔をして、速足でロッカールームを後にした。

向かった先は、アルベルたちが乗る予定の空母コンステレーションの艦長、ケビン・ロックスの所だった。



今回なぜか余談のようになってしまいました。隊長級が出てるので余談じゃないです。次回はちょっとシリアス展開で、表現がちょっとキツくなる…かも?なんとか頑張ります。よろしくお願いします。

Twitterもやってます、アカウントはクラカヂール@なろう作家挑戦中です。進捗やなんてことはないつぶやきが載っています。よろしければこちらもお暇があればどうぞ。

次回第9話です。

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