プロローグ 栄誉式
初投稿です。
苛烈な復讐物が見あたらないので自分で書いてみました。
勇者グレンはガネーシャ王国の無名から成り上がった一代の英雄である。
一年にも及ぶ魔族討伐遠征の果てにこの千年間誰もなしえなかった魔王討伐を果たし今日王城での栄誉式に招かれていた。
「勇者グレン、ここへ」
玉座の横に立つ宰相の声が広い謁見の間に響く。
謁見の間に居並ぶ騎士、上級貴族の間を悠然と歩いて玉座に向かう姿は20代前の若僧に過ぎない彼を端正な顔に斜めに走る刀傷と白銀に輝く武骨な鎧と相まって歴戦の将軍であるかのように見せていた。
短く切り揃えられた金髪は戦場で痛めつけられているはずだが艶やかな光沢を放ちくっきりとした碧眼と整った顔立ちは刀傷さえなければ宮廷の貴婦人達の顔を赤らめさせていただろう。
檀上にある玉座の前でグレンは片膝をつき頭を垂れた。
半年前に即位したばかりのまだ若い、といっても壮年前のガネーシャ国王が玉座より立ち上がり宰相より煌びやかな宝石に彩られた儀礼用の宝剣を受け取って段下のグレンの前にきた。
「勇者グレンよ、長きに渡る魔族討伐の功績を称え汝に最高殊勲栄誉騎士号を与える。以後、我と王家に剣を捧げ仕えるがよい」
作法に則り両肩に宝剣の平を交互に当てた後グレンの顔の前に刀身を向ける。
宝剣の平に手を添え刀身に口づけを行い忠誠の言葉を述べればこの儀式も終了である。
グレンはこれまでの苦難の道程の果てに辿り着いたこの瞬間の感慨を噛みしめていた。
三年前この王都で自らの魂の在り様すら揺るがすある事件を契機に常に力を求めてきた。
何度も死線を掻い潜り障害となるものは魔獣だろうが人間だろうが魔族だろうが全て退けてきた。
そして今日のこの日がある。
グレンは自分の運命を変えた三年前のあの日の事を思い返していた。




