第24話 ノゾミ対リヒト! Bパート
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「神鋼魔像、ブレバティ!」
「魔力波散乱を使ってないのか」
「誘ってるな」
マーサさんの報告で、ロプロスが北西方向に時速600キロ程度で飛行中である事が分かった。音速飛翔の限界速度からすると半分程度の速度しか出さず、魔力波探信の魔力波を攪乱することもしていないのだから、追ってくださいと言っているようなもの。しかも、僕らが亜音速まで加速してトップスピードに乗ったら、速度を時速800キロに上げた。明らかな誘いだ。
「今の速度なら、ちょうど爆心地の中心部あたりで追いつく」
フィーアが計算結果を伝えてくる。
「そこに、何か待ってるな」
「伏兵…それも」
「僕に対して有効な伏兵なんて1人しかいない」
「…リヒト准将」
「だろうな」
しばしの沈黙。そして魔動通信機がマーサさんの声を吐き出す。
「ロプロスが急減速して降下に移りました。推定着陸位置は爆心地中心部。なお、そこを中心に魔力波妨害がかかっている模様」
「了解、追跡を続行します。通信途絶後は、魔力波妨害が切れた時点で再報告します。以上」
「了解、気をつけてね。以上」
「こちらも減速して目標地点を目指す」
マーサさんの声に続いてフィーアの報告が入り、機体に軽く制動がかかる。フィーアの機体制御は無理が無い。目的地に向けて、最適な減速率と降下角度をとって機体を下ろしていく。
ドラゴンの視覚装置は高性能だ。僕の意志に従って自動的に倍率を拡大して、目的地の映像を水晶スクリーンに映し出す。
荒野の中心に、たった今AG形態に変形して着陸したばかりのロプロスと、紅のAGが立っていた。
フィーアの危なげない機体制御で、その手前に着地すると、リヒトが口を開く。
「よく来てくれたな、ノゾミ」
「せっかくのお誘いを断るのは無粋だろう。それにしても、その姿は…」
そう、色こそ同じであるものの、リヒトのAGの姿が変わっていたのだ。全体的な印象は前と同じだが、頭部に王冠のような意匠が追加され、胸部の鎧の意匠も厚みが増すと同時に鋭角的になっている。いかにもパワーアップしました、という感じではあるのだが…
「今度は『音速の男爵』とでも名乗る積もりか?」
「さすがにそれは遠慮しておこう。別に外見をいじる必要はなかったのだが、強化改造してくれたガーランド博士がこだわってね」
「…ゲオルグなんて名前の人が、こういうの作っていいのかね?」
「本家の方はゲオルクだから問題ない、と言い張っていたよ」
「まったく、あのオッサンは…っと、フィーア、ごめん」
「いや、別にかまわん。話の意味はよく分からんが、父上が変な所にこだわっているという事は分かるからな」
その声を聞いて、ミス・アトミックが驚いたように聞いてくる。
「あれ、フィーアもいるんだ?」
「この追加装備は有人操作ができると聞いたので、ついてきたのです」
あれ、朝食のときフィーアはミス・アトミックにもタメ口きいてた気がするのに、何でここだと丁寧語なんだ?
「何で丁寧語?」
「勤務中は上官ですから」
「勤務中違う! ついでに、今はアレ、敵だから!!」
「あっ!」
「意外にうっかりさんね」
「そこも可愛い」
「のろけないでよね!!」
「そうだな。祝いに爆発でも贈りたくなる」
「お前だって、人の妹と乳繰り合ってるだろうに!」
「それを言われると一言も無いな。それでは一つ、義兄上にお願いがあるのだが」
「ヒカリの秘密なら乞われなくても教えてやるよ。楽しい婚約祝いを親展で送るから結婚後の夜の楽しみに使ってくれ」
「ちょっ、ソレここで言う!?」
「…それはそれで非常に魅力的だが、今回お呼びしたのは違う理由でね。決闘を申し込みたい。条件は、AGで、戦闘不能になるまで、だ」
「まあ、そんな事だろうとは思ってたが、何故だ?」
決着をつけたいというのは僕も思っていたことだから異存はないが、それだけでもないだろうと思って理由を聞いてみると、リヒトの口から意外な言葉が漏れた。
「ここで私が勝ったら、R-2号作戦に変更してもらおうと思ってね。ドラゴンの修理が必要になれば、必然的に戦うのは私になるだろう」
「お前がルードヴィッヒを討つと? それこそ何故だ?」
「元々、親友の私がやるべき事だと思ってはいたのだよ。だが、養子の身でホーフェン公爵家の家名に泥を塗ることはできないと考え、ガーランド博士に押しつけてしまったのだ。それを義父上に叱られてね。家のために自分の意志を曲げるな、と。それに、泥を被ることを恐れるような自分大事の貴族が増えたからアーストリアは駄目になったのに、お前までそれを恐れてどうする、とも」
「いい義父上だな」
「ああ、あの人の後を継げる事を誇りに思うよ。それと決闘したい理由はまだある。ヒカリとの事もあるし、単純にどちらが上か、決着をつけたいというのも、大きな理由だな」
「それに異存はない。じゃあ、始めようか! …と、その前に、フィーア、分離だ。離れて見守っていてくれ。1対1の決闘だからな」
「分かった。分離、飛翔」
フィーアの声と共に、フライトブースターが分離して飛翔する。
「君も見ていてくれ。君がいれば、私はもっと強くなれ…」
と、そう言おうとしたリヒトの言葉を、ミス・アトミックが遮る。
「ごめん、今、別人設定」
無粋だな、お前…
「おっと、そうだったな。では、こう言おうか。ヒカリ…私を導いてくれ」
「いや、それ負けゼリフだから! あと、人の妹を勝手に殺すな!!」
「TV版だと、まだ生きている時のセリフだが」
「…まあいいや。なら、義兄より優れた義弟など存在しないという事を証明してやるよ!」
「それも負けゼリフだろうに!」
「はいはい、それ以上は剣を交えてやってよね。開始の合図をするよ。この剣が地上に落ちた瞬間がスタートだからね。それっ!」
僕たちの負けゼリフ合戦に呆れたのか、ミス・アトミックが場を仕切り、ロプロスの短剣を空中に投げ上げる。くるくると回りながら放物線を描いて地上に向かう短剣。
イメージ的にはカラン、と軽い音を立てて転がりそうな感じだが、実際はスケールが違う。ドズン、という重い音と共に地上に落ちた瞬間に、戦いの火蓋は切って落とされた。
「瞬間移動妨害!! 雷撃…」
「沈黙!!」
どうやらリヒトは瞬間移動を封じて逃げられないようにした上で、一気に最大火力の雷撃を仕掛けようとしたらしいな。
次にルードヴィッヒを討つ作戦がある事を考えると、魔法の撃ち合いによる消耗戦を避けたいのは互いに一緒。一撃必殺で先に仕掛けた方が勝ち、あるいは最悪でも相打ちまでは持ち込めると踏んだか。
だが、僕は魔法の撃ち合い自体を拒否して、周囲に半径1キロにも及ぶ巨大な無音空間を作り上げ、リヒトの雷撃を封じた。そして、脚部に魔力を集中して強化して赤いAG目がけて前傾姿勢で突進する。
それに咄嗟に槍斧を合わせてくるあたりはさすがリヒト。しかし、槍斧は刺突も斬撃もでき、射程も長い万能武器ではあるが、そのリーチの長さゆえに、逆に懐に潜り込まれると有効な武器ではなくなる。
ズガッ!!
それでもなお、斧の刃がドラゴンの頭頂部を叩き割ってきたのは、リヒトの手腕が並々ならぬものである事を示している。
しかし、頭頂部を割られると致命傷になるのは、人間の場合。人間はそこに指令器官たる脳があるからだ。AGにおいては、頭部は視覚センサーや聴音センサーの設置場所にすぎず、頭頂部が割られてもセンサー類さえ壊れなければ致命傷にはならない。
それはリヒトも分かっているのだろう、腰から下を狙ってタックルを仕掛けた僕に対して、更に膝を合わせて迎撃してくる。
だが、それこそが僕の狙い。突き出された膝を捕まえると、練りに練っておいた魔法を唱えながら、突進の勢いを殺さずにそのまま全身を地面に投げ出しながら、ある技を繰り出す。
「結合!」
「なに!?」
先日ヒカリも使った、分子結合を制御する、すなわち結合を強める、もしくは弱める魔法!
その使用条件は、分子結合を制御する物質と接触している事。そして、以前に遊園地でヒカリと戦った時に分かったように、外部に影響する魔法は無音空間で無効になっても、機体内で唱える事ができ、その機体と接触している物質に影響を与える魔法なら沈黙の影響下でも使用できる!!
音や声が聞こえるのも、相手と接触しているからだ。
赤いAGの全身を鎧っているミスリウム合金と炭素結晶の分子結合を弱める魔法は、恐らくリヒトの意表を突いたのだろう、見事に効果を発揮してくれた。
そして、その状態で僕が繰り出したのは、恐らくリヒトにとっては予想外のプロレス技「ドラゴン・スクリュー」!!
相手の膝を取って、自分からマット(今の場合は地面)に倒れ込んで受け身を取りながら全身の体重をかけて相手の態勢を崩しつつ膝関節にダメージを与える技だ。
藤波辰爾が開発したので「ドラゴン」の名を冠しているが、この技が有名になったのは新日本プロレスとUWFインターナショナルの団体対抗戦における、新日の「天才」武藤敬司とUインター総帥の「最強」高田延彦との頂上決戦の試合からだ。ドラゴン・スクリューで高田の膝を壊し、そのまま最もプロレス技らしいプロレス技「4の字固め」で膝を攻めて降参を奪った武藤の連続攻撃は非常に説得力があり、その後のプロレス界ではこのコンボが大流行したものだ。
バキィ!!
そして、分子結合が弱まっていた赤いAGの膝は、見事にこの技でへし折れる。地面に倒れ込んだ赤いAGを逃がすまいと、僕はそのまま胴体にしがみつく。
「チィ、浮…いや、潜地!」
地面に潜る魔法を唱えるリヒト。片足を失った赤いAGは、そのままでは立つこともできない。浮遊は機体にかかる重力を遮断することで浮遊する魔法だから沈黙の中でも使えるはずだが、それよりは地面に潜る方が有効だと考えて魔法を切り替えたのだろう。だが…
「逃がさないよ!」
そのまま、胴体を抱えて地面から引きはがすと、相手に正対する位置で両腕を胴回りに回し、そのまま締め上げる。プロレスでは「ベアハッグ」と呼ばれるシンプルな技だが、実は巨大ロボの必殺技でもあったりする。
「鋼鉄」の異名を冠する磁力合体ロボ、放送当時の玩具技術であっても全身可動を可能にし、武器の付け替えが可能という実に優れた玩具も魅力的だった巨大ロボの必殺技なのだ。その玩具特性上、必殺武器のバリエーションが多いロボットなのだが、一番インパクトがあるのが、この単純な技だったりする所が面白い。
ビキビキビキ!
赤いAGの胴回りに亀裂が走る。いくらドラゴンにパワーがあると言っても、通常の状態では締め上げるだけでこれだけの破壊効果は期待できない。結合で分子結合を弱めているからこそ破壊できるのだ。
そして、AGの指令器官、すなわち人間が乗るコクピットは腹にある!
「魔力付与! まだだ、まだやられんよ!!」
お約束のセリフを叫びながら、威力強化の魔法をかけた両腕を振り上げ、肘をドラゴンの肩関節に振り下ろそうとするリヒト。人間ならベアハッグをかけられた状態で全力攻撃は難しいが、AGならばこの無理な体勢でもフルパワーで攻撃できる。当たれば、ベアハッグが緩むくらいの威力はあるだろう。槍斧はさっきのドラゴン・スクリューで少し離れた所へ飛んでいってしまっているから肘を使うぐらいしか手は無いのだ。
だが、その攻撃は読んでいる!
リヒトが両腕を振り上げた瞬間に、僕はベアハッグを解くと、赤いAGを高々と頭上に抱え上げ、そのまま横倒しにして横抱えの形にすると同時に、自分は片膝立ちの姿勢に腰を落としながら、相手の腰部を膝の上に叩きつける!
これもまたプロレス技の一つ、「シュミット式背骨折り」!!
「終わりだッ!!」
バガァン!!
ヒビが入って脆くなっていた赤いAGの胴回りは、その衝撃に耐えられず、真っ二つにへし折れる。
その直前に、赤いAGの腹部コクピットハッチが吹き飛び、中から座席に座ったままのリヒトが空中に射出された。緊急脱出用の射出座席だ。装備されている事はお義父さんから聞いていたんだが、実戦では初使用じゃないのかな。魔法が使えない状況でも使用できるように、射出機構はこの世界では珍しい完全機械式だと自慢していたな。高度、速度ともゼロでも射出可能なゼロゼロ射出ができる仕様なんだそうだ。
高く射出されたシートのパラシュートが展開され、ゆっくりと降下を始める。リヒトが動いているのが見えるから、どうやら無事のようだ。まあ、リヒトなら平気だろうと思ったから、こんな攻撃をしかけてみたんだけど、それでも無事と分かれば安心する。
と、降下中のシートをロプロスの手がつかみ、そのまま空へと飛び上がる。どうやら、いつでも飛べるように音速飛翔を切っていなかったようだ。
それと同時に、通信機が受信音を発し、応答するとミス・アトミックの声が流れ出してきた。リヒトのAGが行っていた魔力波妨害が切れたんだろう。沈黙の範囲内だが、機体内同士の通話だから通信機も使えるわけだ。
「残念だけど今回はリヒトの完敗ね。ここは大人しく引き下がりましょう」
「待て、ロプロスを返せ!」
「ん~、しばらく貸してもらうわ。いくらエンディングが決まってるとは言っても、今の精神状態のクーを戦場に立たせたくはないの。ロプロスで敵対する気はないから、それで許してもらえないかしら」
ロプロスを盗んだのには、そういう理由もあったのかい。こういう気配りをするから、こいつは悪戯者であっても嫌われないんだ。
「…しょうがない。代わりにリヒトの愛機の残骸は持って行くぞ」
「いいわよ。そっちにガーランド博士がいるんだから直して使ってもいいけど」
「そこまではしないさ。次に会うのは、戦争が終わった時、かな?」
「そうなると思うわ…じゃない! もう『マスクド・プリチュア』があなたと会う事は無いと思うわよ。次は、愛する妹と再会してね。それじゃ、ばいばいき~ん!」
「自分で『愛する妹』とか言うなっ!! …って別人設定だったな。あと、それも負けゼリフだ!」
「だって負けたじゃない。悔しいけどね」
そう言いながらも、笑い声を残して去って行くロプロス。無音領域を出るとリヒトをコクピットに収納してから、飛行形態に変形して東方向、帝国本土めがけて急加速し、その姿はすぐに見えなくなった。
まだ、沈黙の効果は続いている。フライトブースターがゆっくり浮遊して近づいてきたので、機体に手をついて接触して音が通るようにする。
「すごいな、ノゾミ。あのリヒト様に完勝じゃないか」
フィーアの手放しの賞賛が心地よい。
「なに、引き分けだと負けも同然だから、何とか自分の得意フィールドに引き込んだだけさ」
「確かに近接格闘戦はお前の方が少し上らしいが…引き分けだと負けというのは?」
「君の父上が軍事技術者としては正に天才だって事だよ。単に魔像の性能を競うだけならウチの父さんだって負けてないけど、機体の生産性や整備性については君の父上の方が上だ。同じくらいぶっ壊したとしても、ドラゴンなら2日かかる所を、この機体なら1日で直ってくるだろう」
赤いAGの残骸を指さしながら言う。実際、先日の決戦で破壊された一眼巨兵やドラグーンを収容した後で工場で軽く雑談してた時に、一眼巨兵の修理整備時間がこっちの予想の半分で済むという話を聞いて驚嘆したんだ。極力、余計な機能を省いて、メンテナンスフリー部分を多くし、魔道エンジンみたいな複雑な機構を組み込んだ部分はモジュール化して、その部分だけ交換すればいいという設計思想は、魔像としては面白みも何も無いが、軍用機として考えるなら最適設計だ。
リヒトの愛機みたいなカスタム機であっても、その思想は通底しているだろうから、外見こそワンオフ機に見えても、中の機構はかなり一眼巨兵と共有していて、重要部分はすぐに交換が可能だと推測できる。
ついでに言うと、一眼巨兵は生産コストも予想外に低く、何とドラグーンの1/4でしかなかった。ドラグーンの一眼巨兵に対する撃墜対被撃墜比率は3:1(つまりドラグーン1機で一眼巨兵3機を墜とせる)と想定しており、実際に同条件での戦闘ならそのくらいになりそうなんだが、生産コストを考えると4:1でないとつり合わないワケだ。
ウチの父さんだって決して生産性や整備性をないがしろにしてるワケじゃないが、徹底ぶりならお義父さんの方が上なんだな。それは魔道戦艦の設計にも表れていて、趣味的に作ってるレオパルドあたりはともかく、ブリュンヒルト級戦艦の数が予想以上に多く作られていたのは、徹底して生産工数を減らした設計で生産期間がこちらの予想の半分で済んでいるからだ。スフィンクス級戦艦を1隻作る間に、ブリュンヒルト級なら3隻就役できるとか、どんだけ徹底したんだよと言いたい。
それは当然生産コストの削減にもつながっているワケで、性能と生産性の両立という事にかけて言えば、正に天才的としか言いようがない。
「なるほどな」
納得したようなフィーア。
「それじゃあ帰るとするか。合体してくれ」
フライトブースターが合体するのを待って、2つに別れたリヒトの愛機を抱えるようにして拾い上げると、ちょうど沈黙の効果が切れたので、僕も飛翔をかける。ドラゴンだけならフライトブースターの推力で飛ばせるけど、さらに1機分の荷重がかかったら飛べないからね。
「それじゃあ、機体の制御をこちらにくれないか」
「了解した。ユーハブコントロール」
「アイハブコントロール」
機体の制御権を移動するキーワードを唱えてから、飛翔を翼の揚力と憤進の推力で補いつつイモータル市を目指す。魔力波妨害も切れたことだし、マーサさんにも報告しなくちゃ。
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「了解した。せっかくの休暇なのにご苦労だったな。だが、予定通り、明日0700時にシーサーペント号は出撃する。0600時までには乗艦して持ち場についておけよ」
帰還して魔術師艦長に戦果報告を行うと、明日の作戦予定に変更は無いと言われた。それは構わないが、気になることが一つある。
「ドラゴンの修理は大丈夫なのか?」
「頭頂部の損傷だけだからな。竜の目の部分に仕込んである光線系の魔道具が破壊されたが、予備部品もあるからすぐ交換はできる。センサー類のチェックもしておく必要があるだろうが、これも問題があったら交換すればいい」
「了解。0600前に来てシーサーペントに載せるよ」
「頼む、これが『餓狼戦隊』と名乗っての最初にして最後の出撃になるだろうからな」
…ちょっと待て!?
「オイ、何だその部隊名は!?」
「統合参謀本部の広報部がようやくウチの部隊の愛称を決めたんだ。なかなかカッコいいだろう」
「誰だ、そんな名前つけたのは!?」
「第2軍司令官グリーンウェル伯爵のアイデアだと聞いたが」
ちょっと待てや、日本語で「餓狼」って書くと確かに某格闘ゲームっぽい名前でカッコ良さそうに思えるが、英語で考えた場合は、日本海軍の某重巡洋艦のエピソードで聞いたことからすると、褒め言葉じゃなくて「醜い」って意味だぞ!
いやまあ、この場合は古キングランド語だから英語じゃないかもしれないけど、やっぱりキングランド貴族らしい皮肉が入ってる気がしてしょうがない。そういや、ウチの部隊ってキングランド人いなかったな…そのせいか?
「なあ、その愛称って、何か違うんじゃね?」
次回予告
第一艦隊壊滅の衝撃をやわらげるべく、最前線で自ら将兵を激励しようとする地球帝国総統ルードヴィッヒ。そこを討つべく出撃した餓狼戦隊に対して、ルードヴィッヒは自身の名を冠した最大最強の魔像を駆って立ちはだかる。
「出でよ、我が最強魔像『ルードヴィッヒ・B』!!」
「ソレって漫画の神様が描いた有名作曲家の伝記漫画のタイトルでないかい!?」
だが、名前以上に衝撃的だったのはその巨体。
「身長57メートル、体重5,500トン! さすがに空は飛べぬがな」
魔道戦艦よりは小さいものの、通常のAGの3倍以上はある姿に衝撃を受けるノゾミたち。果たして、この巨大魔像を打ち破る方法はあるのか!?
次回、神鋼魔像ブレバティ第25話「その名はルードヴィッヒ・B」
「これって何か違うんじゃね!?」
エンディングテーマソング「転生者たち」
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来週も、また見てくださいね!
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注:体重が10倍なのは仕様です。
通常のAGは身長18メートル、体重150トン程度を想定しています。




